以下のノートでは、RNA Pol IIのコアプロモーターの主要な構成要素をすべて載せてある。 実際のプロモーターはこのうちのいくつかだけがある。
プロモーターはgeneの転写の制御に必要な全配列の事。そのうちのCore Promoterを見ている。
これらの構成要素の位置はプロモーターによって変わる場合もある。ノートには典型的な位置を書いてある。
TFIIB Response ElementでTFIIBと結合する。RNA Pol IIのGTFをTFII〜と呼ぶ。この場合はTFIIB。
TBP (TATA Binding Protein)と結合する。これはより大きな TFIIDというcomplexの一部。
Initiator element。これもTFIIDと結合。
Downstream Control Elements。TFIIDと結合。
Downstream Promoter Element。TFIIDと結合。
最初に見つかったのがBRE, TATA, Inr。Downstream Element関連はあとになって見つかったもので、レア。 TATAが一番良く見られる。
TATAが無いプロモーター、TATA less promoterを理解しようとする試みの中でDownstream Promoter Elementsは見つかった。
Full Promoterは400bpから10kbp以上のものまで存在する、プロモーター全体。 その中にProximal Promoterがあり、その中にCore Promoterがある。
Full PromoterのうちProximal Promoter以外の部分には、Long Range Promoter Elementsと呼ばれるものがある。
Long Range Promoter Elementsにはどういったものがあるか?
転写のアクティベーター。
Enhancerは配列specificなDNA binding transcription factorsやgeneral transcription factorsと結合する。 だから性質としては、付随するコーディング領域を持たないプロモーターのように見える。
そしてEnhancerはeRNAというRNAも生成する。このeRNAを取り除くとEnhancerは機能しなくなるので、どうもこのeRNAはEnhancerの機能に必要な模様。
まだ詳しくは分かってないが、このeRNAがDNAのループを作ってEnhancerとプロモーターを近接させている模様?
このEnhancerはnucleosome remodeling complexやhistone modifiersなどのDNA binding TFsを動員してこれをプロモーターに提供している。
Chromatin Boundariesを形成する。2種類ある。
Enhancer Blocking Insulatorは、Enhancerの右と左の両方にプロモーターが存在している時に、片方にだけ相互作用するようにブロックする。 ブロックのメカニズムはEnhancerとは別の(競合する)ループを作成する事によって、の模様。 CTCFというタンパク質がInsulator Elementと結合してループを作るのは確からしい。
バリアの方は例えばヒストンのアセチル化を止める場合は、ヒストンの間に十分な長さを設ける場合や、 Insulator領域にHDAcたちを結合させて伝播を止める場合がある(だいたいは十分な長さの方)。
近接した複数のgeneに作用する。
例として人間のglobin genesを見てみる。 globin genesを制御するLocus Control Region (LCR)がある。
globinのgeneはいくつかあり(ε, γ0, γ1, δ, β)、 胎児の時には特定のglobin geneが有効化され、年齢を経ると別のglobin geneが有効化されていく。 LCRをinactivateすると、全グロビンgeneがinactivateされる。
これはネズミやキツネでも同じような機構がある。
LCRはクロマチンの広い領域をopenする事で機能している。 LCRがあるか無いかでヒストンmodificationが大きく変わる。 Histone Modifying EnzymeやNucleosome Remodeling Complex(こちらはたぶんレア)を動員してこれを実現している模様。 そのほかにもLCRが何かやっているかどうかはまだ分かってない。
LCRは通常のEnhancerよりも大きい傾向にあり、通常のEnhancerより長い距離をまたいで機能する傾向にある。
LCRが複数のgeneのどれを有効にするかなどがどう制御されているかは良く分かっていない。 ループの形成を制御する何かがあってそれでどのgeneと近接するかが変わるとかか?と思われているが詳細は不明。
昔から、制御に関わる領域がDNase Iにとてもsensitiveなのが知られていた。 おそらくnucleosome-freeなのだろう。
Open Chromatin Statesの場所を調べたいと思えば、核を持ってきて、DNase Iを加えれば良い。 だがあまり加えすぎるとnucleosomesの中もカットしてしまうので、 滴定してちょうど良い量だけ加える。
そしてgel purificationしてDNAの小さい断片を分離して、ヌクレオソームを含む150bp程度の群と小さい群をDeep Sequenceする。 そしてゲノムにマップすれば、小さい断片はorigins, enhancers, promotersなどの領域となっている。
小さい断片の領域がどの役割なのかを知るのは難しい。transcriptionのサイトのすぐ前ならプロモーターだろうとはわかるが、Enhancerやoriginは分からない。
だが、DNaseから守られた領域が特定のTFで守られたおかげかどうかを調べたければ、ChIP-seqした結果と突き合わせれば良い。
DNaseはendonucleaseで、MNaseはendonucleaseかつexonuclease。MNaseの方がヌクレオソームギリギリまでDNAを分解していくので、 ヌクレオソームの位置を調べるのに向いている。一方DNaseはもっと小さなタンパク質 binding siteを調べる事が出来る。
Chromosomeの異なる領域同士がどう相互作用するかを調べるassay。 特に 3C Deep Seq(Hi-Cとも呼ばれる) を見ていく。
大きく離れた(2kbとか20kbとか50kbとか)領域が、タンパク質を媒介して結合しているという仮説のもとに考えられた手法。
これで接続された場所を知る事が出来る。
7に関しては以下を参照。
クイズのリンクから貼られた動画も眺めてみる。
Hi-C A Method To Study The Three-Dimensional Architecture Of Genomes - Video
手順多すぎて良くわからんくなってくるが、大変だなぁ、という気分は伝わってきた。 こういう動画は実験を出来ない自分のような立場の人には良いな。
junctionの位置を特定する為には、両側に20bp以上が必要。 これをシーケンスして、相互作用のある領域をグラフにプロットする。 すると以下のFig. 1のようになる。
対角線の領域は単に一本のDNAが切断されてreligateされただけと思われる。 白い領域は相互作用が見られない領域。 対角線から離れているが赤い所がループを形成していると疑われる所。
また、違う可視化の方法として、上記グラフの片方の座標を何らかの場所、 例えば興味のあるTSSなどに固定して、そこからの距離を横軸に、interactionの数を縦軸に取ってみる。(ノート18ページの図)
近くとはたくさんreligateされるが、少し離れたら単なるreligateの頻度はほとんど無くなるはず。 だからそこから大きく離れたとこにに相互作用が観測されたら、そこがdistal enhancerと思われる。
ChIA PET: Chromatin Interaction Analysis using Paired End Tag sequencing
自分の関心のあるタンパク質がloopingに含まれているか?と調べるassay。 3Cと似た手続きだが、junctionだけを取り出すところでChIPする。
つまり、クロスリンクを作って裁断して薄めたligateをしてループを作る所までは同じような手続きだが、 その後に目的のタンパク質の抗体にマグネットをつけてそれを取り出す。
以後は普通にDeep Seqしてjunctionの位置を特定する。
このChIA PETをCTCFというタンパク質に対して行った所、たくさんの異なる染色体間の相互作用が見られた。