前回に引き続き、もう一つ、簡単なプラグインを見てみましょう。

ですがその前に、ちょっと英語の話をしてみたいと思います。

英語ってどうなの?

第一回を試しにやってみた所、「英語分かんねーよ!」と言われました。言われてみれば確かに…

一方で世の中のプラグインやコードは英単語で書かれているので、最終的にはそれらを読んで行く必要があります。 という事でいつも日本語訳した物しか読めない、では困ってしまう。

どうしたものかなぁ、と思ったのですが、しばらく考えてみた所、そこまで大変でも無いんじゃないか、と思うようになりました。 という事で英語がさっぱりな人向けに、プログラムにおける英語の考え方を最初にちょっと説明してみようと思います。

やはり多少は苦労もするはずですが、プログラムを読めるようになるのに必要な英語は、実は普通に英文を読めるようになるよりは遥かに楽です。

実際プログラマで英語が全く読めない人はそれなりに居ます。

必要なのは英単語だけである

プログラム言語において、基本的にはfunctionとかifとかさえ分かっていれば、あとは変数名とか関数名だけの問題となります。

プログラムはこれらの単語からヒントをもらって想像して読んで行く物なので、これらの単語の情報が無いのはやっぱり辛い。

だけど、逆に言えば、単語の意味だけ分かれば十分です。 文法とかは必要ありません。 だから頑張って何年も英語の勉強をする必要はありません。

ですが、単語はある程度は知っている必要はある。

だいたいは対応するカタカナ単語が分かれば分かる

単語だけ知っていればいい、と言っても、英語の単語は凄いたくさんあります。 最初に辞書とかいちいち引いてたら全然進まない!ってなると思います。

ですが、ツクールMVに関して言えば、ほとんどの単語は対応するカタカナの言葉が分かれば意味が分かります。

例えば以下みたいなものです。

英単語 カタカナ
Game ゲーム
Critical クリティカル
Effect エフェクト
Damage ダメージ
setup セットアップ
target ターゲット
Sprite スプライト
miss ミス
Message メッセージ
start スタート
Animation アニメーション

カタカナの方はだいたい分かると思うんですよね。 スプライトとかは知らないかもしれないけれど、知ってるかな?なんか画面に表示する小さな移動出来る絵の事です。

カタカナなら分かるなら英語の単語が並んでても平気か?というと、最初はそんな事無いと思います。 やはり自分の知っているカタカナ語と対応させる為の訓練は要ります。 カタカナとは微妙につづりが違うし、中には結構違う場合もある。たとえカタカナと似ていても、見慣れていないとやっぱりきつい。

練習しないとカタカナでは読めない。これは仕方ない。

ですが、ちょっと読み方が違う奴をカタカナに読む練習は、何度か頑張ってカタカナで読んでいれば出来るようになると思います。

setupCriticalEffectとかあったら、「セットアップ クリティカル エフェクト」と読めるように頑張るのです。

これは多少の訓練は必要ですが、単語を覚えるよりはずっと楽なはずです。 だいたいはツクールにすでにある概念のはずなので、出てくるものは知っている言葉が多いはずです。

だから単語は膨大ですが、ほとんどは対応関係を覚えるだけで良くて、これは単語を覚えるよりは遥かに楽です。

カタカナで分からない単語はせいぜい30個くらい

さて、以上のカタカナでだいたいは分かるのですが、それでもちょっとは漏れてしまう物があります。 これは数は多く無くて、今回の範囲では6個とかです。 具体的には以下くらい。

英単語 意味
result 結果
evaded 避ける
create 作る
affect 影響がある
digits 数字

この位です。このうち、出来たらあらかじめ知っておいて欲しいのはresultとcreateくらいです。 この位からいちいち辞書を引いてるとちょっとプログラムを読むのは大変。

あとおまけ第一回でやったaddなども知っておきたい。これは「追加する」という意味です。

ですがそれ以外のevaded, digits, affectあたりは、辞書を引いてもいいかな、と思います。 evadedとかは私も知りませんでしたが、ツクールMVのコードでは良く出て来てますね。

という訳で、なんとか英語として覚えて欲しい単語は今回の範囲では二つです。第一回と合わせても三つくらい。 たぶんゲームのプラグインを読んだり書いたり出来るのに必要な単語は、せいぜい30個くらいなんじゃないか、と思います。

という事で、やっぱりある程度は頑張って覚える必要はあるけれど、そんなには多くありません。 そんなに多くは無いけれど「この位は覚えてて欲しい」というのはやっぱりある。 一度にはせいぜい三個とか四個なので、これくらいは頑張って覚えましょう。

