degradationを考えるにあたり、まずすぐに分解されてしまわない為の保護のメカニズムがどうなっているかを見て、 それがどう解除されるのか、という順番で見ていく。
mRNAがすぐに分解されないのは、5’末端と3’末端それぞれに仕組みがある。
5’ capはEukaryoticTranscriptionTerminationの「C-terminal Domainのリン酸化」に少し登場していた。 これら2つがdegradationのenzymeをブロックする。
クイズではm7Gppp capとも書かれていた。
バクテリアとの違いに着目して簡単に概要を見る。
バクテリアはendonucleaseが途中を切断して、その中から外に向かって(inside-out)exonucleaseが分解していくが、 Eukaryoteでは両端から中に向かって分解していく。
Eukaryoteでは、いつもpoly-A tailの除去から始まる(deadenylation)。 decappingで5’側から分解するケースでも必ずその前にdeadenylationが起こる。
このステップでは、典型的には12未満くらいまで削られる。もっと削られる事もあるが、 何にせよ12未満くらいになるとpoly-A binding proteinが結合できなくなるので、そこまでで十分。
この12という数字は生物種によって違いはあり、20くらいの生物も存在する。
このステップでpoly-A binding protein(頭文字でPABPとも呼ばれる)が全てリリースされるのが重要。 PABPのリリースがdecapping をアクティベートする。
PABPの存在がこのステップを遅くして、これがdegradationのrate limiting stepとして分解の速度を調整する。
PABPがリリースが5’ capのdecappingをstimulateする。
3’末端側からは、RNA exosomeと言われるものが分解していく。 これは複数のRNaseやヘリカーゼなどを持つmulti protein complex。
uncapな5’側からは、Xrn 5’ to 3’ exoが分解していく。これは単独のタンパク質。(あとでXrn1と言っているが種類があるのか同じものなのか)
PABPがexosomeをinhibitする。またsecondary structureもinhibitする。
5’ cappingがXrn1をinhibitする。
最初のステップとなるdeadenylationを行う酵素を見ていく。 Eukaryoteには複数のDeadenylaseがある。 抑制や活性されるメカニズムに違いがある。
constitutiveとはいつも起こっているという意味で、なにかの刺激が無くとも発生している通常のなにかを表すらしい。
CCR4-Notは動員されて使われる類のenzymeで、micro RNAsなどに使われたりする。 残り2つはいつも偏在している類のenzyme(constitutive)。
これらのenzymeが、RNA binding proteinによって動員されて使われる事もある。
poly-A tailのdeadenylationが重要なステップである事を学んだので、その長さを計測したい、となる。 そのための手順は以下のようになる。
ステップ3ではCの個数はわかってるようなプライマーを作る。
ステップ4はlow specificityなので、良くやる改善としては、まずより3’側の配列のプライマーを作ってPCRで増やし、 その後より内側(5’に近い方)の配列のプライマーで絞り込む、というもの。 一番目のPCRをくぐり抜けた中から二番目のPCRを選ぶので、よりspecificityを上げる事が出来る。
PCRのspecificityというのは、通常の2つのprimerのspecificityとその距離が妥当な長さという3つの条件で形成されているが、 poly-A tailはどのmRNAでも共通に存在するので通常のPCRよりspecificityが低い(poly-A側のプライマーはどのmRNAにも結合してしまうので)。 だから通常のPCRよりもこのステップ4のPCRはspecificityが低くなってしまうのでこうした細工が必要。
Decappingするenzymeも二種類ある。
ここまでDeadenylationがdecappingを始めると言ってきたが、そのメカニズムを。 Decappingが始まる前のmRNAは典型的には以下のような状態になっている。
ここで 4E, 4G, 4AについてはTranslationのInitiationのEukaryotic Initiationを参照の事。そこからリンクしてあるノート10ページも参照。
活発にtranslateされているmRNAでは、普通は4E, 4Gなどはついたままになっている。 4Eはcap binding proteinだった。
そして通常のmRNAのpoly-A tailのPABPはEIF4Gと結合して輪っかを形成しているのだった。
ここでDeadenylatioが起こるとPABPが結合できなくなってreleaseされ、そうするとこのEIF4Gとの結合も無くなる。 また、PABPが無くなると動員されるタンパク質がある。 これらのタンパク質は生物種によって名前が違うが、とりあえずイースト菌の名前で以下説明する。
poly-A tailが短くなると、Pat1, Lsm1-7, Dhh1と呼ばれるタンパク質がmRNAの3’側に結合する。 Pat1に関しては、PABPが存在しないという事では無く、poly-A tailが短い、というのを識別して結合している模様。 他のタンパク質はまだ良くわかってない。
これらのタンパク質はtranslationの開始を抑制する(48S PICの動員を抑制する)。 その結果4Eや4GがmRNAからリリースされやすくなる。
4Eや4Gが外れると、これら(Pat1など)がdecapping enzyme(DCP1-DCP2など)を動員する。 これがdecappingを行う。
Translateが頻繁に行われていると4E, 4Gが離れにくくなり、translateが減ると4E, 4Gが離れやすくなる。