複製の始動で述べたような理解がどのように得られたのか、それらに関わるassayを見ていく。
DnaAが最初にdsDNAに結合するところのassayから見ていく。 その目的にはDNA Biding Assayというものが使われる。主に二種類のDNA Binding Assayを見ていく。
あるタンパク質はどちらかのassayで良く引っかかる、という事があるので、両方試す方が良い事が多い。
Gel Shift assayとも呼ばれる。 単にラベルを付与したDNAとタンパク質を混ぜて電気泳動してみるだけ。
DNAとタンパク質が結合していると、DNA単体よりも移動が遅くなるので、結合しているかどうかが判定出来る。 結合している数によってどんどん遅くなるので、それぞれ別のバンドとなって検出出来る。
大量の複合体を用意出来るならethdium bromideでも検出出来るが、それは面倒なのでラベルを付与する方が少ないタンパク質で検出出来て良い。
利点 | 欠点 |
---|---|
単純 | 結合している部分の配列が分からない |
速い | |
定量的 |
欠点を改善する為に、ミュータントを使うという方法とコンペティションを使うという手法が考えられる。 どちらにせよ、追加の実験が必要という点でやはりEMSAの欠点といえる。
ミュータントは結合しないミュータントが出来たらシーケンスして比較する感じか。
EMSAで、ラベル無しのコンペティターを一杯入れて反応が変わるかを見る。 ラベル無しの、切り分けたい対象を含んだdsDNAコンペティターを使う(20bpとかそれ以下とかの短さ)。
例えば13-merと9-merのどちらと結合しているかを調べたければ、
の三種類を比べれば良い。9-merと結合するなら、9-merのコンペティターを加える事でバンドがなくなるはず。
結合する配列まで分かるassayとして、DNase I Protection assayというものがある。 タンパク質がnickを作るのを妨害する場所を調べるassay。
結果がfootprintっぽいので、footprint assayとも呼ばれる。
ORCというタンパク質の例が出ていた。
DNase Iは配列非依存のendonucleaseで、dsDNAの片方のstrandにnickを作る
ニックが一つ入ると、ラベルからそこまでの長さのDNA片が検出される。 平均では一箇所になるようにDNase Iを調整してあるので一回と考えると、 どこに入ったのかと長さは一対一の関係になる。
タンパク質が結合している部分はこのカットから守られるので、 カットがこらない場所を長さからシーケンスの場所を知る事が出来る。
なお、結合している端の所などはむしろカットが増える場所もある。
また、守られる範囲は結合している所よりも少し広くなる事が多いが、 それでも結構解像度は高い(20〜25bpくらいまで分かる)。
利点 | 欠点 |
---|---|
シーケンスのどこに結合するかが分かる | 時間が掛かる |
85%以上のDNA結合が必要 |
EMSAと違い、無い事を検出するので、 結合してない物がかなり少ない状態に出来ないと、検出で区別出来ない。
EMSAとfootprinting (DNase I Protection assay)は、タンパク質によってどちらが検出しやすいかとかに違いが出る事がある。 なので両方試す方が良い。
footprintingがうまく行かないケースでは、結合が弱いタンパク質の場合が考えられる。 この場合はfootprintingに必要な割合の結合が得られない。
EMSAがうまく行かないケースとしてはタンパク質が大きい場合が考えられる。 大きすぎてゲルを移動出来ないとEMSAは使えない。
initiatorの結合の次はunwindについて調べたくなる。unwindについてのassayを見ていく。
footprintingと似た考えで、ただssDNAだけをnickするような物に対するprotectionを検出出来れば良さそう、というのが基本的なアイデア。
SV40の例が出ていた。腫瘍のウィルスでポリオウィルスがこのSV40で汚染されていた事があって、昔のポリオワクチンに混入していた事があったらしい。 何故かガンは発症しなかったらしいが、研究が流行った時期があるとかで良く知られている。
5000bpの円環のゲノム。
そしてSV40 large T antigenというタンパク質がこのゲノムに結合するとunwindが起こるとか。 E. coliと違ってsupercoilの必要無いらしい。
カットはssDNAでしか起こらないので、unwindした所でしか起こらない。
なおunwindの範囲が小さい時はunwindに関わるタンパク質に守られてendonucleaseがうまく届かない場合がある。 そういう場合はKMnO4の方が細かい所に入れるので良い。
この手法ではLinearなものは良いが、circularなものやLinearでも凄く長いものではそのままでは使えない。 そこで検出の方法に少し小細工する。
Unwind assayを行った後に、検出する方法の工夫としてIndirect end labelingというものがある。 ssDNA cleaving reagentで処理する事でunwindの所のssDNAに切れ目を入れる、というアイデア自体は同様だが、 その結果を検出する方法が違う。
手順1の所でunwindしている所(つまりオリジンのあたり)にだけ切れ目が入っている。 そこから少し離れた所で、そこに向かうラベルを付与したプライマーをannealしてポリメラーゼで伸長していけば、nickの入っている所で止まる。 プライマーから伸長されたものがラベルで検出される。
この手法の場合、目印の所で合成が止まればいいので、KMnO4などで酸化する場合は鎖が切れてなくても酸化していれば十分なポリメラーゼが多い(からそういうポリメラーゼを使えば酸化するだけで十分)。
複数のタンパク質が関わるもの(complexとか)のassayに向いた手法。
footprintingは数百bp以上になってくると厳しい。 gel shiftはタンパク質が多く関わると厳しい。
検出方法としては、もし対象を知っているなら蛍光塗料でも良いし、 immuno blottingでも良い(antibodyを使った検出方法)。 radioactive labelでも良い。S35 ラベル付加されたメチオニンやS35ラベル付与されたシステインなど(両方でも良い)。
具体的にどうやるか?
oriCにDnaBなどが結合するケースを考える。
ビーズがなんで必要なのか、いまいち良く分からないな。 洗い流す所で使うんだと思うが…
お、ちょっとわかったかも?ようするにカラムexchangeクロマトグラフィーみたいな事をするのか? カラムのビーズとしてマグネットビーズを使うと、DNAがめっちゃビーズにくっつくので、他のタンパク質を全部洗い流しても残る、と。
残った後をどうするんだ?という気はするが、最後に洗い流す方法があれば良さそうだな。
DNA | DnaB(ラベル付き) | DnaA | DnaC | DNAにラベルが付加されているか? |
---|---|---|---|---|
+ | + | no | ||
+ | + | + | no | |
+ | + | + | + | yes |
DnaBが結合する為にはDnaAがunwindして、DnaCがロードする必要があるので、両者が無いと結合しない。