それ以外は当たる都度辞書を引きましょう。だるいけど仕方ない。

第二回と第三回での英語に対する方針

さて、このおまけシリーズは、最終的にはプラグインが読めるようになる為の練習台、という位置づけで考えています。 だから最終的には英語のままのコードを読めるようになりたいし、その為の練習をしていきたい。

という事で上記の英語に対する考え方を元に、

  1. カタカナで理解すべき物
  2. 覚えて欲しい物
  3. 辞書引いて分かればいいもの

の三つに分けて、それを提示する事にします。

そこで読む人は、1は頑張ってコードをカタカナで読むように頑張って何度も読んで、2は頑張って覚える。 3はテーブルと突き合わせながらコード読んで行ってください。

クリティカルのアニメーション追加プラグイン

今回はJavascriptが苦手な私によるプラグイン作成講座にあるプラグインを見ていきます。

このサイトのプラグインは、プラグインのもう一つの流儀である、「元のコードコピペ型」プラグインとなっています。

元のコードコピペ型の仕組み

プラグインでは、元となる処理があって、それにちょっと自分のコードを追加したい、というのがほとんどのケースになります。 この場合は、元のコードは何かしらの方法で残しておいて実行したい。

おまけ第一回のプラグインでは、元の関数を変数にとっておいてcallを呼ぶ、という方法で元のコードを使いました。

今回はもう一つのやり方、「ツクールMVのソースの中からいじろうとしている関数の元となるコードを検索してコピペする」という手段を取っているプラグインを見ていきます。

元のコードコピペ型の利点

  1. コードをコピペしていじるので、callとか変な仕組みを使わなくて良いから分かりやすい
  2. 元のコード自体を改変出来るので、よりなんでも出来る

こちらの方が万能な方法と言えるでしょう。ただし欠点もあります。

元のコードコピペ型の欠点

  1. 元のコードを理解しなくてはいけないが、これは複雑な事が多い
  2. 同じ関数をいじる複数のプラグインを混ぜて使えない

プラグインを混ぜて使えないのは、自分がゲームを作る時にはそんなに問題にならない事も多いと思います。他人にプラグインを配る場合くらいですね。 ただ最初のうちはそんなの気にしても仕方ないでしょう。他人に使われて問題になるような所まで行くのは大分あとの話です。

問題はむしろ1です。ツクールMVのコードは本格的なゲームのコードなので、関数によっては本格的なゲームの複雑さを持っています。 中にはちょっと初心者には手が出ないレベルで難しい関数もある。

だからcallとコピペの両方のやり方を知っておいて、楽な方を使うのが良いと思います。どっちでやろうが動けばいいんです。

元のコードコピペ型のプラグインを読むコツ

完成のプラグインを見る時には、もともとのコードと変更したコードを区別して、変更した方に集中して見るのがコツです。 もともとのコードは全部理解してなくても、変更した部分だけ理解していればプラグインを理解した事にはなります。

「あー、ここはもともとのコードだな」という事を意識しながら読むのがこの手のプラグインのコードを読むコツです。

難しいのはだいたい元のコードだと思います。そして元のコードはあまり理解出来て無くても、プラグインのやってる事は理解出来るはずです。

プラグインのコードを見ていく

では実際に上記サイトのプラグインのコードを見ていきましょう。

まずは(変更前の)元のコードを見てみる

さて、上記サイトではSpriteDamage.prototypeという辞書のsetupというキーの関数を差し替えるようです。 そこでまずツクールMVからコピペしたコードを見てみましょう。

なお、今回も先頭と最後の「関数を作ってすぐ実行」の部分は除いてあります。

Sprite_Damage.prototype.setup = function(target) { 
    var result = target.result(); 
    if (result.missed || result.evaded) { 
        this.createMiss(); 
    } else if (result.hpAffected) { 
        this.createDigits(0, result.hpDamage); 
    } else if (target.isAlive() && result.mpDamage !== 0) { 
        this.createDigits(2, result.mpDamage); 
    } 
    if (result.critical) { 
        this.setupCriticalEffect(); 
    } 
};

これはプラグインを適用しない場合のツクールMVのコードです。

カタカナ対応表

コードの上から出てくる順に書くので、対応を探していって下さい。何度かコードとこの表を行ったり来たりして、最終的には上のコードだけで対応する単語をカタカナで読めるように頑張る!

英単語 カタカナ
Sprite スプライト
Damage ダメージ
setup セットアップ
target ターゲット
miss ミス(missedも同じです)
Critical クリティカル
Effect エフェクト
start スタート
Animation アニメーション
PluginManager プラグインマネージャー
parameters パラメーター

最後のstartより先は、あとのコードで出てきます。

辞書

この表は見ながらコード読んでOK。本文でも解説します。

英単語 意味
evaded 避ける
affect 影響がある
digits 数字
isAlive 生きている

これは頑張って覚える!

