ここまではself splicing intronsのメカニズムを見てきたが、ここからはより一般的なsplicing、pre-mRNA splicingを見ていく。
splicing自体のステップはgroup IIのself splicingと同様で、以下のステップとなる。
両者を比較すると以下のようになる。
group II self-splicing | pre-mRNA splicing | |
---|---|---|
何に触媒されるか? | intron RNA | RNAsとタンパク質 |
intron structure | long, highly structured | less information, less structure |
splicing reaction | 一つのintronで一つのsplicingしか起きない | たくさんのexonを含むpre-mRNAがsplicingされてmature mRNAになる |
ATPを使うか? | 不要 | 必要 |
配列としては以下のような特徴が見られる。 なお、Yはピリミジン(CかT)、Nは4つのうちのどれか(A, G, C, U)。
exonの3’側はほぼ必ずG、intronの5’側はほぼGU。intronの3’側はGで、exonの5’側はG。 この辺はhighly conservative。
図中でY11と書かれている所がpolypryimidine trackと呼ばれる所で、intronnの3’のsplice siteのそばにpyrimidinesが連続で並ぶ(11個とか)領域がある。
pre-mRNAのsplicingを調べる手順を考える。 まず、pre-mRNAと、splicingに必要な要素を入れて反応を見る訳だが、 splicingに必要なものの中にもRNAは入っているので、これと対象となるpre-mRNAを区別する為に、ラベル付けをする必要がある。
ステップ1ではbody label(端だけじゃなくてRNAの全体にまばらにラベルづけする、ラリアットとかも見れるように)。
splicingは核で起こるので、splicing componentはnuclear extractに含まれる。
ニワトリとか人間とかワニとかは、だいたい違うもの同士でsplicingを起こせる。イースト菌と人間とかでは起こせない。 人間のnuclear extractとしてはHeLa cellが使われる。
アルファ-32P UTPについては以下。
結果は図の下の方のようになる。
時間1で一番下に見えるのは5’側のexonがfree formで分離しているものと思われる。一番小さいので一番はやく動く。 時間1の一番上はラリアットと3’側のexonがついたもの。 ラリアット(投げ縄)の輪っかがあるとgelの移動が遅くなる。 これに3’側のexonもついているのが一番動きが遅いので一番上に来る。
時間2では一番下が薄くなっているのは、free exonが2つ目のexonと繋がって消費されるから。 その一つ上のシマはexonが2つつながったRNAと思われる。
上から二番目はラリアットから2つ目のexonが分離されて分子量が減ったからと考えられる。
pre-mRNAのintronやexonの端のconservedな配列を変更してこのassayを行って結果を見てみる。
intronの3’側のGをUに変えると何が起こるか?
splicingの最初のステップではこちらがわは影響が無いので、時間1の結果は変わらないと予想される。 一方、ステップ2のfree exonが3’側のexonのsplicing siteをアタックする反応は、このシーケンスが必要と予想されるので起こらない。
つまり時間2のバンドは現れずに時間1のバンドで止まると予想される。
初めてsplicesomeが発見された実験では、生成物のRNA単体を調べたのでは無く、生成RNAとタンパク質の複合体についての同種の実験からだった。
手順を見ておくと以下のようになる。
1と2は先に述べたin vitroでのpre mRNA splicingのassayと同様。ステップ3だけ違う。
native gelではRNAとタンパク質が結合した状態でgelを移動していく。(mobility shift assayと類似)
この結果を見ると、時間とともにバンドが何種類か形成されたり消えていったりしていくのが分かる。 それを観測された順番にA-complex, B-complex, C-complexなどと呼んで研究している。
ちなみにこの結合しているタンパク質を動画ではtransacting factorsと呼んでいるが、Trans-acting factorの事だろうか。
そしてより詳しくTrans acting factorsを調べたい場合は、上の実験をさらに変更して以下のようにする場合もある。
このgradientでultracentrifugeするのはもっともやさしくサイズごとに分離する方法である。 しかも大きなcomplexに対しても使える方法なので、この場合には適している。
