Biochemistry 705x

Biochemistry 705x

チャンネル、トランスポーター、ポンプ

Contents:
  1. membraneとタンパク質
  2. チャンネル、トランスポーター、ポンプ
    1. 膜間輸送を起こすメカニズム
    2. 膜間輸送の熱力学
    3. 膜間輸送のkinetics
    4. 実験でPermeabilityを計測する(トランスポーターのメカニズム)
  3. チャンネル
    1. アクアポリンチャンネル
  4. Glucoseトランスポーター
    1. Permeabilityの実験をGlucoseトランスポーターで行う
    2. GLUT1の構造
    3. 輸送の4つのステップ
    4. トランスポーターの定義
  5. 荷電分子の輸送
    1. 筋細胞のCa2+ポンプ
    2. P-type ATPase
    3. Ca2+ポンプのメカニズム
    4. Na+, K+ ATPase ポンプ
    5. ポンプの定義

BloodClotting

membraneとタンパク質

脂質はイオンや極性分子を通さない。

membraneにはタンパク質がいっぱい詰まっている。

  • integral membrane protein 二重層を貫くタンパク質(なお完全に貫通するものをtransmembrane proteinと呼ぶらしい)
  • peripheral membrane protein 表層にひっつくタンパク質

二重層は30オングストロームくらい。 そこにintegral membrane proteinやperipheral membrane proteinがくっつくと50〜80オングストロームくらい。

integral membrane proteinはhydrophobicなRを持つαヘリックスや、外側向き(一つおき)にhydrophobicなRを持つβバレルが多い。 βバレルは内部にイオンを通す構造とする事でチャンネルになる。 αヘリックスも複数集まって外向きが疎水基、内側が親水基とする事でチャンネルになる事もある。

チャンネル、トランスポーター、ポンプ

これらはintegral membrane protein。極性分子やイオンをmembraneを越えて移動するのを助ける。 人間のゲノムのうち、2000 geneくらい(だいたい10%)がこれをエンコードする。

膜間輸送を起こすメカニズム

  • 膜の両方の濃度差: デルタC
  • H2Oの場合、osmolarityの違い(浸透圧): デルタπ

膜間輸送の熱力学

輸送が自発的かどうかを考える。

PngNote 48ページ

膜間輸送のkinetics

輸送の速度を考える。FluxとPermeability coefficientの定義。

前述のデルタGはPとSの間の自由エネルギーの差であって、間のactivation energyを含まない議論。kineticsはactivation energyの議論。

PngNote 49ページ

実験でPermeabilityを計測する(トランスポーターのメカニズム)

膜の外と内側の濃度差を横軸にJを縦軸にとって計測する。直線になり、傾きがPermeability。

膜としてリン脂質を使うと、コレステロールなどのnon polarな分子なら傾きは大きくなる。

尿素などのpolarな物だと傾きは小さくなる。だが単純なリン脂質じゃなくて赤血球の細胞膜(erythrocyte membrane)を使うと大きくなる。

通常の状態だと尿素には水分子が周りにいて、これを取り除いて脂質に入るのには大きなエネルギーを要求する。 だが、膜にタンパク質があれば主鎖や側鎖のアミノ基やカルボキシル基と非共有結合で結びつき、水分子を取り除くコストを下げる。 これがactivation energyを下げて、Pを大きくする。

permeability coefficientはexp(-ΔG/RT)に比例する(EyringEquation)。

チャンネル

定義。

  • Facilitate transport by decreasing ΔG++ for diffusion (facilitated diffusion)
  • No expenditure of energy
  • Net transport follows concentration grad
  • No saturable(濃度差を上げればFluxは上がり続ける)

アクアポリンチャンネル

Aquaporin。6つのtransmembraneなヘリックスと2つの短いヘリックスで構成されている。これが4つ集まって機能する(tetramer)。

輸送力

秒間3*10^9個のH2Oを輸送出来る。

ΔG++は15kJ/mol 未満と推定されている。

高いselectivity

H2Oだけを通す。H+とかH3O+とかすら通さない。>プロトンシャトルにならない(プロトンシャトルは触媒としての酵素のCarbonic anhydraseを参照)

構造と仕組み

砂時計みたいな形で、一番狭い所で2.8オングストロームととても細い。両サイドはペプチド結合が並んでいて、カルボキシル基が水分子と水素結合出来る。

H+を弾く仕組み

2つの短いαヘリックスのN末端が向かい合っている。これが、

  1. そもそもαヘリックスはバックボーンのアミノ基とカルボニルが逆方向に向いているのでdipole(すごく弱いが)。N末端が+でC末端が-
    >プラスを弾く
  2. N末端がAsn-Pro-Alaの配列になっていて、Asnが反対向きになっている
    水分子のOが一方のAsnのNH2に引き寄せられて、通過する時にもう片方のNH2に引き寄せられるので水分子の向きが通過時に反転する。>H+との結合を引っぺがす

