Molecular Biology 728x

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複製フォーク

Contents:
  1. 様々なポリメラーゼ
    1. 二方向のDNAポリメラーゼ
    2. Primase
  2. DNAヘリカーゼ
    1. DNAポリメラーゼとのほどく能力の比較
    2. DNAヘリカーゼの構造
    3. パドリングのメカニズム
    4. 原核生物と真核生物の、囲む鎖の違い
    5. ヘリカーゼの活動の計測 (assay)
    6. ヘリカーゼのpolarity(進む向き)とその計測
  3. Single-Stranded Binding Protein (SSB)

DNAを複製する時は、二重らせんをほどく必要がある。

  • piecemeal 断続的に、ばらばらに

様々なポリメラーゼ

二方向のDNAポリメラーゼ

  • Leading strand DNAポリメラーゼ … 複製の方向と同じ方向に複製を行っていくDNAポリメラーゼ
    • 未複製のDNAに向かって移動する
  • Lagging strand DNAポリメラーゼ … 未複製のDNAから離れていく側に合成を進めるポリメラーゼ

両者は同じ分子なことも違うことも違うこともある。

Primase

プライマーを合成する酵素。RNAポリメラーゼ。 複製フォークの付近に6〜8bpのRNAプライマーを合成する。

DNAポリメラーゼは、ある程度の長さがある所からしか合成を始められない。プライマーが必要。 プライマーはRNAでもDNAでも構わない。

RNAポリメラーゼはリポヌクレオチド2つを持ってきてそこから合成を始めることが出来る。

なぜ複製フォークの付近から始めるかというと、プライマーぜは複製フォークを形成するDNAヘリカーゼと相互作用することでacrivateされる。(これはバクテリア、つまり原核生物でも同様)

DNAヘリカーゼ

一本鎖を囲むリング状の酵素。二本鎖を力づく(?)で解いていく。

DNAポリメラーゼとのほどく能力の比較

DNAポリメラーゼも解く能力はあるが十倍くらい多く時間が掛かる。PCR反応などではDNAヘリカーゼ無しで反応が進むのはこれが原因とか。

細胞内の複製メカニズムは1000bp / sec のスピードで進むが、PCR反応では、ポリメラーゼは1000bp / min の速度で動く。60倍遅い。 しかもPCR反応ではdenaturingして三次構造などが解体された状態のDNAに対して行っている。

DNAヘリカーゼの構造

細胞内には何百もの異なる種類のヘリカーゼがいるが、ここでは複製フォークに働くreplicative helicaseのことについて話をする。

MolecularBiologyResourcesのhelicase.pngも参考のこと。

replicative helicaseはリング状の6量体。

リングが1本鎖を囲み、二本鎖をほどいていく。 大きさ的に一本鎖しか入らないようになっている。

  • DNAヘリカーゼの直径 … 13オングストローム
  • 2重螺旋状態のDNA … 20オングストローム

DNAヘリカーゼは、囲んでいる鎖はDNAである必要があるが、解く相手側はなんでも気にせず進んでいく。 実験で反対側をpolyethylen glycolにしたものに対して試しても、やはりDNAヘリカーゼは二本鎖をほどいていく。

6量体を構成する6つのタンパク質は、ATPを結合して加水分解する酵素を含み、その部位は外側にある。

内側にはヘアピン構造があり、このヘアピン部分がDNAの塩基一つ一つと相互作用する。パドリングして進む。

パドリングのメカニズム

ヘリカーゼはDNAを分離するのにATPを消費する。

  1. まずATPと結合している状態で、塩基の一つとヘアピンが結びつく
  2. ATPを加水分解するとヘアピンが動いて、塩基を下に押し曲げて、それがDNAを下に押す
  3. 塩基をリリースする
  4. 新しいATPと結合すると1に戻る

こうしてDNAを下へ下へと押していく。

大きく動くのはATPを加水分解する時では無く、ATPと結合している時であることに注意。

原核生物と真核生物の、囲む鎖の違い

  • バクテリア(原核生物) … ラギング鎖を囲む
  • 真核生物 … Leading鎖を囲む

ヘリカーゼの活動の計測 (assay)

  • ssDNAサークルにラベル付けしたprimer(20-40bp)をくっつける
    • ラベルは5’末端のPに付加するものを使うことが多い
  • ヘリカーゼ+ATP+バッファを投入
    • 中性のpHで、低濃度の塩(一度分離したらannealしない)、Mg2+
  • ゲル電気泳動でプライマーが分離していることを確認する
    • このゲルはnon-denaturingのゲルでないといけない。denaturingゲルを使うとヘリカーゼが無くても分離されてしまう
    • boil、non、ヘリカーゼの三種類で計測

塩の濃度とannealの関係

DNAの1本鎖は負に帯電しているので、普通は反発するからannealしない。 塩の濃度が高いと(おそらく周りの塩の負電荷とも反発するから相対的に)反発が抑えられてannealする。

Assays

ヘリカーゼのpolarity(進む向き)とその計測

ヘリカーゼはssDNAの特定の方向にだけ進む。どうやってどちらの向きかを調べるか?

  1. body labeldなprimer(プライマーの全ヌクレオチドがラベルづけされているプライマー)とssDNA サークルのjunctionを用意
  2. 制限酵素で二本鎖をまるごと切断(プライマーの長さに偏りが出るような位置で切断するものを選ぶ)して丸から線にする
  3. ヘリカーゼと活動に必要なものを入れる
  4. 電気泳動でどちらのプライマー断片が切り離されたか調べる(長さが違うので5’側か3’側かが分かる)

helicase_polarity.pngも参照のこと。

blunt cutting restriction enzymeで切ると言っているが、blunt cuttingってどういう意味だろう?

バクテリアのヘリカーゼはラギング鎖につく、といった。ヘリカーゼはどちら向きに動くだろうか?

  • ラギング鎖は、フォークから離れていく側にポリメラーゼは進む
  • 離れていく側が合成するDNAは3’側
  • 離れていく側がテンプレートは5’側
  • フォークはテンプレートの3’側に向かって進む
  • ヘリカーゼは5’ー>3’の向きに進む

Single-Stranded Binding Protein (SSB)

SSBは、解いた2本鎖がすぐにまたくっつくのを防ぐためのタンパク質。 ラギング鎖のテンプレートに素早く結合して再annealを防ぐ。

  • SSBはssDNAに高いaffinityで結合して、dsDNAには低いaffinity
  • ssDNAがreannealするのを防ぐ(ラギング鎖のテンプレート同士が折れ曲がってくっつくのも防ぐ)
  • SSBがssDNAに結合する仕方は、cooperatively
    • 一つが結合すると、2つ目がより結合しやすくなっていく、一つより二つ、2つより3つある方が結合しやすい
  • SSBは結合している状態でポリメラーゼにより複製可能
    • SSBが結合していても塩基配列はexposeされたまま
    • 複製されるとSSBはすぐに離れる(DNAポリメラーゼと相互作用するのが効いているという仮説がある)