mRNAの半減期について、ここではバクテリアについて見ていく。
半減期の前に、そもそも全てのRNAがすぐに分解されてしまわないのは、なんらかの保護のメカニズムがあるからだ。 それはどういったものか?
5’側は、末端のtriphosphateが保護している。 また、RNAの2次構造が5’末端のdecayを防いているケースもある。(とてもとても長い半減期のRNAの場合)
eukaryoteではtranslateの都度RNAはunwindされるが、バクテリアでは5’側のstructureはそのままに直接ribosomeのbinding siteにribosomeが結合するので、この2次構造が保存される。(TranslationのInitiationも参照)
3’末端側は、おもに2次構造で保護される。
バクテリアにおけるTranscriptionのElongationで見たように、TranscriptionのterminationにはIntrinsic TerminationとRho-Dependent Terminationがあるのだった。 そしてIntrinsic Terminationのケースでは、 Transcriptionの時点で3’末端側にあるGC-richな領域がヘアピンを形成するのだった。 これが3’末端側のdecayから保護する二次構造となる。
Rho-dependentなterminationでは、terminationのメカニズムには2次構造は無いが、stableなRNAなら何らかの方法で3’末端側に二次構造(ヘアピン)を形成する事で、同様にdecayから保護する。
ほとんどのRNAの分解は、multi-enzyme complexであるRNA degradosomeが行っている。
RNA degradosomeは複数の機能を持っている
PNPaseもそうであるが、phosphorylytic enzymeはそんなにfavorableでは無いので、加水分解と違って可逆。 分解すると同時に合成する事もある。ランダムにヌクレオチドを持ってきてつなげるので、だいたいATPとなるからpoly Aを合成する事にもなる(が、ここではexonucleaseとして使われるのが主)
Enolaseは無くてもin vitroでは機能しているので、上3つがDegradosomeの機能をになっている模様。
図解すると以下のような構成になっている。
中心にRNase Eがあって、これが長い尻尾を持っていて他のタンパク質を動員している。
1, 2をあわせてdirect access mechanismという。
E. coliなどは5’ to 3’のexonucleaseを持たないが、どこかを切断すると3’側がmonophosphateになるので、ますます切断されやすくなってオリゴに分解される。 オリゴはoligo RNaseに分解される。
そのほかの生物ではRNase Jと呼ばれる5’ to 3’ exonucleaseを持つ。ただTriphosphateは分解出来ない。
RNase Jはhydrolytic exoで、5’ to 3’ exo。
Secondary Structure(ヘアピンなど)は、3’側から分解する場合は問題とならない。 PhlBのヘリカーゼの機能がこの構造を解いていくから。
だが3’側の末端に出来るヘアピンはこの仕組みではほどけない。 また、ヘリカーゼがスタックする場合もある。一度端っこでスタックしてしまうと、そのまま再開する事は出来ず、少しsingle strandのリージョンが必要となる。
そこで3’の末端がヘアピンの時は、poly-A polymeraseかPNPaseが末尾にAを付加していき、少しsingle strandの領域を作る。 そしてヘリカーゼが解いてdegradeする。
degradationしているmRNAにもリボソームがくっついていて翻訳途中、というのは当然起こる。 その場合、翻訳サイトの付近はリボソームが保護しているので切断されないにせよ、その前後は普通に切断されていまい、 やがてリボソームはstopコドンを通らずに3’の端に到達してストールしてしまう状況が発生する。
3’末端がEサイトのところに来て、Aサイトにはヌクレオチドが無い、という状態になる。
この状態を解決するのに使われるのがtmRNAで、tRNAとmRNAの両方の性質を持ったRNA。 バクテリアではこれはSsrAと呼ばれる。(SsrA tmRNAと呼ぶのが普通の呼び方っぽい)
アラニンのtRNAと同じ部分では、アラニンがチャージされて、EF-Tuと結合する。 そしてAサイトにヌクレオチドが無い場合に限ってこれがAサイトに配置される。 (31ページの図参照)
その後はトランスロケートしていって、下側がmRNAのように扱われて、対応するアミノ酸が付加されていき、 最後にUAAのストップコドンで通常の翻訳終了の過程が起こる。
さらにこの付加されるAA配列は、ClpXP proteaseというタンパク質が認識するタグとなっていて、 これに認識されたタンパク質は素早く分解されて細胞内から消える。