CellBiology706x

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NuclearPoreの輸送メカニズム

Contents:
  1. NESとNLSの発見
    1. NLSの配列的な特徴
    2. NESの特徴
  2. サイズ依存性
  3. ImportinとExportinがNPCを通過するメカニズム
    1. Importin/Exportinは、FGリピートを順番に進んでいく
    2. Ranによる向きの制御
  4. FRETでRanの勾配を測る
    1. FRETの登場人物
    2. FRET: Forster Resonance Energy Transfer
    3. IBBとFRETが起こる時、起こらない時
    4. 実際の計測は、波長の比率
  5. NLS/NESのマスクによる制御:Transcription Factorsの移動
    1. T-cellの例:NFAT

NESとNLSの発見

GFPは小さいので核膜の間を自由に行き来出来る。(27 kDa程度)

タンパク質Xというのがあったとする。これは核の中に移動する事がわかっているとする。 これにGFPを付与すれば、GFPは核の中に集まるはず。

ここから初めて、タンパク質Xから一部を取り出した配列とGFPをくっつけて、 どこがあれば核に入り、どこが無いと核に入らないかを調べていけば良い。 特定の領域だけで入るならsufficiencyが、そこを取り除くと入らないならnecessityがわかる。

調べていくと、特定の配列がどこかにあれば十分な事がわかる。ループの途中でもどこでも良い。

NLSの配列的な特徴

  • 正に荷電したBasicなAA(basicは塩基性という意味か)
  • 良くあるのはKKKRKなど (lys-lys-lys-arg-lys)
  • Mono/Bi-partite シーケンス

NESの特徴

  • Leuが豊富に含まれる

サイズ依存性

NLS-NESの輸送は相当にサイズを変えていっても通れるらしいとの事。

ImportinとExportinがNPCを通過するメカニズム

Importinはαとβからなるcomplex。

  • α: NLSと結合する。βのアダプターでもある。
  • β: カーゴとαと相互作用する。NPCとも結合する。

Exportin-1はオールインワンなExportinの一種で、NESと結合しつつ、NPCとも相互作用する。

どちらも40kDaを越える大きさ(αg58kDaでβが97kDaとあ)なので通過には特別なメカニズムが要る。

Importin/Exportinは、FGリピートを順番に進んでいく

ImportinやExportinはFGリピートを結合したり離れたりを繰り返して一段ずつ進んでいく。

どちらもNPCを行き来している。Importinは細胞質側でcargoと結合し、核の中でcargoと離れる。 Exportinは逆に核の中でCargoと結合し、核の外でCargoと離れる。 移動自体はいつも起きていて、どちらで結合するかで輸送の向きが実現されている。

Ranによる向きの制御

RanというG-proteinにより、Cargoと結合するか離れるかが決まっている。このRanのアクティブな濃度の差により向きが制御されている。RanはGTPaseの一種。

Ranは25kDaで、NPCを自由に行き来出来る。

細胞質側ではRan-GDPの状態で(オフ)、核の側ではRan-GTPの状態(オン)でいる。

GAPは細胞質側に偏在し、GEFは核側に偏在する。(RanGAPとRanGEF)。 GEFはDNAと結合する事で核の中に留まったりする。

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核の中では、

  • Ran-GTPがImportinとCargoのaffinityを低下させる
  • Ran-GTPがExportinとCargoのaffinityを高める

細胞質側ではRan-GTPの加水分解でRan-GDPになり、

  • Ran-GDPになると、ImportinとCargoのaffinityが回復する
  • Ran-GDPになると、ExportinとCargoのaffinityがもとに戻って低くなる

輸送にはATPは消費していない事に注意。

FRETでRanの勾配を測る

  • fluorophore 蛍光色素分子

Ran-GTPとRan-GDPの濃度勾配で輸送の向きを実現している、という話だった。 ではその勾配をどう計測して確認したら良いだろうか?

Assay

FRETの登場人物

  • IBB = Importin Beta Binding Protein、Importin-Betaがフリーステートの時に結合する(Cargoと同様)
  • CyanFPとYellowFPをIBBにつける

PngNoteの7ページ目

シアンのemissionと黄色のexcitationはオーバーラップしている。 なので距離が小さいと、FRETと呼ばれる共鳴現象が起きる。

FRET: Forster Resonance Energy Transfer

  • emissionとexcitationのオーバーラップのある波長同士で
  • 距離が10nm以下の時に

エネルギーの共鳴現象が起こり、DonorからAcceptorへエネルギーが渡される。

この場合はCyanFPがDonorで黄色FPがAcceptor。

IBBとFRETが起こる時、起こらない時

436nmの光を当てると、

  • FRETが起こる場合は527nmの光が出てくる(黄色)
  • FRETが起こらない場合は480nmの光が出てくる(シアン)

IBBが何とも結合してないと2つの蛍光分子が近くに揃ってFRETが起こる。 IBBがImportinと結合している時は蛍光分子同士が離れてFRETが起こらない。

つまりImpBがRanGTPと結合している時はFRETが起こり、ImpBが自由な時はIBBと結合するのでFRETが起こらない。

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実際の計測は、波長の比率

FRETの度合いとしては、一番素朴には AcceptorEM/DonorEM を測る。 Donorは480nm, Acceptorは527nm。

  • RanGDPが多い領域では、480nmが多い
  • RanGTPが多い領域では、527nmが多い

だから核が黄色に、細胞質がシアンに見えるのが期待値。

NLS/NESのマスクによる制御:Transcription Factorsの移動

  • antigen 抗原
  • inflammatory 炎症性の

Ran gradientの他に、NLS/NESをマスクする事で輸送を制御するメカニズムがある。

TFは普通は細胞質側にある。gene transcriptionがactivateされる時だけTFが核に移動して欲しい。 またactivateがある時はturn offの仕組みも必要。restingに戻る為の仕組み。

TFには、NESとNLSが両方ある。これをマスクして制御する。

T-cellの例:NFAT

NFAT(Nuclear Factor of Activated T-cells)。 NFATはT cellシグナルに対するレセプターとして機能し、 抗原を認識するとT cellをturn onし、pro inflammatory genesをactivateする。 これは必要になったら素早くturn-offされないといけない。

NFATも先述の通りNLSとNESを持つ。 restingの状態ではNLSはリン酸化されてマスク状態にある。

activateは、Calcineurinと呼ばれるphosphataseが行う。 NLSのリンの部分を加水分解しNESを何らかの方法でマスクしていると思われている。

NLSが有効にあるとNFATは核に運ばれて、gene transcriptionが行われる。

シグナルが無くなりResting状態に戻ると、Calcineurinを蹴り飛ばし、 キナーゼがNLSをリン酸化してマスクする。

つまり、Ran勾配の他に、NLS、NESをマスクするという制御方法もあるという事。