Glucoseトランスポーター

  • seizure 脳卒中やてんかんなどの発作

次に親水性のグルコースの場合を見てみる。

Permeabilityの実験をGlucoseトランスポーターで行う

C14を付与したグルコースで計測をし、膜の先のコンパートメントの放射線量を計測する。

PngNote 50ページ

通常のmembraneではほとんど透過しないが、赤血球(RBC)の細胞膜はよく透過する。

RBCにHgCl2を加えると、透過しなくなる。 HgCl2はCysのSH基と結合して不活性になる。>タンパク質で輸送されている

フラックスの式は、MichaelisMentenの方程式と同じ形。つまりsaturable。チャンネルでは無い。

GLUT1の構造

グルコーストランスポーターの一つ、GLUT1について。なお、グルコーストランスポーターは5までは知られている。

12個のtransmembraneなαヘリックスから構成される。 これらが円環を為していて、円環の外側はhydrophobic、内側はhydrophilic。

αヘリックスは隣のアミノ酸までで100度進むので、1から6まで番号を振った時、1, 4, 5をhydrophobicに、2, 3, 6をhydrophilicなアミノ酸にすれば、片側をhydrophobicに、反対側をhydrophlicなαヘリックスを作れるので、これを12個並べて円環を作れば良い。 例えば

1:L, 2:T, 3:T, 4:L, 5:W, 6:S など。

輸送の4つのステップ

Tをトランスポーター、Aをグルコースとする。Tにはout状態とin状態の2つの状態がある。

Step1: Binding

Tのout状態とAが結合しする

Step2: Transport

膜を通過する

Step3: Dissociation

内部に入ったあとにTのin状態とAが分離する。

Step4: Recovery (またはReset)

分離したTがinからoutの状態に戻る。

ゲートのように振る舞うのでgated poreと呼ばれる。

トランスポーターの定義

  • Facilitate diffusion by decreasing ΔG++。
  • エネルギーは消費しない
  • 濃度のgradientに従う(uniporterなら)
    ただ、複数の分子を使って動くゲートの場合(co-transporter)、片方の濃度差に逆らって輸送する事がある。その場合もnetのΔGtはマイナスになる必要はある。

2種類のco-transporter

  • symporter 複数の粒子が同じ方向に輸送される
  • antiporter 複数の粒子が反対側に輸送される

荷電分子の輸送

考えなくてはいけない事が2つに増える

  • 濃度のgrad
  • 膜間の電圧grad

この2つをあわせてelectrochemical gradientと呼ぶ。

PngNote 51ページ

筋細胞のCa2+ポンプ

  • cytoplasm 細胞質
  • sarcoplasmic reticulum 筋小胞体、膜に囲まれてCa2+を貯蓄する器官(SRと略す)

細胞質から筋小胞体にCa2+を輸送するポンプの例を見てみる。

PngNote 51ページ

P-type ATPase

ATPを加水分解する時に、なにかをphosphorylateするからP-Type。Ca2+ポンプもこれ。他にNa+/K+ ポンプもP-type ATPase。

10個のαヘリックスがtransmembraneで、ポンプの外側には3つのmodular domainがある。 modular domainとは、独立してfoldして、切り離してもある程度は同じ機能を発揮するユニット。

transmembraneのドメインはTドメインとsupport ドメインとなるSドメイン。 Nドメインはnucleotideドメインの事らしい。他にPドメイン(リン酸基が付与されるドメイン)とAドメイン(actuatorドメイン)がある。

Ca2+ポンプのメカニズム

  1. Ca2+が結合する
  2. ATPがNドメインに結合する
  3. NドメインがPドメインのAspにリンを移動する
  4. 形が変化してAドメインが細胞質側の口を塞ぎ、SR側の口を開き、Ca2+をSR側に排出する
  5. ADPが放出される
  6. Pドメインからリンが取れ、
  7. Aドメインがもとに戻る
  8. P, T, Sドメインが戻る(T, Sはtransmembraneのドメイン)

Na+, K+ ATPase ポンプ

細胞の外のNa+を高濃度に、K+を低濃度にする。 3つのNa+を排出し、2つのK+を取り込む。

体内のATP消費の25%がこのポンプ!

ハンドアウトも参照のこと。

ポンプの定義

  • Facilitate transport by decreasing ΔG++
  • Goes against concentration grad
  • Requires energy (ATP)
  • Active transport
  • Saturable