転写を制御するのだからそれで十分では無いのか?という疑問に答える。
我らはTranslational Controlsについて、二つの側面に関心がある。
TranslationのInitiationでみた内容のうち、制御という側面から重要になる点を視野に入れて簡単に30S Initiation Complexの形成のステップを見直す。
ステップ4のmRNAの所では30Sのうち16S rRNAとmRNAのRBSのhybridizationが重要という話だった。
RBSはShine-Dalgarno siteとも呼ばれ、Start Codonの3〜9 ntほどupstreamに配置される。 この位置がStart CodonをちょうどPサイトに配置し、f-Met tRNAがPサイトに充填されて、60Sサブユニットが結合してIFが全てリリースされてTranslationが開始される事になる。
E. coliにおいては、主にステップ4の所を制御する事でTranslationの制御を行なっている。
silent mutationの範囲は動画ではstart siteの40 downstreamと5 upstreamと言っているがクイズではRBSの40 downstreamとなっていた。 あんまり違いは無いがどっちが正解なのかしら。
Structure versus codon bias - Nature Reviews Microbiology をみると-4〜+37で半分くらいが説明出来る、となっているので、start site基準だが、一方で-5くらいにRBSがある事を考えるとRBSのdownstream 40くらい、とも言える。 どっちも正解か。
Basal Levelではなく、あるmRNAのTranslationをどうinhibitしたりするか?
1だけProtein Dependent、それ以外はRNA Dependent
2は、最初のRBSが識別されてTranslationが進むとこのsecondary structureは解除されるので翻訳可能になる。
これはPolar Effectと呼ばれる。upstreamのgeneがturn offされると、downstreamのgeneもturn offされるから。
Ribosomal Proteinsは、rRNAと合わせてリボソームを形成するものだが、 rRNAがなければこのタンパク質をTranslateするのは無駄である。
そこでRibosomal ProteinがrRNAに結合している間は普通にTranslationが行われ続けるが、 余ってるrRNAが無くなってRibosomal ProteinsがrRNAと結合しなくなると、このタンパク質が自身のmRNAの上流のRBS付近に結合して、 Protein Dependentなinhibitが起こる。
するとそのORFの一部が下流のRBS付近と結合して、下流のタンパク質まで翻訳されなくなる(Polar Effect)。
特定の小さい分子が結合すると形を変えるRNAがあり、これにより制御する仕組み。 ここでは例として、S-Adenosyl methionine (SAM)で形を変えるケースを見てみよう。
SAMはmethyltransferaseがドナーとして使うメチル基を取り出すのに使う分子。 このSAMが結合すると形が変わるRNAがある。
SAMがある事で足の所がhybridizeして、その結果反対側のhybridizeが解けて、その結果そことhybridizeする新しい部分とhybridizeしてループを形成する。
このmRNAはSAMを合成するタンパク質で、SAMが十分にあればこのタンパク質は不要になるので、 翻訳を抑制するためにこのRiboswitchが使われている。 RBSがアクセス出来なくなるので翻訳されなくなる。
バクテリアのSmall RNAはsRNAとも呼ばれ、通常80〜110ヌクレオチド長くらい。
例えばmRNA内部のhybridizeにより翻訳が抑制されている状態で、hybridizeしている片方とsRNAがhybridizeする事で元の内部hybrizeが解除されてRBSがアクセス可能になり翻訳が開始されるようなケースがある。(activationのケース)
また、RBS周辺とsRNAがhybridizeする事でRBSがアクセス不能になるようなケースもある(inhibitのケース)
E. coliを使って目的のタンパク質を合成させようという時に、どうやったらより多くのタンパク質を合成させられるのか?という問題意識がある。
主に以下の二つの影響を見ていく。
まず、コドンには同じアミノ酸に対応する複数のコドンが存在している。 例えばglycineは、最初がGGでさえあれば三つ目の塩基が何であれglycineになる。
E. coliのgeneを調べると、これらの頻度は等しくない。
GGU : GGC : GGA : GGG = 0.34 : 0.40 : 0.11 : 0.15
の頻度で見られる(比は合計すると1になるようにしている)。
Wobble PairとしてはGGUとGGCは同じ(Wobble PairについてはTranslationの基本と登場人物を参照)で、 GGAとGGGが同じアンチコドンとなっているので、それらでまとめてみると75% : 25%くらいの比率になっている。
さらにそれぞれのtRNAの豊富さを調べてみると、この比率になっている。 このコドンごとの偏りをCodon Bias(コドンバイアス)という。
そこで同じタンパク質を合成するコードでもよりtRNAが多く存在するものにすると、 大量に翻訳をする場合にはより多く翻訳されるようになる(翻訳量が少ないケースではこれらの影響はほぼ無い)。
リボソームが途中で止まる原因の一つに、RBSと同じ配列があった時、というのがある。 翻訳の途中で40Sの16S rRNAとこの配列がペアリングしてしまうとリボソームが止まりがち(現在翻訳しているコドンのいくらかupstreamの場所にRBSがあるかどうかが重要な事に注意)。 だから同じアミノ酸のコードでもRBSにならないようにre-codeすると翻訳の効率が上がる。
なお、コドンバイアスよりこちらの影響の方が大きいらしい。