これまで通常のmRNAのケースは以下で見てきた。
ここではその他の特殊だったり雑多なケースをいろいろ見ていく。
(これは前のUnitの最後だったが、おさまり的にこちらの方がいいと思うのでこちらに入れた)
これまではmRNAを見てきたが、次にrRNAとtRNAについても簡単に見ていく。 rRNAやtRNAはとてもstableで長生きな事が知られている。
クイズによるとバクテリアも似たような仕組みっぽい?
通常のリボソームの18Sと、それを変異させた1492 mutant 18Sを比較する。
18SがtRNAとbase pairする時のminor grooveと水素結合するのがこの1492と1493のAらしいので、 1492を変異させるとこの18Sを含んだリボソームはリボソームとして機能しなくなる。
両者をラベルづけして時間とともにnorthern blotすると、wile typeでは4.5時間程度のtime pointでは全く変化が無い。(半減期は計測不能)
一方で変異させた18Sだと随分と薄くなる。(半減期は96 min)
つまり、リボソームとして機能しているか機能していないかでdegradeされるかどうかが決まっている模様。
核(nucleus)には仁とか核小体とか言われる部分(nucleolus)があり、ここでリボソームの組み立てが行われている。 これはrRNAをエンコードしているDNAのそばに配置されて、このDNAは幾つものコピーが比較的狭い領域に集まっている。
このrRNAをリボソームに組み立てるところで機能しているかが判別されて、機能してない時はdegradeされている模様。
核小体の中でリボソームを組み立てる時に、misfoldedだったり機能してなかったりした場合はcytoplasmに放出される前にdegradeされる。 TRAMPと呼ばれるタンパク質複合体の中にpoly-A polymeraseがあり、これが3’末端にpoly-A tailを付加してRNA exosomeがdegradeするようになる。
だが、このチェックをすり抜けるとcytosplasmに放出されてしまう。上記の18Sの変異のようにすごく小さいものだと核小体の中では判明せずに細胞質に放出されてしまう。
cytoplasmに放出されてしまった機能しないrRNAをdegradeするメカニズムがある。
tRNAもTRAMP complexが関わる。 TRAMP complexの中のTrf4と呼ばれるタンパク質が、tRNAが「正しくmodifyされていない」と判定すると、polyadenylationする。(Aをたくさんくっつける)
するとexosomeが分解する。
正しいmodifyとはpseudouridinylationとかdihydroxy unidinylationとかのtRNAに必要なmodificationの事。
翻訳と転写が絡み合って制御が行われる例がある。ここではそうした例のうち、Ribosomeを検出器として使うような例を見ていく。
これまでも、バクテリアにおけるTranslationのRegulationでoperonの後ろのsecondary structureをリボソームが解除する例や、 EukaryoticTranslationalRegulationのGCN4の例などで、AAがどれだけ豊富にあるかを検出するケースを見た。
ここではtranscriptional attenuationと呼ばれるケースを見る。これはバクテリアだけで見られる現象。
これはtranslationを使ってtranscriptionのterminationをinhibitする仕組み。attenuatorは減衰器、という意味らしい。
一番良く知られているattenuatorにTrp attenuatorがある。Trpはトリプトファンの事か。
biosynthesisの増減は、転写の増減でコントロールされる。 そこでTrpが多い時は転写を減らし、Trpが少ない時は転写を増やしたい。
バクテリアの転写のterminationは、生成されるRNAがGCリッチなヘアピンを形成し、その後にUリッチな領域があるとRNAポリメラーゼが離れるのだった。>バクテリアにおけるTranscriptionのElongation
Trp attenuatorはトリプトファンのレベルによってこの転写がterminateしたりしなかったりする事で、その後のgeneが転写されるかどうかを制御する。
まずtrp operonの前にleaderと呼ばれる領域がある。
leaderには1, 2, 3, 4とヘアピンを構成する事が可能な領域があって、それぞれハイブリダイズし得る。 そして1とまたがるようにuORFがある。
uORFについてはEukaryoticTranslationalRegulationのGCN4の例を参照。ただし今回はバクテリアのケースなのでEukaryoteと違ってre-initiationの問題は無いからuORFがあるだけなら、その後ろを翻訳する事は特に問題が無い。
このuORFの中に2つのTrpのコドンがあり、トリプトファンが多いとすぐにTrpがチャージされたtRNAが来るので翻訳が進み、 Trpが少ないとここで翻訳が止まる。
そしてヘアピンの形成として、3, 4がヘアピンになるケースとならないケースがある。(図のBとCは3, 4がヘアピンになるケース)
この3, 4のヘアピンが「転写の」terminationの条件になっている、というのがポイント。 つまり、3, 4のヘアピンはCG-richで、4の後にはU-richな領域が続いている。
転写をしている途中で翻訳がすぐに開始すると(バクテリアは核とか無いのですぐに翻訳が開始される事に注意)、 Trpの豊富さによってこの形状が変わる事で、terminationの条件を満たしてしまってtrpオペロンまで進まずに転写が終わるか、 それともTerminationの条件を満たさずに(ケースA)、転写が続くかが決まる。
