RandomThoughts

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【書籍】人口大逆転

Contents:
  1. 購入動機 2023-12-04 (月)
  2. 3章 人口構成周りのグラフが興味深い
  3. 6章 実質金利の話 2023-12-19 (火)
    1. 中国の今後は酷い事になりそうだなぁ
  4. 12章、デッドからエクイティへの変換 2024-01-07 (日)
  5. 13章を読んでいる 2024-01-19
    1. 少子高齢化の対策
  6. 読み終わり、全体の感想など 2024-03-27 (水)
    1. 高齢化をどのくらい中心に据えるべきか?

経済

amazon: 人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小 - チャールズ・グッドハート (著), マノジ・プラダン (著), 澁谷 浩 (翻訳)

購入動機 2023-12-04 (月)

【書籍】21世紀の財政政策が良い本だったので、良く比較で見かけるグッドハート(goodhart)の本も読みたくなったので購入。

3章 人口構成周りのグラフが興味深い

2023-12-12 図3-7を見ると、日本では65歳以上の労働参加率があまり増えていない。 少し増えているけれど、人口構成比と身の回りを見るともっと増えてるかと思ったが。

図3-9 では実行退職年齢が出ているが、これも70歳前後でそれほど大きく増えてはいない。 増えてはいるけれど、予想よりは増えていないな、という印象。

表の3-4 の労働時間1時間あたりGDP増加率が日本とドイツが高くて驚く。 USよりもずっと良さそうだなぁ。

これまで、生産年齢人口一人あたりGDPの伸びが高いのは知っていたが、 これは高齢者の労働参加率が増えてる効果も大きいんじゃないか、と思っていたのだけれど、思ったよりも少ないんだな。

こうして考えると日本はなかなか優秀だな。

6章 実質金利の話 2023-12-19 (火)

図6.4で平均寿命ほどには退職年齢が増えてないというが、グラフの後半は右下がりになっている国が多く、しかもデータが2010年中盤くらいまでしか無い。 これはこのまま下がっているなら、事情は変わっているのではないか?

実際、この前以下を調べてみたら、まぁまぁ上昇していた>就業者数のうち65歳以上の占める割合 at 統計グラフ!

この辺は国によって事情も変わってきそうだなぁ、という気もする。

中国の今後は酷い事になりそうだなぁ

この章の内容と直接は関係ないが、この本では繰り返し中国の影響の大きさを強調していて、 中国の高齢化についての話が述べられているが、 中国の現状の、あまり自由や私有財産がしっかりしてない所での高齢化は恐ろしい話だなぁ、という気分になる。 日本は急速に高齢化に向かうとはいえ、現代的な生活になってからはそれなりに長い。 けれど中国は家族やコミュニティなどから個人への変化と高齢化がかなり近い時期に一気に来てしまったので、 この後に全く備えが出来ていない気がする。 家族やコミュニティの代わりに国が面倒を見るしか無い気もするが、今の共産党の延長のなにかの面倒というのが素敵なものになる気は全くしないよなぁ。 まぁ意外とうまくやるかもしれんが。

12章、デッドからエクイティへの変換 2024-01-07 (日)

この本は自分の知らない話がいろいろ説明無しに出てきて、ついていけない事が多い。 例えば学生教育ローンの所で「名目所得債券」の話が出てくるが、これが何なのかの説明が無く自分も知らない。 エクイティベースのなにからしいが。

エクイティ・ファイナンスを増やす方向に制度を整備するのは良さそうな話には思えるが。

13章を読んでいる 2024-01-19

飛行機の中で13章を読んでいる。 税制の話など、数式を示さずに話をするので自分にはついていけない。

この本は全体的に数式がなく、言葉で説明する。 しかも因果関係のところをちゃんと説明せずに結論だけを示す。

これは何もわかってない人に、自分が分かってないと気づかせないが、少し分かる人(自分など)にはまったくついて行けず、 けれどちゃんとこの分野を知ってる準専門家には特に問題なく分かる、というスタイルだと思う。

21世紀の財政政策の方が自分ほ好きなスタイルだな。

ただこの本の細かい提言は理解出来なくとも、コアとなる主張はとても単純かつ説得力もあるので、 主張としては割と正しそうだなぁ、という印象は受ける。

少子高齢化の対策

ページを分ける。

少子高齢化の対策

読み終わり、全体の感想など 2024-03-27 (水)

いろいろな所で因果関係をすっ飛ばして結論だけ述べるので、自分は議論についていけなかった。 【書籍】21世紀の財政政策が間をちゃんと議論する結果経済学の教科書になってしまっているのに対し、 こちらは経済学の教科書の部分を全部飛ばした結果、 分かる人には(たぶん)分かるが、中くらいの知識の人には全くついていけない内容になっている。

ただし世の中のいい加減な経済学の本にありがちな、 明らかに読んでいるとおかしい所がある、という感じでは無い。 だからきっと背後にはちゃんとしたモデルがあってちゃんとした因果関係があるんだろうな、とは思う。 けれどそれは自分には分からない。

因果関係は分からないけれど、結論は難しい話では無いので、 予言の書としては簡単に理解出来る。 例えば「今後はインフレになり、労働者の交渉力が上昇する」とか。 そして、メカニズムをちゃんと理解する事は自分には出来なかったが、 こうした結論は割と「まぁそうなりそうだな」と思う内容で、【書籍】21世紀の財政政策よりもそうなりそうなものになっている。 そして我々その時代を生きる人間にとっては都合が悪いものでもある。

自分としてはメカニズムを理解出来ないので、あまり読んだ甲斐は無かったなぁ、と思う。 一方で普段からメカニズムとかを理解せずに経済関連の本を読んでいる人にとっては、 こっちの方が【書籍】21世紀の財政政策よりも飛ばす所が無い分わかりやすい、という事になるのかもしれない。 【書籍】21世紀の財政政策が中級者向けになっているのに対し、 この本は初級者と上級者の両極端向きで、間には厳しい。 そして本のほとんどの読者が初級者なのだから、意外とこれが正しいのかもしれない。 ただ自分向けでは無かったな、と感じる。 後半数章はほとんど読んだだけであまり何かを学ぶ事は出来ていない。 自分は何かの理解を深める事はできず、グッドハートの述べる予言を眺めるだけ、という感じになってしまった。 予言を眺めておく価値はあったけれど、その薄い理解のためならそれこそ誰かの感想ブログ程度でも十分となってしまう。 同じ内容を自分でも理解出来るくらいの難度で書いて欲しいなぁ。

そういう訳で買って損したとは思わないし、読む前に戻ったらたぶん買って読むけれど、 もっと自分にもついていける本があるならそちらを読みたいな、と思うような、他が無いから仕方なく読むとう感じの本であった。 どうせ理解できないのなら、普通にグッドハートのBISのワーキングペーパーとかでも十分だったかもしれない。

高齢化をどのくらい中心に据えるべきか?

この本も【書籍】21世紀の財政政策も、世界の高齢化をある程度中心として考えている。 そして自分も以前はそれが正しいと思っていたのでこの本を読んでいるという部分がある。 ただ、最近はそれがどのくらい正しいんだろうか?というのも考えてしまう。

以前以下のブログでも同じような事は書いた。>高齢化社会の現状の雑感 - なーんだ、ただの水たまりじゃないか

世界の高齢化はトレンドが明確で中期ではほぼ確実に起こる現象だ。 だからそれに基づく予想というのも非常に確度が高く感じる。

だが、最近のコロナとかロシアのウクライナ危機のようなものの影響はそれらよりもすごく大きく見える。 こうした、短期的な不測の事態、というのが、結局中期のトレンドを覆しながら毎日は進んでいったりするんじゃなかろうか?とも思えてしまう。 というのは、結局中期のトレンドというのは2050年前後までのトレンドになる。 ざっくりと30年くらいとう事になる。

一方でコロナの影響が大きく響くのは、2024年現在でもう4年とかになる。この手の突発的な不測の事態は30年というスケールに比べて、無視出来るほど短くも無い。 この規模のものがあと5回くらい来れば、中期のトレンドは関係ないといえる。 5回も来たらたまらないが、3回来れば中期のトレンドよりその方が影響はでかいだろう。 2回くらいは来るかもしれない。

さらに業界ごとの影響というミクロ経済的な影響も軽視されがちだよなぁ、という気がする。 昨今のUSなど、マクロでは景気は良い、けれどプログラム業界は景気が悪い。 こういう時の影響などは、マクロで語っても自分の生活とは離れた話となる。 昨今の広告業界の不景気以外でも、プログラム業界はその他の分野と大きく違う景況感を抱き続けてきた。 それはたぶん今後もそうで、そうした影響を無視してマクロで概して考える事にどのくらい意義があるのかは良く分からない。 例えば今後10年でモバイルが衰退してwebが隆盛をきわめた時に、自分がどちらに居るかとか、良い方がどのくら良いかとかは重要だけれど、 合計が縮んだか拡大したかはそんなに重要でも無い気がする。 業界を超えた話でも結局同じような事なんじゃないか。

また、2024年現在は既に団塊の世代は引退して高齢者の人口が一気に増えた。これは将来では無く過去に起こった事になる。(総務省:我が国における総人口の推移.pdfなどを参照)

次の団塊Jrの引退の時に2つ目の山がある訳だが、1つ目の山が終わった結果起きた事というのは現時点でも振り返る事が出来る。 そしてその影響は小さくは無いけれど、コロナやウクライナ危機よりもだいぶ小さいな、という印象を受ける。 確度が高くて影響がそれなりに大きいので重く見るべき、 と思っていたが、影響の度合い以上に重く見すぎだったのではないか?という気がしている。

しかも2050年がだいぶ近づいてきた現在、高齢化のピークはだいぶ近づいてきた。 30年のトレンドというとそこまですごく長い訳でも無い。 一時的に酷いくらいなら、耐えてればいいんじゃないか?という気もする。

そういう訳で団塊の引退という一大イベントを終えた我々としては、 ある程度高齢化というものがどういうものかを理解出来た訳で、 自分の印象としてはその他の出来事と比べて圧倒的に大きい影響があるとは言えないんじゃないかな、 と思い始めている。 予測可能性が高いがゆえに重きを置きがちだが、 最近の経験からするとそこまですべてを高齢化で決めてしまわない方がいいんじゃないか、という気がする。