ここまでの手法をもとに見つけたタンパク質たちの研究から、E. coliの複製がどのように開始されるかを見ていく。
E. coliのoriginはReplicationGeneseとその見つけ方でも触れたように、unwoundしやすい13-merとinitiatorが結合する9-merが幾つか含まれている。 13-merはATが豊富な領域でほどきやすい。
以上の特徴がどう使われていくかを以下に見ていく。
複製の開始でoriginで最初に活動するタンパク質をinitiator proteinと呼ぶ。これはE. coliではDnaAの事。 initiator proteinが9-merに結合する。これはdsDNAに結合する。dsDNA binding domainが結合する。
initiator proteinは、結合すると、ATPを消費しつつ13-merの所をunwindする。 13-merの方はsingle binding domainが結合する。同じinitiator proteinだがdomainは別らしい。 こちらはssDNAに螺旋状に結合していく。
ここまではDNAとDnaAとATPだけで起こる。
ただし、DNAはnegatively supercoiledな状態じゃないとあまり起こらない。
DnaCはヘリカーゼローダーで、DnaBとcomplexとして機能する。
これでoriginにBCコンプレックスが、それぞれのstrandで反対向きに結合した状態になる。 Bの向いている方向に進んでく。
最初に結合する時は、左に進むヘリカーゼは右よりに、右に進むヘリカーゼは左よりに結合する。 だから両者がunwindを進める段階になると、すれ違う事になる。
ただこの時点ではDnaCがDnaBを抑制しているので、unwindは始まらない
次にプライマーゼがRNAプライマーを合成する。 すると、DnaBとDnaCは離れる。DnaCは溶けて消えてしまう。
DnaCが居なくなるとDnaBが活動しはじめる。つまりヘリカーゼが移動を開始する。
このプライマーはLeading strandのプライマー。
DNAポリメラーゼの種類とトロンボーンモデルでやったホロエンザイムのsliding clamp loaderが、primerを識別する。 そしてsliding clampをPTJのそばに設置する。
すると3つのDNAポリメラーゼIIIのうちの一つがその場所を認識して活動を開始する。 Leading strandを合成していく訳だが、これは先程のDnaBとは反対側に進む事になる。
ヘリカーゼの向きと反対側にprimerが合成されていくのは、岡崎フラグメントの場合も同様なので、そこのメカニズムは同様。
こうしてLeading strandの合成が進みフォークの端までたどり着くと、そこから先はトロンボーンモデルで合成が進む事になる。
最初のDnaAの結合だけがoriginの配列に依存した振る舞いをしている。 他は配列とは関係ないタンパク質同士の相互作業や、DNAの配列に依存しない構造との相互作用ですべて進む。