英単語 意味
result 結果
create 作る

resultはプログラムで良く使われるので、覚えてしまう方がいい。 あとcreateも良く使うので頑張って覚える。

この二つくらいはなんとか頑張ってください!

英語の話はこの位にして、本体のコードに進みます。

本当は元のコードなんて、わからなくてもいい

まずはじめに、このコードの全体を理解しなくても、プラグイン自体は理解出来ます。 今回のプラグインは、基本的にはさっきのコードの最後のifの所で、以下のようになっている所に、

    if (result.critical) { 
        this.setupCriticalEffect(); 
    } 

target.startAnimation(37, false, 0);という行を追加するようです。

    if (result.critical) { 
        target.startAnimation(37, false, 0); 
        this.setupCriticalEffect(); 
    }

このコード以外の所は分からなくても問題無い。 そしてここのコードはそんな難しく無い。

ifの所の条件がif (result.critical) {となっていて、実行されるのがthis.setupCriticalEffect();と書いているのだから、 なんとなく文字からだけでも結果がクリティカルの時にクリティカル用のエフェクトを出している場所なんだな、という気がします。 セットアップする、ってちょっと違和感あるかもしれませんが、エフェクトとか出したりするのはツクールMVではセットアップと呼ぶみたいですね。

そしてこのプラグインでは、そこに新たにtarget.startAnimation(37, false, 0);という物を追加する。

falseと0が何かはこのコードからは分かりませんが、37はエフェクトに使われるアニメーションのIDだそうです。 つまりクリティカルのエフェクトを出す時に、ついでにアニメーション番号37番のアニメーション(雷が落ちるらしい)を実行する、 という物のようです。 ターゲットってなんやねん、という気もしますが、たぶんモンスターっぽい(後述)。

このプラグインを理解するのは、このコードだけ理解すれば良い。 ここ以外のコードを理解する必要は、本当はありません。

ただ、今回はお勉強目的なので、それ以外の部分のコードも少し真面目に読んでみましょう。

コードの概要

このコードが何をやっているか、という事を理解するのは、解読的なスキルが必要で最初はちょっと難しい。 そこで自分がうーん、と眺めて推測した事を最初に伝えておきます。なんとなく何をするコードか分かってる方が読むのはずっと楽になるので。

まず登場する変数たちの役割。

変数名など 役割(予想)
Sprite_Damage.prototype(およびthis) Sprite_Damageは、攻撃が当たった時とかに少しの間出るダメージの数字(ミスの場合はミス、と出たり、回復だったら緑色の数字だったりする奴のダメージ担当)
target この数字が出る対象となるモンスター
result resultは今回の攻撃なりなんなりの、この数字を出すきっかけとなった事

で、これらの前提で、このコードは何をやっているか、というのを、なんとなく日本語とプログラムを混ぜた感じで書くと以下みたいになっていると思う。

if(「ミス」か「避けられて」いたら) {
   「ミス」って出す
} else if(HPに影響がある事されてたら) {
    result.hpDamageという数字をHPのダメージっぽい色で出す
} else if(「モンスターがまだ生きてて」しかも「MPダメージがあったら」) {
    result.mpDamageという数字をMPダメージっぽい色で出す
}

という感じです。以下の所にぞれぞれのダメージが入っているっぽい。

入ってる場所 意味
result.hpDamage HPのダメージ
result.mpDamage MPのダメージ

MPのダメージってのが何なのか私は知りませんが、読者の皆さんは知っている事でしょう。

なんか上の疑似コードは、普通のツクールの条件分岐とかっぽく無いですか?(良く知らないけど)

これらの概要を踏まえて、実際のコードを読んでみましょう。

実際のコードを読んで行く

全体としては以下のコードを読んで行きます。

Sprite_Damage.prototype.setup = function(target) { 
    var result = target.result(); 
    if (result.missed || result.evaded) { 
        this.createMiss(); 
    } else if (result.hpAffected) { 
        this.createDigits(0, result.hpDamage); 
    } else if (target.isAlive() && result.mpDamage !== 0) { 
        this.createDigits(2, result.mpDamage); 
    } 

ぎゃー、大変そうだ!と思うかもしれないけれど、一つ一つ見ていけばこの程度ならどうという事は無い。

まず一行目

Sprite_Damage.prototype.setup = function(target) { 

スプライトダメージという物のセットアップをする関数のようですね。(カタカナにしただけ)

