GFPは小さいので核膜の間を自由に行き来出来る。(27 kDa程度)
タンパク質Xというのがあったとする。これは核の中に移動する事がわかっているとする。 これにGFPを付与すれば、GFPは核の中に集まるはず。
ここから初めて、タンパク質Xから一部を取り出した配列とGFPをくっつけて、 どこがあれば核に入り、どこが無いと核に入らないかを調べていけば良い。 特定の領域だけで入るならsufficiencyが、そこを取り除くと入らないならnecessityがわかる。
調べていくと、特定の配列がどこかにあれば十分な事がわかる。ループの途中でもどこでも良い。
NLS-NESの輸送は相当にサイズを変えていっても通れるらしいとの事。
Importinはαとβからなるcomplex。
Exportin-1はオールインワンなExportinの一種で、NESと結合しつつ、NPCとも相互作用する。
どちらも40kDaを越える大きさ(αg58kDaでβが97kDaとあ)なので通過には特別なメカニズムが要る。
ImportinやExportinはFGリピートを結合したり離れたりを繰り返して一段ずつ進んでいく。
どちらもNPCを行き来している。Importinは細胞質側でcargoと結合し、核の中でcargoと離れる。 Exportinは逆に核の中でCargoと結合し、核の外でCargoと離れる。 移動自体はいつも起きていて、どちらで結合するかで輸送の向きが実現されている。
RanというG-proteinにより、Cargoと結合するか離れるかが決まっている。このRanのアクティブな濃度の差により向きが制御されている。RanはGTPaseの一種。
Ranは25kDaで、NPCを自由に行き来出来る。
細胞質側ではRan-GDPの状態で(オフ)、核の側ではRan-GTPの状態(オン)でいる。
GAPは細胞質側に偏在し、GEFは核側に偏在する。(RanGAPとRanGEF)。 GEFはDNAと結合する事で核の中に留まったりする。
核の中では、
細胞質側ではRan-GTPの加水分解でRan-GDPになり、
輸送にはATPは消費していない事に注意。
Ran-GTPとRan-GDPの濃度勾配で輸送の向きを実現している、という話だった。 ではその勾配をどう計測して確認したら良いだろうか?
シアンのemissionと黄色のexcitationはオーバーラップしている。 なので距離が小さいと、FRETと呼ばれる共鳴現象が起きる。
エネルギーの共鳴現象が起こり、DonorからAcceptorへエネルギーが渡される。
この場合はCyanFPがDonorで黄色FPがAcceptor。
436nmの光を当てると、
IBBが何とも結合してないと2つの蛍光分子が近くに揃ってFRETが起こる。 IBBがImportinと結合している時は蛍光分子同士が離れてFRETが起こらない。
つまりImpBがRanGTPと結合している時はFRETが起こり、ImpBが自由な時はIBBと結合するのでFRETが起こらない。
FRETの度合いとしては、一番素朴には AcceptorEM/DonorEM を測る。 Donorは480nm, Acceptorは527nm。
だから核が黄色に、細胞質がシアンに見えるのが期待値。
Ran gradientの他に、NLS/NESをマスクする事で輸送を制御するメカニズムがある。
TFは普通は細胞質側にある。gene transcriptionがactivateされる時だけTFが核に移動して欲しい。 またactivateがある時はturn offの仕組みも必要。restingに戻る為の仕組み。
TFには、NESとNLSが両方ある。これをマスクして制御する。
NFAT(Nuclear Factor of Activated T-cells)。 NFATはT cellシグナルに対するレセプターとして機能し、 抗原を認識するとT cellをturn onし、pro inflammatory genesをactivateする。 これは必要になったら素早くturn-offされないといけない。
NFATも先述の通りNLSとNESを持つ。 restingの状態ではNLSはリン酸化されてマスク状態にある。
activateは、Calcineurinと呼ばれるphosphataseが行う。 NLSのリンの部分を加水分解しNESを何らかの方法でマスクしていると思われている。
NLSが有効にあるとNFATは核に運ばれて、gene transcriptionが行われる。
シグナルが無くなりResting状態に戻ると、Calcineurinを蹴り飛ばし、 キナーゼがNLSをリン酸化してマスクする。
つまり、Ran勾配の他に、NLS、NESをマスクするという制御方法もあるという事。