Molecular Biology 728x

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バクテリアにおけるTranscriptionのElongation

Contents:
  1. Elongation入門
    1. Elongation時のRNAPの活動
  2. Transcriptionの2つのProofreading
    1. Pyrophospholytic Editing
    2. Hydrolytic Editing
  3. Intrinsic Termination
  4. Rho-Dependent Termination
  5. 次:バクテリアにおけるTranscriptionのRegulation

前: バクテリアにおけるTranscriptionのInitiation

Elongation入門

  • シグマは通常、elongationが始まった少しあとにreleaseされる
    • シグマはElongationでは使われない
    • シグマが離れるメカニズム(は良くわかってないが)
      • シグマ4ドメインはプロモーターと強い相互作用をなす
      • シグマ3, 4ドメインはRNA exit channelをふさいでいるので押し出されそう
      • だが、elongationが始まっても最初の200ntくらいまではシグマがRNAPにくっついている事が知られている

Elongation時のRNAPの活動

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ElongationでRNAPは以下の活動を行っている。

  1. RNAの合成
  2. DNAヘリカーゼ
  3. RNAヘリカーゼ(DNAとRNAのくっついている所を剥がして進めていく)
  4. DNA rewindase(本当にそういう作用があるかは議論がる)

Transcriptionの2つのProofreading

DNAポリメラーゼの、10^7回に一回という驚異的な精度に比べると、 RNAポリメラーゼはそこまででも無い。 それでも10^4回に一回程度のエラーではあって、それを実現するProofreadingの仕組みがある。

間違ったペアの時には3’ OHの場所が最適にならないので、合成が遅くなる。 その時にどうやって修正するか?

どちらの方法も、間違ったペアが加えられた直後や1〜2個のntが加えられたくらいまでしか機能しない。

  1. Pyrophosphorolytic Editing
  2. Hydrolytic Editing

Pyrophospholytic Editing

Pyrohpsphate は2リン酸。(PPi)

ヌクレオチドがつなげられるとpyrophosphateが放出される。 DNAポリメラーゼではこれはすぐに分解されてしまうが、 RNAポリメラーゼではrNTPチャンネルの内部にとどまっている間は分解されない。 外に放出されて初めてpyrophosphataseに分解される。

だからしばらくpyrophosphateとの間で逆反応が起こるwindow timeがある。 このため、合成がゆっくりになると逆反応でヌクレオチドが切断されて、元に戻る事がある。 これがpyrophosphorolytic editing.

Hydrolytic Editing

誤ったペアが合成されると、少し戻して、rNTPチャンネル側に合成されたてのRNAをはみ出させる。(Reverse Translocate)

すると、rNTPチャンネルからenzymeがやってきて、このハミ出ている部分を加水分解する、という仕組みがある。 これをHydrolytic Editingと呼ぶ。

このenzymeはE. coliだとGreB。EukaryoticではTF II Sと呼ばれている。

普段はこの酵素が結合していなくて、stallするとなんらかの仕組みでやってきて結合するっぽい(よくわかっていない)。 このGreBなどは普通合成されるRNAの端は届かなくて、Reverse Translocateしてきた時だけ届く位置にactive siteが配置される模様。

DNAのMismatchRepairのメカニズムとの比較で行くと、加水分解するのは同じだが、 DNAの方は同じタンパク質内にexonucleaseがあるが、transcriptionでは別のenzymeが存在する。

Intrinsic Termination

バクテリアには、TranscriptionのTerminationのメカニズムが2つある。 一つがIntrinsic Termination。もうひとつはRho-Dependent Termination。

普通はIntrinsic Terminationで、Rho-Dependent Terminationはレア。

Intrinsic Terminationには以下の2つが必要。

  • RNAにGCリッチなヘアピンが形成されている必要がある
  • ヘアピンの3’側から7-9nt程度の場所に、Uリッチな領域が必要

RNA exitチャンネルにヘアピンが詰まって、そこでDNAとペアになっているのがU-richな領域だと、テンプレートから分離出来る。

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RNAがテンプレートから分離されると、すみやかにdsDNAが形成されて、transcriptionはすぐに終了する。 RNAポリメラーゼとDNAの強い結合は、unwindされていて初めて実現されるものなので、 dsDNAになるとこの結合はもはや見られなくなり、RNAポリメラーゼはリリースされる。

Rho-Dependent Termination

Rho 5’ー>3’ RNAヘリカーゼを別途必要とする仕組み。

Rhoは40nt程度のCリッチな配列を識別して結合する。 この領域をRho utilization sitesとかRut sitesと呼ぶ。 だいたい60%〜70%くらいの比率でCがあるとRut sitesとして機能するらしい。

RhoはRNAポリメラーゼから出たあとのRNAにだけ結合する。

Rhoはひとたび結合すると、3’に向かってtranslocateしていき、RNAをActive siteから引き出す。

以後はdsDNAが形成されてintrinsic terminateと同じようにRNAポリメラーゼがリリースされる。

Rho-Dependent Terminationの方がレアで、しかもいつtemrinateするかにラグがある(ヘリカーゼが認識して結合して引き出し終わるまでの時間が影響するから)。

次:バクテリアにおけるTranscriptionのRegulation

バクテリアにおけるTranscriptionのRegulation