Molecular Biology 728x

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EukaryoteのmRNADecay

Contents:
  1. そもそもdegradationから保護される仕組みはどうなっているか?
    1. Eukaryoteのdecay概要
    2. ステップ1: Deadenylation
    3. ステップ2: 5’のdecapping
    4. ステップ3: 両端からdegrade
    5. どう抑制されているかの関係(保護のメカニズム)
  2. Eukaryotic Deadenylases
  3. poly-A tailの長さの計測(G-tailing)
  4. Decapping
    1. DeadenylationがDecappingのenzymeを動員するメカニズム
    2. Translateの頻度とDecappingの頻度

前: バクテリアのmRNADecay

そもそもdegradationから保護される仕組みはどうなっているか?

degradationを考えるにあたり、まずすぐに分解されてしまわない為の保護のメカニズムがどうなっているかを見て、 それがどう解除されるのか、という順番で見ていく。

mRNAがすぐに分解されないのは、5’末端と3’末端それぞれに仕組みがある。

  • 5’末端 … 5’ cap
  • 3’末端 … poly-A tail

5’ capはEukaryoticTranscriptionTerminationの「C-terminal Domainのリン酸化」に少し登場していた。 これら2つがdegradationのenzymeをブロックする。

クイズではm7Gppp capとも書かれていた。

Eukaryoteのdecay概要

バクテリアとの違いに着目して簡単に概要を見る。

32ページ

  1. deadenylaseによるpoly-A tailの除去(150〜200程度のAが12未満とかに)
  2. 5’側cappingのdecappingが起こる
  3. 5’と3’の両端から分解していく
    • 5’側は5’ to 3’ exonucleaseが分解
    • 3’側はexosomeが3’ to 5’の向きで分解していく

バクテリアはendonucleaseが途中を切断して、その中から外に向かって(inside-out)exonucleaseが分解していくが、 Eukaryoteでは両端から中に向かって分解していく。

ステップ1: Deadenylation

Eukaryoteでは、いつもpoly-A tailの除去から始まる(deadenylation)。 decappingで5’側から分解するケースでも必ずその前にdeadenylationが起こる。

このステップでは、典型的には12未満くらいまで削られる。もっと削られる事もあるが、 何にせよ12未満くらいになるとpoly-A binding proteinが結合できなくなるので、そこまでで十分。

この12という数字は生物種によって違いはあり、20くらいの生物も存在する。

このステップでpoly-A binding protein(頭文字でPABPとも呼ばれる)が全てリリースされるのが重要。 PABPのリリースがdecapping をアクティベートする。

PABPの存在がこのステップを遅くして、これがdegradationのrate limiting stepとして分解の速度を調整する。

ステップ2: 5’のdecapping

PABPがリリースが5’ capのdecappingをstimulateする。

ステップ3: 両端からdegrade

3’末端側からは、RNA exosomeと言われるものが分解していく。 これは複数のRNaseやヘリカーゼなどを持つmulti protein complex。

uncapな5’側からは、Xrn 5’ to 3’ exoが分解していく。これは単独のタンパク質。(あとでXrn1と言っているが種類があるのか同じものなのか)

どう抑制されているかの関係(保護のメカニズム)

PABPがexosomeをinhibitする。またsecondary structureもinhibitする。

5’ cappingがXrn1をinhibitする。

Eukaryotic Deadenylases

最初のステップとなるdeadenylationを行う酵素を見ていく。 Eukaryoteには複数のDeadenylaseがある。 抑制や活性されるメカニズムに違いがある。

  • CCR4-Not … PABPによって抑制される
  • Pan2-Pan3 … PABPによってstimulateされる(constitutive turnover rateを決定)
  • PARN … PABPによって抑制されるが、5’ capによってstimulateされる

constitutiveとはいつも起こっているという意味で、なにかの刺激が無くとも発生している通常のなにかを表すらしい。

CCR4-Notは動員されて使われる類のenzymeで、micro RNAsなどに使われたりする。 残り2つはいつも偏在している類のenzyme(constitutive)。