Spliceosomeによって起こるsplicingの反応のステップを以下で見ていくが、まずは構成要素を見る事から始める。
Splicesomeを構成する、RNAと結合するTrans acting factorsには、大きく以下の2つの種類がある。
Splicingの反応はsnRNPsが主体となっている。 snRNPsはRNAを含んでいて、対象のRNAな事からも予想されるように、base paringで結合する部分がある。
SpliceosomeのCycleの最初はE complexの形成から始まる。EはearlyのE。
以下の3つのsnRNPsがターゲットとなるRNAと結合する。
U1とRNAの結合を見ると、conservativeなregionの配列とbase paringしている事が分かる。
Ψ(Psi)はpseudouridine residueで、アデニンとペアリングしやすいとか。 pseudouridineはpost transcriptional modificationで修飾されて出てくる。 tRNAなどそのほかのRNAでも良く見られるpost transcriptional modification>Translationの基本と登場人物
U1とpre-mRNAのcomplementarityがsplicingにとって必要かどうかなどは幾つかの実験で試す事が出来る
E complex形成の時点ではまだ対象となるRNAには何も起きていない。
先の「Trans Componentsを調べるための亜種」で見た、Aバンドに対応するcomplexをA complexと呼ぶ。 これはE complexの後に形成される。
E complexからBBPが離れて、BBPがあった場所にU2と呼ばれるsnRNPがやってきて結合する。これをA complexと呼ぶ。 このU2は、実際のsplicing反応の触媒として必要な事が分かっている。 U2がbranch siteを少し曲げる。
最初にBBPが認識したあと、実際の触媒反応をする前にU2に置き換わるのは不思議ではあるが、 どうもRNAがsplicingの対象かどうかを識別するステップと、実際に反応を触媒するステップが別になっている模様。
U6, U5, U4の3つからなるとても大きな multi-snRNPがやってきて、U2AFが離れた後に結合し、ターゲットとなるRNAを曲げて、 5’のsplice siteとbranch siteを近接させる。
この状態をB1 complexと呼ぶ。
B1 complexからU1 snRNPが離れていき、B2 complexが形成される。
このU1とRNAとの結合を切り離すにはヘリカーゼのようなATPaseが必要で、DEAD-box proteins と呼ばれるタンパク質がこの機能を持っている。 DEADはアクティブサイトのアミノ酸のAsp, Glu, Ala, Aspの並びなのでD-E-A-Dだからこう呼ばれている。 これは非常にprocessivityの低いヘリカーゼのような働きをするタンパク質と考えられる。
こうしてU1が離れていくとB2 complexとなる。
U1があった所がU6に置き換わった格好となり、このU6も触媒として重要な機能を果たすsnRNP。
B2 complexから、実際に触媒の反応が起きてmature RNAになるまでのステップを見ていく。
まず、B2 complexからU4がリリースされる。
U4はU6と一つになってやってくる事からも分かるように、最初はU4とU6にはbase paringでつながっているが、 別のタンパク質の働きによってこの2つの結合が解除されてU4がリリースされる。
U4がリリースされると、U6の接触面が増えて、U2と相互作用出来るようになり、U2と相互作用する。(U6とU2の間のbase paringが起こる)。 この結果、branch siteのAと5’側のsplice site(exon 1とintronの間の所)がさらに近くなって反応の準備が整う。
そしてbranch siteのAの2’-OHがアタックして、exon 1がフリーになる。このフリーのexon 1がU6に保持され、 残りはラリアットを形成する。この状態がC1 complexとなる。
C1 complexはU6, U5, U2と、ラリアットと、フリーのexon 1となる。 これはnaturing gelのCの所を取り出してdenaturing gelで調べてみると、ラリアットとexon 1の2つのバンドが見える事から、触媒反応の最初のステップが起きた事が分かる。
フリーのexon 1が3’側のsplice siteをattackし、2つのexonがつながって、残りがラリアットとして残る。この残ったラリアットをC2 complexと呼ぶ。
exonがつながったものはリリースされて、C2 complexはintron側は別の酵素によりラリアットを解除されて分解に回され、 U6, U5, U2に関してはU6にU4がふたたびやってきて結合してU2が押し出されて、元の状態に戻って次のspliceに備える。