これはsetupという名前なので、ダメージとかの数字をセットアップする、という事をする関数でしょう。 セットアップするってのが何なのかは、推測ですが、たぶんダメージとかの数字を画面に出す、という事をする関数なのでしょう。

次の行、

    var result = target.result(); 

これはこういう物だ、と思っておいて、あまり気しなくて良いと思う。 resultは結果、という意味。resultという辞書に今回の攻撃の結果に関する情報が入ってるみたいですね。

次に最初のif文を見ると、以下のようになっています。

    if (result.missed || result.evaded) { 

英単語の説明をしておくと、resultは結果、evadedは避けられた、みたいな意味でしょうか。

さて、これまで説明してなかった、||というのが出ていますね。 これは「または」って意味になります。 この||の左と右にある条件のどちらかが成り立っていればOK、という意味です。(後で真面目に解説してます)

つまり、このif文は「ミスか、または避けられていたら」という意味になる。 「ミスか、または避けられていたら」何をするかというと、その次の行。

    if (result.missed || result.evaded) { 
        this.createMiss(); 
    }...

this.createMiss()を呼ぶらしいです。ミスをcreateする、というのだから、ミスを作るのでしょう。

どうもこのthis.createなんちゃらというのを呼ぶと、画面に少しの間ダメージを表す数字とかが出るっぽいですね。 画面にふわっと出す文字や数字を作る物、それがthis.createなんちゃらの役割のようです。 その他のcreateなんちゃらもテーブルに並べてみますか。

下のelseとかも眺めると、たぶん以下みたいになってるんじゃないでしょうか。

関数名 役割
this.createMiss() 「ミス」って表示する
this.createDigits(0, 「何かの数字」) HPダメージを表す数字を出す
this.createDigits(2, 「何かの数字」) MPダメージを表す数字を出す

Digitsというのは「数字」って意味です。だから12とか8とかとにかく数字が出るのでしょう。

で、createDigitsのあとの0と2で、「どんな数字を画面に出すか」を指定するっぽい。 0でHPダメージ、2でMPダメージらしい。 じゃあ1はなんだろう?とか思ってしまう。回復?分からん。まぁ今回はどうでもいい。

さて、それを踏まえて次のelse ifを見てみる。

    if (result.missed || result.evaded) { 
        this.createMiss(); 
    } else if (result.hpAffected) { 
        this.createDigits(0, result.hpDamage); 
    }

この} else if (result.hpAffected) { の所を見ていきます。

affectedという単語が出てきますね。これは「影響がある」みたいな意味で、ようするにHPが減ったりするような出来事だったのか?という事だと思います。 たぶん回復の時にも成立しちゃいそうだけど。

さて、HPに影響がある事だったら、何をするか?と次の行を見ると、result.hpDamageに入っている数字を表示するっぽいですね。 日本語的には「結果.HPダメージ」という事なので、「今回の結果のHPダメージ」という感じでしょうか。

ここに今回の攻撃の結果与えたダメージが入っているのでしょう。

次のelse ifを見るとこうなっています。

    } else if (result.hpAffected) { 
        this.createDigits(0, result.hpDamage); 
    } else if (target.isAlive() && result.mpDamage !== 0) { 
        this.createDigits(2, result.mpDamage); 
    } 

次に読むべきelse ifの所だけ抜き出すと、else if (target.isAlive() && result.mpDamage !== 0) { ですね。

ここで&&というのが出てきます。これはその左と右の「どちらもOKなら」という意味になります。 片方だけではダメで両方必要です。(これも後で解説しています)

つまり、この条件は「target.isAlive()」と、「result.mpDamage !== 0」の両方だったら、という意味になります。

で、左側は、aliveというのは英単語としては「生きている」という意味です。isAliveで「生きている」。 たぶんこのモンスターが生きていると成立する条件なのでしょう。

右側はresult.mpDamage !== 0

そういえば!==も説明してなかったですね。ここで簡単に説明しておきましょう。

!==は左と右が「等しく無い」という意味です。 この場合はresult.mpDamage !== 0なので、以下の二つ、

  • result.mpDamage
  • 0

が等しく無い、という意味になります。この辺はたぶんツクールの条件分岐にもあると思うので、 !==という記号だけ覚えれば難しくは無いんじゃないでしょうか。 この辺はあとでまとめて解説します。

さて、以上を合わせると、

「モンスターがまだ生きている」というのと、「result.mpDamageがゼロ以外の値」の両方が成り立っていたらという意味になります。

なかなか盛りだくさんですね。一度では分からないと思うので、何度か頑張って解説を読み直してみてください。

それにしても生きてるという状態をわざわざ条件に入れている、という事は、「死んだ状態でmpDamage」という状態があるんですかね。 でもそれってどういう状況なんでしょう?たぶん何かあるんだと思いますがツクールMV素人の自分にはさっぱりです。

