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Termination
Termination時には、二つの重要な出来事が起こる
- タンパク質をtRNAからリリースする
- リボソームをtRNAとmRNAからリリースする(このプロセスをRibosome Recyclingと呼ぶ)
ストップコドンは64個のうち3個を占め、ストップコドンはtRNAでは無くタンパク質(Class I Release Factor)により識別される。
Class I Release FactorはtRNAと似た構造のタンパク質で、機能も似ている。
RF 1(バクテリアのClass 1 Release Factorの一つ)の”acceptor”と呼ばれる領域はtRNAのacceptorのCCAと似た場所に配置され、
“anticodon”と呼ばれる領域はtRNAのanticodonと似た場所に配置される。
ダブルクオートでRF1側のものであるというのを表しているらしい。
バクテリアの二つのClass I Release Factor
バクテリアにはRF1とRF2と呼ばれるClass I Release Factorがある。
両者の違いは”anticodon”の所は3つのアミノ酸のみらしい。
- RF1 … UAAとUAGを認識、アミノ酸はPVT
- RF2 … UAAとUGAを認識、アミノ酸はSPF
アミノ酸を差し替えるとRF1とRF2の役割を入れ替えられるとの事。つまりここの領域以外の構造は代替出来るほどに似ている。
Eukaryoteにも同種のタンパク質がある。
- eRF1 … UAA, UAG, UGAを認識、アミノ酸はNIKS
だが見ての通り一対一には対応してないし、メカニズムも結構違うらしい。
RF1/RF2の”acceptor”側にGGQという配列があって、これがhydrolysis motifと呼ばれていて、
peptide hydrolysisを促進する。この配列を取り除くとこの機能は失われることが確認されている。
これがRibosomeにアミノ酸では無く水を持ってこさせてペプチドのnucleophileとして使わせる。
これが形成されたペプチドを加水分解してtRNAから切り離す。
この反応はRibosomeのconservedな配列が関わっているようで、これを変異させると行われなくなる(かつてTranslationのElongationの「ペプチド結合形成のメカニズム」でpeptidyl transferaseを調べた時に影響がなかった所はここで使われている事が判明)。
バクテリアのTerminationとRibosome Recycling
- RF1(またはRF2)がAサイトにやってきてStop Codonとペアリングし、tRNAについていたペプチドを加水分解してリリース
- RF3と呼ばれるClass II Release FactorがGDP boundな状態でやってきてRF1に結合
- GDPとGTPが置き換えられてconformation changeが起こり、RF1をAサイトから追い出す。RF3はリボソームと結合したまま。
- RF3のGTPがfactor binding centerとの相互作用により加水分解されて、RF3がリボソームからリリースされる
この段階でリボソームにはPサイトとEサイトにtRNAが、Aサイトが空、mRNAもまだある、という状態になる
- RRF (Ribosome Recycling Factor)がAサイトにやってきて、peptidyl transferaseが起きてる時のtRNAのような形として結合する。つまりA-サイトが半分だけ空の状態になっている。
- EF-G+GTPがAサイトに結合し、通常のElongationと同様にGDP+Pとの結合状態になってRRFをAサイトからPサイトに押し出す。これがPサイトのtRNAをEサイトに押し出し、どちらのtRNAもリリースされていく。
- EF-G+GDPがリボソームからリリースされ、RRFはPサイトに入るとやがてリリースされる(あまりPサイトとのアフィニティは高くない)
この段階で、リボソームはA, P, Eサイトが空でmRNAだけある状態
- IF3が結合してLarge Subunitが分離される
- mRNAがSmall Subunitからリリースされる
Class II Release FactorはGTPと結合して加水分解する機能を持つ。
バクテリアではRF3。
EukaryoteのTranslation Termination
Class II Release Factorの働きがバクテリアと大きく異なる。eRF3がClass IIか。
- eRF3+GTPがeRF1と結合し、Stop Codonへと輸送する
- Stop CodonとeRF1がparingすると、factor binding siteとeRF3が相互作用してGTPを加水分解する
- eRF3+GDPがリリースされて、eRF1だけがAサイトに残る
- eRF1のGGQ motifがペプチドの加水分解をうながし、ペプチドをリリースする。(GGQ motifはhighly conserved)
- Rli 1+ATPがmRNAと結合して、ATPを加水分解する事でヘリカーゼのように振る舞って自身をLarge SubunitとSmall Subunitのactive siteへと移動させる
- Large Subunit、eRF1, tRNAがリリースされる
- mRNAがリリースされる(この辺を含め、5から先はまだ良くわかっていない)
eRF3はeRF1を輸送する機能を持つ。EF-Tuなどに似た機能と言えるかもしれない。
EukaryoteのmRNAについての補足
EukaryoteのmRNAは、片方にeIF4E, G, Aがついていて、反対側の端にはPolyA tailがあり、このPolyA tailにはpolyA binding proteinが結合している。
このeIF4E, G, AとpolyA binding proteinが結合して輪っかの形になっている事が多い。
そして小さいmRNAに対しては、この輪っかの構造がTranslationを開始して輪っかをRibosomeが進んで、終端に近い所にあるストップコドンまで進み、そこでLarge SubunitとSmall Subunitが離れて、そのまま次のTranslationにSmall Subunitが再利用されるのを促進している模様。
大きなmRNAではあまりそうした現象はみられないらしい。
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TranslationにまつわるAssay達