以前仕事などで高齢化の話というのを割と良く聞いていた頃の事を思い出すと、2025年というのは最初の山場という話だった気がする。 団塊という人口の多い世代が75歳以上の年齢になる、という。 ただ団塊Jrがまだ現役世代なので、2050年前後の一番ひどい時期よりは現役世代の数も多い、という事だった。

以下のグラフの2025年を見てもその様が見て取れる。

人口ピラミッド|国立社会保障・人口問題研究所

これはちょっと古いデータなのでコロナ以後の最新のデータだとどうかな?と少しググって見ると以下が引っかかる。

統計局ホームページ/人口推計/人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)‐全国:年齢(各歳)、男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口‐

縦に長いので印象はちょっと違うが、定性的には大きな違いはなさそう。

これらのグラフを見ても、団塊の一番多い年代が70代の中盤に差し掛かり、今が高齢化の1つ目のピークになっているように思う。 周囲の親の世代の親族を見ても、70代の後半くらいで半分くらいの人が亡くなっていて、この70代の中盤から後半というのが高齢化のピークくらいの年齢というのは感覚にも合う。 自分の周りでは80代はかなり少数で、80代後半まで生き残るケースはほとんど無い。日本の平均寿命が男性81.5歳、女性が87.5歳くらいの事を思うと、 自分の周りはちょっと早く亡くなる傾向にありそう。

さて、その以前から恐れられてきた団塊の世代の高齢化の訪れる2025年近辺に我らは来た訳だが、 その現状はどうだろうか? 自分は素人なので専門的な事を知っている訳でも無いが、 そうした一般人としては現在にどういう印象を持っているかを考えてみたい。

社会に高齢者はめっちゃ増えた気がする。近い周りにも増えたし、街中での見知らぬ人の中の割合も増えた。 一方で介護とかは近い周りでは言うほど問題になっていない。 高齢者は、思ったよりも亡くなる直前まで普通の生活をしている。 周りは癌とか心臓病が死因に多く、これは一般的でもありそうだが、 どちらも最後数ヶ月以外は普通に暮らしている。

普通というのは若者とか、もっと言って50代と同じという訳では無い。 70代はたしかに高齢者ではある。 だがなんとなく昔高齢化社会と聞いてイメージしていた、 介護とかされてヨボヨボしている感じとは結構違う。 自分で歩いて自分で買い物に行って自分で料理とかもして自分で旅行行ったり趣味の活動もしている。 まぁまぁ亡くなる直前まで働いているケースもそれなりにある。 それぞれに高齢ゆえの大変さはあるのだが、 みんなが介護しているという感じは無いどころか、ほとんど誰も介護していない。

実際75歳まで働くと、仕事を辞めてから亡くなるまでの時間はだいぶ少ない。 働いている間に亡くなる人もそれなりに居るし、 自分が仕事辞めて数年間遊んでいるのとそんなに違わない(自分の方が働いてない期間は長い気もする)。

高齢化というとなんかみんな認知症になったり寝たきりになって、 現役世代が介護にかかりきりになっているイメージがあったが、 実際はそうでない人の方がずっと多いんだな、と感じている。 親と一緒に住んで世話をすれば大変だろうが、そういう家庭は身の回りには一つも無い。 どのくらい親とあっているかはだいぶ家庭により差はありそうだけど。

全体的に高齢化社会でイメージしてたのは大変な一部のケースを一般化しすぎていただけのように思う。 大変なケースはあるが、それは高齢化以外にもいろいろある。高齢化だけを特別扱いする理由は無いんじゃないか。 高齢化を考えるなら、もっと一般的なケースに焦点をあてるべきだったんだなぁ、と思っている。

街に高齢者は増えて周りにも増えて、影響は間違いなくある。 通院や入院は増えてそれに伴う世話も増えるし、 大学病院などはいつも大混雑している。 お店のレジとかでは良く分かってない高齢者が手間をかけたりもしている。 選挙とかでも高齢化の影響はありそうに思う(これはなんとなくそういうイメージがあるだけで気のせいかもしれない)。

でもプログラムは新しい分野なので会社に高齢者が増えて大きく影響があるという訳でも無く、 自分個人の仕事にはあまり影響は無い。 Covid-19の波が来ているとかで家にいると全く影響が無いくらいだ。 仕事で偉い高齢者を相手にしなきゃいけないどころか、最近は偉い人がだいたい年下だ…

実際、自分への影響という点ではCovid-19の方がずっと大きいし、 ロシアのウクライナ侵攻の影響も高齢化より大きい気がする。 後者も多くのプログラマに当てはまりそうだし、前者は非プログラマも含めた多くの現役世代の印象なんじゃないか。

以前恐れていた高齢化社会の影響とくらべると、現実はだいぶ違ったものだったなぁ、と思う。 そして実際の高齢化の影響は、もうちょっと容易に対策出来る事も多く見えるのでした方が良い気もするし、 現状でもそれなりに対策は進んでいるな、と思える。 実際75歳まで定年を延長するのはかなりの部分で問題を解決しているように思う。 70代に仕事をさせるのは雇う側や周囲に苦労はあるだろうけれど、 家庭や個人へのしわ寄せを社会がある程度受け持っていると思えばいい施策に思える。 高齢化とはそのくらいのことだ、と言われると、なんだそんなもんだったのか、という気もしてしまう。

2050年ころの第二波はもっと影響が大きいのだろうけれど、でも2025年の状況からだいぶどういう感じかの具体的なイメージは出来た気がするし、 具体的にどういうものか分かってしまえば意外と大したこと無いな、という印象を持っている。 これを大変と思うか大したこと無いと思うかには個人差があるけれど、訪れる社会の印象は結構みんな揃ってきたんじゃないか。

自分は思ったほど大した事無いな、と思ったけれど、皆さんはどうですかね?