話を戻して。
以上を全部合わせると、以下のコードは

    if (result.missed || result.evaded) { 
        this.createMiss(); 
    } else if (result.hpAffected) { 
        this.createDigits(0, result.hpDamage); 
    } else if (target.isAlive() && result.mpDamage !== 0) { 
        this.createDigits(2, result.mpDamage); 
    } 

以下みたいな意味になります。

    if (ミスか避けてたら) { 
        「ミス」って出す; 
    } else if (HPが今回の攻撃で変化してたら) { 
        result.hpDamageの数字を効果0で表示(たぶん赤で) 
    } else if (モンスターが生きてて、MPダメージがあれば) { 
        result.mpDamageの数字を効果2で表示
    } 

ここまで来ると、割と理解出来るんじゃないでしょうか。

効果0とか効果2がどういう表示かは自分は知らないですが、読者のみなさんはHPダメージとMPダメージの表示がどう違うのか、知ってる事でしょう。

本題のクリティカルの所も一応読む

ここまで分かると肝心のプラグインのコードはむしろ説明は要らないのでは?と思いますが、せっかくなので一応読んでおきましょう。 最初にちらっと解説しましたが、他を理解した後の方が分かりやすいだろう、という事でもう一度見てみます。

以下の最後のif文ですね。

Sprite_Damage.prototype.setup = function(target) { 
    var result = target.result(); 
    if (result.missed || result.evaded) { 
        this.createMiss(); 
    } else if (result.hpAffected) { 
        this.createDigits(0, result.hpDamage); 
    } else if (target.isAlive() && result.mpDamage !== 0) { 
        this.createDigits(2, result.mpDamage); 
    } 
    if (result.critical) { 
        this.setupCriticalEffect(); 
    } 
};

抜き出すと

    if (result.critical) { 
        this.setupCriticalEffect(); 
    } 

となっている所。

「クリティカルだったら、クリティカルエフェクトを作る」って意味のようです。 クリティカルエフェクトはthis、つまりふわっと出る数字の方に用意されているみたいですね。

一方でクリティカルが出た時にモンスター側をいじる事も出来るでしょう。それがこのプラグインで行う変更、つまり、target.startAnimation(37, false, 0);という行を追加する、という奴ですね。

thisはふわっと出る文字、targetは攻撃が当たるモンスター。 数字を細工したいならthis、モンスター側を揺らしたり色変えたりしたければtarget

で、今回やりたいのは「モンスター側に雷を落とす」という事なので、以下のようなコードに変更している。

    if (result.critical) { 
        target.startAnimation(37, false, 0); 
        this.setupCriticalEffect(); 
    }

targetというのはモンスターを表していたので、target.startAnimation(37, false, 0);で、「このモンスターに37番のアニメーションを開始する」みたいな意味です。falseと0の意味は知りません。 こういう時は深く考えずに他人のコードを真似しときましょう。

最後に全体のコードを再掲しておきます。

Sprite_Damage.prototype.setup = function(target) { 
    var result = target.result(); 
    if (result.missed || result.evaded) { 
        this.createMiss(); 
    } else if (result.hpAffected) { 
        this.createDigits(0, result.hpDamage); 
    } else if (target.isAlive() && result.mpDamage !== 0) { 
        this.createDigits(2, result.mpDamage); 
    } 
    if (result.critical) { 
        target.startAnimation(37, false, 0); 
        this.setupCriticalEffect(); 
    } 
};

どうですか?難しいかもしれませんが、一つ一つ読んで行く事は出来るんじゃないでしょうか?

パラメータ取得の所のコードも一応読む

このあと、元のブログではこのプラグインをUIからアニメーションIDを指定出来るように、パラメータというものを使うように変更しています。 プラグインのパラメータがどういう物かは、私より読んでる人の方が詳しいと思うので説明しません。 ただ仕組みとしてはプラグインのコードのコメントにアットマークでIDを埋め込んでおくとプラグインを使う人がUIから値を入れられるみたいですね。

で、プラグインを使う人が指定した値は以下のように取っています。

 var parameters = PluginManager.parameters('CriticalAnimation');
 var AnimationID = Number(parameters['AnimationID']); 

まず一行目、PluginManager.parameters('CriticalAnimation')という所から。

'CriticalAnimation'というのはこのプラグインの名前でしょうね。クリティカルアニメーション。

PluginManager.parametersという関数にプラグイン名を指定して呼ぶと、 指定したプラグインのパラメータが全部、一つの辞書で返ってくるっぽいです。