最初から転写されていく事を考える。 1が出てきた段階でuORFの翻訳が開始されて、Trpが少なければ1のあたりでリボソームがストールする事になる。
この状態で2が出てきてもリボソームが邪魔してヘアピンが出来ず、次の3が出てきた時に2と3がハイブリダイズしてヘアピンを形成し、 ケースAとなる。 そうすると転写の方のterminationの条件を満たさないためそのまま転写が進み、trpオペロンの転写が行われる。
1が出てきた段階でuORFの翻訳が開始されるが、TrpのチャージしたtRNAが多ければ、ストールせずにそのまま翻訳が進み、2のあたりまで進んでストールする。 なので2もハイブリダイズ出来ない。
すると3が出てきた時には2はハイブリダイズ対象になれず、その次の4が出てきた時にハイブリダイズする。つまりケースBになる。
これは「転写」のtermination条件を満たすので、trpオペロンまで行かずに転写が終了する。
つまりTrpが多いとtrpオペロンは転写されない、という事になる。
このメカニズムは転写の途中で翻訳が始まっていないと機能しない。(ケースCになるのでterminateされてしまう)
実際、cyclohexamideがあるところでこの実験をやるとこの状態になって全くtrpオペロンが転写されない。
これを防ぐために、どうも図中のリージョン2に、RNA Polのポーズサイトがあって、そこでRNA Polが止まるっぽい。 そして翻訳が進む事でRNAをひっぱる事でRNAの転写が進む、みたいな事が置きている模様(ただし良く化学的なメカニズムはわかってない)。
翻訳に関わるメカニズムで、mRNAの異常を検知してdegradeする仕組みがある。
mRNAサーベイランスのメカニズム | 検出されるmRNAの欠陥 |
---|---|
nonsense-mediated decay (NMD) | premature termination codon(PTC) |
nonstop decay(NSD) | termination codonの不在 |
no-go decay(NGD) | リボソームのストール |
NMDが一番良く理解されている。NSDとNGDの区別は当初思っていたほどはっきりしたものでは無さそうという事がわかってきている。
翻訳により欠陥が検出されると以下の事が起こる。
まずは一番良く理解されているNonsense-Mediated Decayから。略称NMD。
最初に発見された現象は、beta thalassemiaという遺伝病の研究をしている時だった。 βグロビンが無いという病気。
遺伝子に変異があると、βグロビンのタンパク質が生成されないのは当然として、なぜかmRNAまで生成されなくなる、という事を発見した。 point mutationな事は突き止めたので、なぜpoint mutationがmRNA自体をなくしてしまうのかは謎だった。(70年代)
そのあとゲノムのシーケンスが出来るようになって、wild typeがCAGのところで、UAGやUAAになる変異の時にはmRNAレベルが大きく下がるという事を発見した。(80年代) なお、GAGへの変異ではそうした事は起こらない。
つまりwile typeとは違うところにstop codonが生まれるとmRNAレベルが下がる模様。
次に判明したのは、これは翻訳に依存している、という事。 cyclohexamideを入れると、premature termination codon(PTC)が含まれている変異でもmRNAレベルは通常通りになる、という事が見つかる。(90年代)
その後に判明したのは、PTCがintronとの相対的な位置関係に意味がある、という事。 多くのケースで最後のintronは3’ UTR側には無くて、最後はexonで終わっていて、この最後のexonのどこかにストップコドンがある(coding regionが最後のexonに掛かる)。 PTCは最後のintronより手前にあるかどうかで判定されているようだ、と判明。(90年代)
さらに最後のintronをカットすると、PTCがmature mRNAの中では同じ位置になってもmRNAが安定するようになる。 さらにPTCがintronのexon側の端(splice junction)の55 ntよりexonに近いとNMDは起こらない事も発見される。
真核生物なので、splicingは核の中で起こるのに翻訳は細胞質で起こる。つまり、、、どういう事なのだろう?となった。
そしてexon junction complex(EJC)というタンパク質(RNP)が発見される。これらはsplicingの時に使われて、 終わった後にexon junctionに残ったままになる。
これの発見の実験は正直良く分からなかったが、説明を書いておく。
まずpremature mRNAのintronのupstream側 splice junctionにphotoreactive crosslinkerを、downstream側のsplice junctionにradioactive PO4をつける。 そしてintronが無いexon1-exon2の配列のmRNAにも同じように両者をつける。
これらを入れたcell extractにsplicingを許したりしてSDS PAGEでタンパク質を測ると、spliceしたmRNAだけはタンパク質が複数見つかり、 spliceしてないpremature mRNAやexon1-exon2配列を直接作ったものにはタンパク質はついていなかった。
直接作ったものにbindしないのだから配列依存で結合するタンパク質という訳では無さそう。
そのあといろいろな実験で、exon-exon junctionの25nt upstreamにこれらのタンパク質が結合している事がわかった。
クイズで、exon1, 2, 3があった時に、exon1のjunctionから55nt以内にPTCがあってもNMDされないらしい。exon2-exon3の間のEJCは残るのでは?