これらのenzymeが、RNA binding proteinによって動員されて使われる事もある。

poly-A tailの長さの計測(G-tailing)

poly-A tailのdeadenylationが重要なステップである事を学んだので、その長さを計測したい、となる。 そのための手順は以下のようになる。

33ページ

  1. 対象となるRNAをisolate(poly-AのあるRNAをisolateするなら、oligo-DTが付加されたcolumnを買ってくるのが一般的)
  2. RNA tailing … poly-A PolymeraseとGTPを入れて、poly-Aの後ろにGを付加していく事。
  3. 5’-CCC…CTTT…TのDNAプライマーを作って入れてハイブリダイズし、逆転写
  4. 目的のgeneを含んだ別のDNAプライマーを作り、PCR
  5. 生成物の長さを測る事で、geneのプライマーの位置、Gの長さが既知なので引く事でAの長さを知る事が出来る

ステップ3ではCの個数はわかってるようなプライマーを作る。

ステップ4はlow specificityなので、良くやる改善としては、まずより3’側の配列のプライマーを作ってPCRで増やし、 その後より内側(5’に近い方)の配列のプライマーで絞り込む、というもの。 一番目のPCRをくぐり抜けた中から二番目のPCRを選ぶので、よりspecificityを上げる事が出来る。

PCRのspecificityというのは、通常の2つのprimerのspecificityとその距離が妥当な長さという3つの条件で形成されているが、 poly-A tailはどのmRNAでも共通に存在するので通常のPCRよりspecificityが低い(poly-A側のプライマーはどのmRNAにも結合してしまうので)。 だから通常のPCRよりもこのステップ4のPCRはspecificityが低くなってしまうのでこうした細工が必要。

Decapping

Decappingするenzymeも二種類ある。

  1. DCP1-DCP2 … full-lengthもmRNAに作用する。ディキャップ-1 ディキャップ-2と読んでいた。
  2. DCPS … scavenging decapping enzyme。capのついているoligoにだけ作用する。exosomeなどが分解した残りなどを担当。

DeadenylationがDecappingのenzymeを動員するメカニズム

ここまでDeadenylationがdecappingを始めると言ってきたが、そのメカニズムを。 Decappingが始まる前のmRNAは典型的には以下のような状態になっている。

34ページ

ここで 4E, 4G, 4AについてはTranslationのInitiationのEukaryotic Initiationを参照の事。そこからリンクしてあるノート10ページも参照。

活発にtranslateされているmRNAでは、普通は4E, 4Gなどはついたままになっている。 4Eはcap binding proteinだった。

そして通常のmRNAのpoly-A tailのPABPはEIF4Gと結合して輪っかを形成しているのだった。

ここでDeadenylatioが起こるとPABPが結合できなくなってreleaseされ、そうするとこのEIF4Gとの結合も無くなる。 また、PABPが無くなると動員されるタンパク質がある。 これらのタンパク質は生物種によって名前が違うが、とりあえずイースト菌の名前で以下説明する。

poly-A tailが短くなると、Pat1, Lsm1-7, Dhh1と呼ばれるタンパク質がmRNAの3’側に結合する。 Pat1に関しては、PABPが存在しないという事では無く、poly-A tailが短い、というのを識別して結合している模様。 他のタンパク質はまだ良くわかってない。

これらのタンパク質はtranslationの開始を抑制する(48S PICの動員を抑制する)。 その結果4Eや4GがmRNAからリリースされやすくなる。

4Eや4Gが外れると、これら(Pat1など)がdecapping enzyme(DCP1-DCP2など)を動員する。 これがdecappingを行う。

Translateの頻度とDecappingの頻度

Translateが頻繁に行われていると4E, 4Gが離れにくくなり、translateが減ると4E, 4Gが離れやすくなる。

  • Translateが増加 … 4E, 4Gが安定して結合、decappingが減少
  • Translateが減少 … 4E, 4Gが離れやすくなり、decappingが増加