だから一行目のvar parametersにはこのプラグインのパラメータが全部入っている。

パラメータはたくさん作れるのでしょう。
で、そのたくさんあるパラメータのうち、AnimationIDというのを取り出したい。 そういう時はparameters['AnimationID']と書けば良さそう。辞書から値を取り出すにはこう書くのでした。

これでこのプラグインを使う人が指定したAnimationIDという数字が取れる…

はずなのだけど、コードはparameters['AnimationID']ではなく、さらにNumber(parameters['AnimationID'])となっている。 なんかNumberとかいう良く分からない物がありますね。

Numberは、文字を数字にするJavaScriptの関数です。これはツクールに限らず、普通のJavaScriptにもあります。

プラグインのパラメータは全部文字なんでしょう。 だから、例えば使う人が37と数字を指定しても、"37"という、偶然数字に見える並びの文字、と判断されちゃうみたいです。 で、この文字から数字にする為にNumberを使っている。

このシリーズではあえて文字と数字の区別とかはあんまり真面目に解説してないので、ここは良く分からないかもしれません。 その場合は深く考えずにこのコードを真似して、数字のパラメータの場合はNumberという関数に一旦通すもの、と思っておいてください。

クリティカルプラグインの解説まとめ

以上でプラグインの解説は終わりなので、最後に簡単に要点をまとめておきましょう。

  1. コードコピペ型のプラグインでは、元のコードをツクールMV本体から探してきてコピペしていじる
  2. 元のコードは複雑な事が多いが、必要な所だけ理解してればどうにかなる

この位です。

やりたい事を実現する関数などの説明は、プラグインの入門サイトなどで最初のうちは勉強していくんでしょうね。

そしてもう少し難しい事をやりたくなったら、こうやって本体のコードや他人のプラグインを頑張って解読したりして知識を増やしていくのがいいんじゃないでしょうか。

以上で今回のプラグインの説明は終わりですが、次に今回登場した||&&などを真面目に解説してきましょう。

もっとif文を本格的に

今回||&&が出てきたので、良い機会なのでif文のこの辺の話をしておきます。 第四回でif文についてやりましたが、必要最小限な事しかやっていませんでした。 基本さえ分かれば普段ツクール使ってれば、必要になった時に調べればだいたい分かるだろう、という事で。

でもそろそろ経験を積んだので、この辺をまとめてしっかりやっておいてもいい頃かもしれないので一通り解説しておきます。

所詮おまけなので、分からなかったら飛ばしてもOK。

trueとfalse

さて、以下のようなif文があったとします。

結果:

 
今となってはゾーマ倒したパーティでラーミアで移動してたら偶然スライムつむりにあった程度の難易度ですね(分かりにくい比喩)。

さて、このifの所のかっこ、上のコードだとif(niwatori == 1) {のうちの(niwatori == 1)の部分ですが、 実はここだけを実行する事が出来ます。

そしてこのifの所のかっこの所を実行すると、trueかfalseのどちらかの値になります。 というより、trueかfalseのどちらかになる物しかif文には書けない決まりになっているのです。

言葉にすると分かりにくいので実際に動かしてみましょう。例えば以下みたいなコードです。

結果:

 
これを実行するとtrueと表示されたと思います。 結果を一旦変数に入れる事も出来ます。

結果:

 
上のコードでvar kekka = (niwatori==1);とかっこに入れてますが、これは必須ではありません。 ただイコールがいっぱい入って来ると、どのイコールが何なのか良く分からなくなって来るので、ここにかっこをつけるのは良い書き方です。

さて、とにかく、==の左と右に何か数字とか文字を置いておくと、trueかfalseのどちらかになるのです。

そしてifは、実はtrueだったらそのすぐ下を、falseだったらelse側を実行する、という機能しか持ってないのです。 niwatori == 1とか、name=="あじゃ"とか、saikoro > 5とかは全部trueかfalseのどちらかの値になり、 if文はかっこの中がどういう風に書かれているかは一切気にしません。実行してtrueかfalseの値にして、その結果だけを気にします。

難しいですか?でもこの辺の説明はそんな重要じゃないのでおまけでやってるんで、分からなくても気にしなくてOKです。 だいたいここは言語による所で、JavaScriptがたまたまそういう言語だ、というだけなので。

==以外の良く使う仲間たち

これまで==<くらいしか出てきませんでしたが、だいたいツクールの条件分岐とかにありそうなのは全部あります。

記号 意味
== 左と右が同じだとtrue
!= 左と右が別だとtrue
< 左の方が右より小さいとtrue
<= 左の方が右より小さいとtrue、でも同じでもtrue
> 左の方が大きいとtrue
>= だいたい分かるでしょう

