Molecular Biology 728x

Molecular Biology 728x

Baseが損傷したDNAの修復

Contents:
  1. Direct Repair
    1. photolyaseのaffinityの仕組み
  2. Base Excision Repair
    1. 修復手順
    2. いくつかのglycocylase
    3. rNMPが組み込まれた場合の修正
  3. Nucleotide Excision Repair
    1. Uvr A, B, C, Dによる修復の例
    2. Transcription Coupled Repairによるコーディングリージョンの優先
    3. E. coliとEukaryoticのNERタンパク質の比較
  4. Translesion Syntesis
    1. labeled primerとテンプレートにpyrimidine dimerのあるものを使ってassayする

修復のメカニズムには以下のようなものがある。

  • Direct Repair
  • Base Excision Repair
  • Nucleotide Excision Repair
  • Translesion Synthesis

Direct Repair

UV lightでpyrimidine dimerが出来たケースなどを修復する、photolyaseなどがこの機構。

photolyaseはpyrimidine dimerと高いaffinityをもって結合し、通常の可視光を使ってFADHという部分が自由電子を生み出し cyclobutaneを通常のnon-pyrimidine dimer状態に戻す。 もとの状態に戻すとaffinityが低下するので離れていく。

つまりDNAの損傷した場所を直接修復する。

他にもO6-methylguanineを、メチル基を取り除く事で修復するケースもある。 この場合は反応の過程でこの修復を行うenzymeが殺されてしまう。

photolyaseのaffinityの仕組み

photolyaseはpyrimidine dimerをフリップさせて自分側に向けて結合する。 通常はbase pairが水素結合でつながっている所、pyrimidine dimerが形成されるとstrand間の結合が弱まるのでフリップしやすくなる。 そしてフリップしたdimerとphotolyaseが結合する。

だからフリップしやすい部分の方が高いaffinityを示す。

Base Excision Repair

glycosylaseは損傷したbaseを除去する。

DNAの損傷の加水分解の所で記したように、CがdeaminateされるとUになる。 また、dUMPが組み込まれてUが入る事もある。

glycosylaseはこのUを(塩基部分だけ)除去する。 このまま複製されると片方が無い部分(apurinicかapyrimidinicのsite、つまりAP site)の片方がランダムに選ばれてしまうので、 複製の前に修復される必要がある。

glycosylaseもUの部分をフリップしてactive siteに近づけて反応を行う(この場合は加水分解)。

修復手順

  1. glycosylaseがUの塩基部分を除去(AP siteとなる)
  2. AP-EndonucleaseがDNAのAP siteの5’側を切断する
  3. 5’ to 3’ ExonucleaseがAP phosphodiester backboneとさらに1〜3 base程度を除去する
  4. DNAポリメラーゼとDNAリガーゼがDNAを再合成してニックをシールする

いくつかのglycocylase

  • Uをターゲットにするもの
  • G:TペアのTをターゲットにするもの(5-methylcytidineがdeaminateするとThymidineになるのでG:Tペアが誤って出来る)
    • CpG methylationのある人間などの細胞にしか無い(バクテリアには無い)

rNMPが組み込まれた場合の修正

  1. RNaseH2がrNMPに向かう5’をカットする
  2. ポリメラーゼが5’末端を伸ばして新しく合成した3’OHで置き換える
  3. FEN1がflap DNAを認識してカットする(FEN1はFlap Endonucleaseの略)
  4. ligateしてつなげる

flapは上に折れて突き出た部分の事か。

Nucleotide Excision Repair

  • lesion … 損傷
  • adduct … 付加物

BulkyなDNAのmodificationが起こった部分に作用する(pyrimidine dimerなど)。 二重らせんが崩れるような大きな損傷で使われる。

Uvr A, B, C, Dによる修復の例

  1. Uvr A/B がA2B2 complexを形成して、DNAをスキャンし続けてBulky adductsを探す
    • どうやってスキャンが移動していくのかは良く分かってない
    • 普通のDNAだと比較的早く離れる事くらいは分かってる
  2. 損傷が検出されると、以下が起こる
    • 結合が強化される
    • Uvr Aが自身に結合しているATPを加水分解し、UvrA-ADPが離れる
  3. Uvr Bだけが残ると、ヘリカーゼのような挙動でDNAを開く(meltと言っていた)
  4. 損傷している方のstrandのUvr Bが離れる(どちらが損傷しているかが分かるらしい)
  5. 残ってる方のUvr BがUvr Cと結合する
    • Uvr CはEndonucleaseで、損傷したbaseから 5’側を8bp、3’側を4〜5bpの部分をカットする(つまり12〜13baseが削除される)
  6. Uvr D(またの名をヘリカーゼII)がexcised ssDNAを取り除く(ニックが入った間って意味か)
  7. DNAポリメラーゼとリガーゼが間を合成してシールする

Transcription Coupled Repairによるコーディングリージョンの優先

RNAポリメラーゼを使ってDNAの損傷を検出する。

RNAポリメラーゼは損傷のあるあたりで良くstallしている。 これがシグナルとなって、Transcription Coupled Repair Factor、通称TCRFを連れて来る。

TCRFは2つの事をする

  1. ATPの加水分解を使ってRNAポリメラーゼを追い出す
  2. Nucleotide excision repair proteinを動員する(例えばE. coliの場合はUvr A)

以後は損傷と結合して通常のNucleotide excision repairのプロセスが始まる。

E. coliとEukaryoticのNERタンパク質の比較

役割 E. coli eukaryotic
損傷の検出 UvrA XPC + DDBI/XPE
DNA opening UvrB XPA/TFIIH
DNA cleavage UvrC XPF (3’)、XPG(5’)
oligo removal UvrD (Helicase II) TFIIH
DNA合成 Pol I Pol デルタ か Pol イプシロン

TFIIH (TF2H)は転写で詳しく扱うらしい。

Translesion Syntesis

Y-familyのポリメラーゼが担当する。

  1. 通常のポリメラーゼがstallする(ポリメラーゼIIIとか)
  2. Sliding Clampは残るがポリメラーゼは離れる(横についている)
  3. translesion DNA ポリメラーゼが代わりにはまる(ポリメラーゼスイッチング)
  4. baseを適当に合成していく(processivityはpoorで2とか3baseとか)

Aが多めらしい。

labeled primerとテンプレートにpyrimidine dimerのあるものを使ってassayする

labeled primerを使って通常のprimer extension assayと同じ手順で、 テンプレートの方にpyrimidine dimerを作れば良い。

E. coliだとポリメラーゼI, II, IIIではpyrimidine dimerまでしか伸びないが、 translesion polymeraseであるポリメラーゼIVかVを加えておけば端まで合成が続くので長さの違いで検出出来る。