以上から、EJCは翻訳されるとmRNAから取り除かれるので、これの有無で判定されているのでは、と予想される。
次にイースト菌のgenetic screeningでUPF1, UPF2, UPF3と呼ばれるタンパク質が発見された。 これはhistidine合成のgeneにPTCを追加したりして実験された。
suppressor tRNAを追加して実験を行った。 suppressor tRNAはストップコドンとマッチしてなにかのアミノ酸を運ぶtRNA。
以上を使って、以下のような設定を作った
この結果、NMDのためにはUPF1, UPF2, UPF3が必要だという事を突き止めた。
そのあと、C. elegans(線虫)ではSMG1〜SMG9というタンパク質が同じような役割をしていると突き止めた。 さらに研究が進み、SMG2〜4がUPF1〜3に対応している事が判明。
さらに、このUPF1〜3はいろんな真核生物で見られる(highly conserved)な事が分かる。
そこでUPF1に適当なbinding domainをくっつけて、そこらへんのmRNAに結合させる実験を行ったところ、 そのmRNAはNMDされた。
なお、UPF2やUPF3でも同じ結果となった。
NMDの仕組みを考えると以下のステップが必要となる
ここでは最初のmRNAのPTCの認識について見ていく。
termination siteではリボソームのAサイトにeRF1とeRF3があるのだった。 TranslationのTerminationのEukaryoteを参照。
このeRF3がどうにかしてpoly-A binding proteinとの距離を認識出来るらしい。 メカニズムは良くわからないがpoly-A binding proteinを無くすとterminationが起こりにくくなるのは確か。
だからtermination siteがpoly-A tailと正常な距離であれば普通にterminationされ、この距離が異常に長ければterminationはとても遅くなる。
なお、mRNAは以前も書いたように(34ページ) 円環になっているので、すごくupstreamでもpoly-A tailには近くなる。 そしてuORFなどでstop codonがすごくupstream側にある場合も、terminationは通常の速さで行われる。 だからpoly-A tailとの距離だけが重要でどちら側かは重要では無さそう。
そしてtemrinationがゆっくりになっている間に、UPF1がeRF3と結合し、このUPF1がさらにSMG1と結合する。 これがさらにUPF2, UPF3との結合を促進し、これらが結合した状態になり、それがexon junction complexと結合する。 この状態をDECID complexと呼ぶらしい。
なお、その前の段階でEJCとUPF2, UPF3が結合していて、これはSURF complexと呼ばれるらしい。 つまりSURF complexがUPF1側と結合するとDECID complexとなる。(36ページ参照)
脊椎動物ではこのEJCを使ったメカニズムが使われている。ハエとかイースト菌では無視されているらしい。
ハエとかイースト菌では3’ UTRモデルと言われる違うモデルが提唱されていて、 これはtermination siteからpoly A tailまでの間にUPF1が並んでいて、terminationがされないリボソームのeRF3と相互作用して、 この状態がstabilizeされる。 こうしてPTCが識別される。
DECID complexが形成されて、UPF1とUPF2が相互作用するようになると、いろいろな事が起こる。
ステップ1
まずUPF1のhelicaseとしての機能がアクティベートされる。ただこれが何に使われるのかは良くわかってない。 機能としては5’ to 3’ helicase。
また、SMG1のキナーゼとしての機能がアクティベートされる(キナーゼはリン酸化する酵素だった)。 正確にはもともとSMG1, 8, 9の3つがくっついていたのが、ここで8と9がreleaseされて、これがinhibitorなのでSMG1がアクティベートされる。 これはUPF1をリン酸化する。
さらに、この同じステップでeRF1, 3がリリースされて、RIbosomeもmRNAからリリースされる。メカニズムは謎。 だが、特殊なrelease factorを必要としない事はわかっているので、なんらかの方法で通常のterminationが起こっているのではないか、と予想されている。
ステップ2
リン酸化したUPF1とSMG6が相互作用し(あとの動画を見るとリン酸化したUPF1がSMG5, 6、7を引き付けるっぽい)、SMG6はendonucleaseとしての機能を持つようになる。
