DNAポリメラーゼの種類とトロンボーンモデルでは主にE. coliの仕組みを見てきた。 ここではEukaryoticとの比較をする。
バクテリア(E. coli) | Eukariotic (イースト菌) | |
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ポリメラーゼ | DNA Pol III Core | DNA Pol イプシロン(leading), DNA Pol デルタ (lagging) |
プライマーゼ | dnaG | DNA Pol α/プライマーゼ |
Sliding clamp | β/dnaN | PCNA |
Sliding clamp loader | タウcomplex | RF-C (ポリメラーゼと相互作用してなさそうで、仕組みはよくわかっていない) |
複製の方式として提案されたものの一つにRepliconモデルがある。 かつて遺伝子発現はinhivitorで抑制されてそれがなければ発現する、と考えられていた時に、 DNAの複製はinitiatorで始まると考えた所が新しい。
DNAの複製は幾つかのウィルスを除いて、端からは始まらない。DNAの途中のどこかから始まる。
このモデルはすべての生物である程度は正しそうだが、単細胞生物よりも複雑な生物に関してはReplicatorが具体的にどういうものなのかは良くわかっていない。
転写で例えると、promoterと転写の開始位置の違いに相当する。 Originは複製の開始位置であって、Replicatorはプロモーターに相当する配列。
だいたいはReplicatorの方が広い範囲でOriginはより狭く、オーバーラップしている。 ものによってはほとんど同じ範囲な事もある。
生物種 | 染色体の本数 | originの数 | ゲノムのサイズ(10^6 ) |
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E.coli | 1本 | 1個 | 4.6 |
S. cerevisiae(イースト) | 16本 | 350個 | 13 |
Drosophilia | 4本 | 1200-2万個 | 80 |
人間 | 22+X/Y | 3万個くらい | 3000 |
eukaryoticな生物はだいたいオリジンで30kbくらいに分割される。 複製を高速に行う必要がある生物はもっとoriginが多い。
originの場所は胎児か成人かなどによって変わるが、濃度はあまり変わらない。
eukaryoticなoriginは、それぞれinitiateされるタイミングについて、S-phaseの中の特定のタイミングがある。 S-phaseの初期にinitiateされるorigin、中期にinitiateされるorigin、末期にinitiate されるoriginなど。
序盤のoriginからのフォークが何らかの理由で止まっても、後半のoriginが続きを合成出来る。