あと、trueだったらfalseに、falseだったらtrueにする、!というのもあります。

例えば !(niwatori == 1)とか書けます。この辺はJavaScript関連のサイトに普通に細かい解説があるので、ちゃんと知りたければMDN:比較演算子などを読めば良いでしょう(ただしこれはもう上級者向けです)。

簡単に例だけ示しておきましょう。

結果:

 
この辺はだいたいツクールと一緒でしょ?知らないけど。

===と!==というのもある(けどあんま重要じゃない)

JavaScriptでは、==!=と似たような物として、===!==というものがあります。 ほとんど=====は同じ物で、!=!==は同じ物なのですが、文字と数字を比べる時などに違いがでます。

一応違いが出るケースを簡単に作っておきます。

結果:

 
違うのはこういう数字と文字で偶然同じ奴を比べる場合だけで、こんなことは滅多にないのでどっちでもいいのです。 特に、ツクールで自分でゲーム作っててこの違いが出るケースは無いはずです。

だいたいは===の方が望ましい動作をするのでこっちの方が良い、という人も居ますが、どうせ起こらないケースなのでどっちでも良い。 CW警察みたいなもんです。警察はほっとくに尽きる。

そしてJavaScriptと類似の言語では普通===は無いので、このシリーズの趣旨からすると、自分は==の方だけを使う方が良いと思っています。 (例えばSecond LifeのLSLには==しかありません)。 という事でこのシリーズでは===は説明してきませんでした。

でも他人のコードを読む時は使っている場合もあるので簡単にここで説明しておきます。

「どちらか(||)」または「どちらも(&&)」

JavaScriptでは、上の==とかの条件を複数組み合わせて、「どちらもtrueだったら」と「どちらかがtrueだったら」という事も書けます。

「どちらか」を||、「どちらも」を&&と書きます。 日本語は「どちらか」と「どちらも」と似ててややこしいですが、意味は結構違いますよね。

結果:

 
これを使えば、例えば、

if(nakigoe == "むぇー" || nakigoe == "コケー"){

というように書けたり、サイコロの目が2以上4以下を、

if(saikoro >= 2 && saikoro <= 4) {

と書けたりします。この辺はまぁツクールとあんま変わらんと思うので、一回みりゃ十分でしょう。

||を使ってパラメータが無い場合の処理をするトリック

さて、この||、本来はtrueかfalseを左右に置いて使うのですが、 それを実現する為にJavaScriptではちょっとした手抜きが行われていました。 で、それを使った裏技が流行りました。

裏技なのであんま細かい説明をしても仕方ないので結果だけ覚えればいいのですが、いい機会なので一応理屈も説明しておきます。

この||、実は左が「falseっぽかったら右の値になる」、という振る舞いをします。 trueとfalseだけを置いておけば当初の意図通り「どちらか」という意味になるのですが、 他の文字や数字を使っても使えてしまいます。

で、この手抜きを使った、裏技のような物がJavaScript界では横行しています。

まず、trueとfalse以外で使う例をやってみましょう。

結果:

 
0とか、中身が空の文字とかはfalseっぽいと思うようです。

さて、上の中でundefinedというのがあります。これは、まだ作ってない変数を触ったり、 辞書に入ってないキーを使ったりするとこの値になる、という物です。虚無、みたいな感じですね。

例えば以下みたいに、辞書にfusigidaneなんて入ってないのに取ろうとするとundefinedが取れます。

結果:

 
これを使って、「辞書に値が入ってなかったらこの値」というような処理をするのが良くやられます。

結果:

 
さて、これを、プラグインマネージャーからパラメータ取る時に使う、というコードが結構あります。具体的には以下みたいなコードです。 (以下のコードはひきも記の「さよならコマンド」から一部取り出して改変しています)

var paramJisyo = PluginManager.parameters('TMByeCommand');
var byeCommand = paramJisyo['byeCommand'] || '別れる';

PluginManager.parameters('TMByeCommand')については上で解説した通り、「TMByeCommand」というプラグインのパラメータが全部入った辞書をくれる関数なのでしょう。

このプラグインは「別れる」というコマンドを追加するものです。 で、メニューにそのメニュー項目をなんと表示するかはパラメータでUIから指定出来るのでしょうね。

で、ちゃんと使う人が指定してくれていればそのラベルを使うのですが、何も指定されない事もあるみたいです。(そんな事出来るの?って感じですが)