SMG6によりカットされれば、5’側はpoly-A tailが無いのでexosomeにより分解される。 3’側は5’ capが無いのでXRN1により分解される。
また、リン酸化したUPF1はさらにSMG5, 7と相互作用し、これらがCCR-Notを動員する。 これは通常のdegradeでも使われるdeadenylaseだった。EukaryoteのmRNADecayの「Eukaryotic Deadenylases」参照。
ここからは通常のdegradationと同様、deadenylateされるとdecappingが始まり、分解が進む。
カットだけでも十分なところにdeadenylateとdecappingが起こるので、このmRNAはすぐに分解される。 分解されずに残る要素としては、このカットより上側で翻訳途中のリボソームの存在。 これはnon-stop decayにより処理される。
脊椎動物以外について、何がわかって何がわかっていないのかを簡単に見ていく。 おもにS. cervisiae(発芽イースト)、S. pombe(分裂イースト)、D. melanogaster(ショウジョウバエ)の話。
発芽イーストと分裂イーストは進化系統ではすごい昔に分かれたもので、かなり違う生き物となっている。 発芽イーストと人間の違いくらいには、発芽イーストと分裂イーストは違うとか。
mRNAのPTCの識別でわかっている事、わかっていない事
S. cervisiaeは、mRNAにHrp1というファクターが結合して、これがUPF2, UPF3と結合する。 Hrp1がどこにどう結合するかとかはいまいち良くわかっていない。 とにかくこのUPF2, UPF3がeRF3側のUPF1と相互作用するっぽい。
S. pombeはもっと良くわかってない。unspliced intronがシグナルになっているっぽいという事だけがわかっている。
D. melanogasterはfaux 3’ UTR modelと言われる仕組みと名付けられていて、 これはUPF1とpoly-A binding proteinの距離を識別するだけの模様。 exon-exon junctionが無くても(intronをそもそも無くしても)NMDする。
識別したあとの過程でわかっている事、わかっていない事
D. melanogasterは脊椎動物と似ている。SMG1がUPF1をリン酸化し、SMG5, SMG6がやってきて、SMG6がendonucleaseとして機能し、 SMG5はexosomeを動員しているっぽい?XRN1がどうやってやってくるのかは良くわかってない。
イースト菌はどちらも、どれがendonucleaseなのかなどはわかってない。そもそも発芽イーストはendonucleaseが存在するのかもわかってない。 イースト菌にはSMG6相当のものが無い、というのは多くの研究者を悩ませる謎となっている。
nonstop decay(NSD)とno go decay(NGD)は発見された時はすごく違うメカニズムのように見えたが、研究が進むととても似ていると思われるようになった。
nonstopもno goも、リボソームのAサイトが空である事を認識する、というのがキーになっている。
no goは、強いsecondary structureがあるなどでリボソームがそれ以上進めなくなるようなケース。 リボソームが止まるとAサイトが空になり、 その空のAサイトをDom34とHbs1と呼ばれるタンパク質が認識する。Dom34はeRF1に似ていて、Hbs1はeRF3に似ている。
eRF1, eRF3はリリースファクターだった。 また、これらはEF TuとtRNAのミミックでもあった。 EF TuやeRF3やHbs1は、リボソームのfactor binding centerと相互作用してGTPを加水分解する。
EF-TuについてはTranslationのElongationを参照。
リボソームの翻訳した先がstop codon無しで終わっているケース。
例えばSMG6がカットした場合にupstream側にあるリボソームはこのケース。一番端まで翻訳が進み、端まで到達してしまう。 このケースでもAサイトが空になる。
このケースでもNo Goと同様にDom34とHbs1に認識される場合もあるが、 それ以外にこのケースだと、Ski7と呼ばれるタンパク質が認識する場合もある。
ただしSki7の場合、Hbs1, eRF3, EF Tuに似ていて、Translation GTPaseとして機能していると思われる。 おそらくそれに対応するeRF1側に相当するタンパク質も存在していそうなものだが、まだ見つかっていない。 別のメカニズムなのかどこかにあるのか。
