前: EukaryoticTranscriptionのInitiationとElongation
C-terminal Domainのリン酸化という視点からPost Initiation Eventの制御を見直す(一部は前のセクションの内容の復習)
RNA Pol IIのC-terminal Domainについては前のセクションEukaryoticTranscriptionのInitiationとElongationのCTDも参照のこと。
Serine-5のリン酸化。
5’ capの役割
PTEFbは転写が25〜50bp進んだあたりでRNA Polをリン酸化する。これがDSIF, NELFをリン酸化し、CTDのSer2もリン酸化する。 これでNELFがpaused RNA Pol IIから離れるのだった。 この時点でmRNAはすでにキャップされている事が期待されていて、 しかも最初のintronの開始よりは手前な事が期待される。
3’ processing machinery
Ser5-Piはelongationが進むごとに減っていき、逆にSer2-Piは増えていき最後まで維持されていく。
CPSFとCstFは以下の略。
polyAシグナルとしてはAAUAAAがあるのは間違いないが、他にも何かの条件はあるはず。でも分かっていない。
RNAの切断はCPSFにより行われるが、polyAシグナルを認識するにはCstFとCPSFの両方が必要な事が分かっている。
切断されてPolyadenylationされればmRNAは完成だが、RNA Pol IIはそれ以後も転写を続けている。 この無用な転写を終了させるメカニズムはどんなものか。
mRNAが切断されると、残りのRNAはcapされてない5’末端を持つ事になる。 この時点ではSer-5 Piはもう終わってもとに戻っているので、5’ end modifying enzymeはCTDにはくっついていないから、 5’末端はcapされないまま保たれる。
するとRat1と呼ばれるexonucleaseが5’末端を保護されていないRNAを分解していく。
Rat1(Ribonucleic Acid Trafficking)
このRat 1が高いProcessivityでRNAを分解していく事で、RNA Pol IIのアクティブサイトからRNAを引き出して分解する事になる。 このバクテリアにおけるTranscriptionのElongationの「Rho-Dependent Termination」と似た仕組みで転写が終了する。 (RNAを引き出すとDNAがreannealingされる事でRNA Pol IIが離れていく)
RNA Pol IIが離れるとどこかのタイミングでCTDのリン酸化が解除される(次回のMediatorの動員のために)。
TSSのupstreamにはnucleosome free regionがある。これはプロモーターとして機能するDNA binding transcription factorによるものと考えられている。
さらにupstreamにはacetylated nucleosomesが見られる。 これはchromatin structuresをオープンしてよりアクセスしやすくするという話だった。
TSSのDownstreamは、deacetylatedな、大なり小なりコンパクトにまとめられたchromatin structureが見られる。 これはDownstreamから転写がinitiationされて欲しくは無いので、initiationを防止するためにこうなっているのではないか。
このDownstreamのdeacetylationはSet2と呼ばれる酵素により行われる。
Histone修正のアセチル化は側鎖にspecificなものが多いが、Deacetylationはnon specificなものが多い。
DNAの複製と同じSSRP1とSPT16というfactor(合わせてFACTと呼ばれる)が
FACT: Facilitates Chromatin Txnの略
FACTはH2A/H2B ヘテロダイマーをヌクレオソームから取り除く。 そしてこのヘテロダイマーをHistone Hexamer(Hexasomeと呼ばれる)の後ろに置いておく。(Hexamerは6量体)
6量体になる事でRNA Polymeraseが通り抜けやすくなると考えられている。
ただ、残りの6量体がDNAから外れて基質に溶けている様子は見られないので、RNA Polが残りを外すという訳では無さそう。 この辺の仕組みは謎が多い。 ただ6量体になると転写が進みやすくなるのは間違いない。
その後、SPT6と呼ばれるタンパク質がFACTと相互作用してH2A/H2Bをふたたび6量体に組み込んで8量体に戻す。(なお、取り除いたH2A/H2Bと同じH2A/H2Bとは限らない)
なお、このH2A/H2Bが取り除かれて別のものが来るかもしれない事は、多くのHistone ModificationがH3, H4を対象としているのと整合的である。 転写でH2A/H2Bの修正による情報は失われてしまいやすいので。
なお、クロマチン、ヒストン、ヌクレオソームにあるように、ヒストンは通常Histone Octamerで、2つの H2A/H2B/H3/H4から構成されている。
RNAの転写の制御を考えるために、Rate-Limiting Stepの候補となる部分を見る。
25年ほど前に、Mark Ptashneが、イーストのGal4 DNA binding factorを調べた時の実験。
彼はGal4のDNA bindingに必要なドメインと、transcriptionのアクティベーションに必要なドメイン(activating region)を分離する事に成功した。
この実験は当時いろいろな点で驚きだった。
two-hybrid assayはこの実験の応用。 DNA Binding Domainとあるタンパク質をくっつけて、Activation Domainと別のタンパク質をくっつけて、両者のタンパク質がくっつくならTFを生み出す、というもの。 転写を調べる事で両タンパク質がくっつくかが調べられる。