その場合は、一番普通のラベル、"別れる"というラベルを使う、というのが上のコードの意味になります。

以下のコードと同じ意味ですね。

var paramJisyo = PluginManager.parameters('TMByeCommand');
var byeCommand;
if(paramJisyo['byeCommand'] == undefined) {
    byeComamnd = "別れる";
} else {
    byeCommand = paramJisyo['byeCommand'];
}

ここまで理屈を一応読んで「なるほど、分からん!」と思ったら、 「プラグインのパラメータが使う人に指定されたなかった時は決まった値を使う、というのを||で書くんだな」と覚えてしまえばいいでしょう。

難しすぎてボツにした解読手順

ここまでの解説をどうやって自分が考えたのかの仕組みを最初書いていたのだけれど、さすがに上級者向けの内容だろう、という事でボツにしました。 でもせっかくなので途中までですが残しておきます。興味があったら読んでみてください(読まなくてもいいです)。

以下のコードをどう解読するか、という話です。

Sprite_Damage.prototype.setup = function(target) { 
    var result = target.result(); 
    if (result.missed || result.evaded) { 
        this.createMiss(); 
    } else if (result.hpAffected) { 
        this.createDigits(0, result.hpDamage); 
    } else if (target.isAlive() && result.mpDamage !== 0) { 
        this.createDigits(2, result.mpDamage); 
    } 
    if (result.critical) { 
        this.setupCriticalEffect(); 
    } 
};

名前からいろいろ推測する

まず最初にこのコードから以下の三つが何かを推測する必要があります。

  1. Sprite_Damage.prototype(およびthis)とは何か
  2. targetとは何か
  3. resultとは何か

これは本当に野生の勘で「たぶんこうだ!」ってひらめくしかありません。 ヒントとしては、英単語の意味、ifの条件での使われ方(全部を並列的に見て考える)、ifの本体の実行されるコードの使われ方(全体を並列的に眺める)というあたりから推測します。

で、私が先程のコードをうーん、と眺めて思った予想は、

  1. Sprite_Damageは、攻撃が当たった時とかに少しの間出るダメージの数字(ミスの場合はミス、と出たり、回復だったら緑色の数字だったりするでしょう)
  2. targetはこの数字が出る対象となるモンスター(プレーヤーも来るかも。このコードからは分からない)
  3. resultは今回の攻撃なりなんなりの、この数字を出すきっかけとなった事

というあたりです。

で、コナン並みの推理力を誇る私の推測が正しいとして先に進みます。

コードを順番に読んで行く

まずはこの関数が何をする所なのかを名前から予想する。

Sprite_Damage.prototype.setup = function(target) { 

攻撃とかが当たった時とかにすーっとちょっと出る数字をsetup、つまり準備する関数なんでしょうね。 これから数字がふわっと出るのだと思います。

次に行きましょう。

    var result = target.result(); 
    if (result.missed || result.evaded) { 
        this.createMiss(); 
    } else if (result.hpAffected) { 
        this.createDigits(0, result.hpDamage); 
    } else if (target.isAlive() && result.mpDamage !== 0) { 
        this.createDigits(2, result.mpDamage); 
    } 

まずは一行目に注目します。

targetというのはこの数字を出す対象となるモンスターを表す辞書ですかね。(ここは少し違うかも、自信は無しだがたぶん大きくは違わない)。

で、このtarget.result()というので、今回のアクションの結果が取り出せるっぽい?

この結果を見て、ifが三つ並んでいて、それぞれ、以下の三つの場合の処理をやってそう?

  1. ミスの場合(画面に「Miss」とか出すのでしょう)
  2. HPが減るダメージの場合(赤い文字で4とか出すのでしょう)
  3. MPが減る場合の処理(きっと違う色、緑とかで出すんですかね)

この辺の実際に何色で何が出るか、とかはむしろ普段ツクールMV触ってる人の方が良く推測できると思います。

さて、これらの推測がどこから出てるかを考えるべく、上のif文の中身だけをまず並べてみましょう。

  1. this.createMiss();
  2. this.createDigits(0, result.hpDamage);
  3. this.createDigits(2, result.mpDamage);

thisはそもそも、Sprite_Damage.prototyp的な何かが入っているはずで、これは攻撃が当たった時とかにふわっと一瞬出る数字でした。

ふわっと出る数字を表す辞書の、createMiss()というのを呼ぶと、たぶんミスって感じの文字が出そうな気がします。 二番目はカッコの二番目にhpDamageと書いてあるので、HPのダメージっぽい。 三番目はmpDamageと書いてあるのでMPが減る攻撃っぽい。不思議な踊りとか?

さて、すると、、、難しすぎるのでボツ。こんな感じで最後まで読んでいきました。