とにかくSki7をknock outするとNSDに問題が起こる事はわかっている。
合成されるポリペプチドによってはリボソームがストールする場合がある。
リボソームのexit channelはRNAで出来ているのでとても負に帯電している。 だから合成されるポリペプチドがたくさん正に帯電していると、くっついて止まってしまう。
この場合でも途中でリボソームが止まり、Aサイトが空き、No Go Decayが起こる。 (その後にStop Codonがあるケースで起きるのでNo Go Decayとなる)
このケースの亜種として、翻訳がpoly-A tailまで行ってしまう、というのがある。 AAAはlysineなので、lysineがペプチドに連続していくが、lysineは正に荷電しているので、 同様にリボソームが途中で止まる。 だいたいlysineが6個から7個つながるとexit channelとくっついてしまって翻訳が止まる。 この場合はNonstop-Mediated Decayが発動する。
異常の検知が出来たので、次にその後の処理。 まずはmRNAのdegradationのメカニズムから見ていく。
Dom34やSki7はexosomeと相互作用し、分解していく。 このexosomeの中にはRRP44と呼ばれるタンパク質があってこれがnucleaseとしての機能を持っているが、 これには2つのactive siteがあって、一つは想像される通りexonucleaseだが、もう一つはendonucleaseのアクティブサイトを持っている。
exosomeは普段のRNA Decayでは3’ to 5’ exonucleaseとして機能しているのでexonucleaseのアクティブサイトだけで十分そうなものだが、 No goとNonstopのケースではendonucleaseのサイトの方が使われて、endonucleaseの機能としてmRNAの真ん中がカットされる。
なお、厳密にはSki 7がexosomeをrecruiteするのはかなり明確に判明しているが、Dom34はいろいろな事をやっているため、あまり明確に判明はしていない(がそうだと思われている)。
mRNAがカットされれば通常のdecayのメカニズムで分解される(5’側は3’末端がpoly-A tailが無いのでexosomeに分解され、3’側はXRN1に分解され、poly-A tailが無いのでdecappingされ、うんぬん)。
Dom34とHbs1は(Rli1とともに)、リボソームのリリースの役割を持っている。 Rli1についてはTranslationのTerminationを参照(Rli 1とスペースが入っているので検索する時は注意)。 Rli1は通常のtranslation terminationでのリボソームのリリースで使われるもので、Large subunitなどを切り離すのだった。
eRF1とeRF3はRli1と協力してリボソームのサブユニットのリリースを行っていた。 これと同様にDom34とHbs1もRli1と協力してリボソームの60Sと40Sの分離を行い、 これがmRNAとEサイトのtRNAのリリースを引き起こす(PサイトのtRNAはまだ残っているのに注意)。 この時にDom34とHbs1もリリースされると思われる。
Dom34は他にも様々なシチュエーションで似たような事をやっている。ストップコドンが無くてre-initiationされてしまったリボソームを蹴り出したりとか。 変にリボソームとmRNAがくっついてしまったものを切り離す、というのがDom34の役割の模様。
Dom34は、eRF1が持っていたペプチドの加水分解の機能(eRF1のGGQ motif)を持っていないため、 Large subunitがリリースされた時、PサイトにtRNAとペプチドが残ったままになる。
これをどうにかするのがLtn1と呼ばれるタンパク質。 Ltn1はubiquitin ligase。
Ltn1は、60S サブユニットにポリペプチドがついていて、しかも40Sがついていない状態を発見すると、 Ltn1は(Rqc1, Tae2タンパク質とともにRqc complexを形成し)、ポリペプチドにubiquitinを付加していく(ubiquitinylates)。
すると、Cdc48がそれを認識してポリペプチドを60Sから引き出す(tRNAも一緒にひっついて引き出される)。 これはClpXと似たような働きをする。
そうして引き出されたポリペプチドはUbiquitinがついているから通常のproteasome dependent degradationのメカニズムのターゲットとなり、proteasomeに分解される。
ポリペプチドが引き出された60Sはたぶん再利用されるんじゃないかなぁ、と思っているが良くわかっていない。