RandomThoughts

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【書籍】あなたの体は9割が細菌

Contents:
  1. 読み始め 2024-07-05 (金)
    1. 21世紀病とか肥満の話が酷い…
  2. 第二章の肥満の話がほとんど細菌の話が出てこなかった…
    1. 問題のある、生物、生理学的な文章の見本になってしまっている
  3. 第三章の自閉症の話は多少読める
  4. 第四章、アレルギーの話はまだ酷い
    1. 因果関係の示し方が根本から間違ってる!
    2. ヨーロッパやアメリカの抗生物質利用こんなあるの?
    3. 残留抗生物質と肥満の話は完全に健康本になってしまった
    4. そもそもになんでこんなにゲノム解析をしないのだろう?
  5. 6章の食生活
    1. 食物繊維が良いという話は普通
  6. 7章は帝王切開批判
  7. 何故健康にまつわる話題は科学的でないとまずいのか?
    1. 恐怖を煽りがちになってしまう
  8. 8章、糞便移植やプロバイオティクスなどの話は突然まともに
    1. 終章とエピローグは良くある代替医療ものっぽい終わり方ではあるが、少しいい話風
  9. 読み終わった感想、酷い本だったので読まない方が良い

amazon: あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた

SNSで知り合いが勧めていたのでポチってみた。

読み始め 2024-07-05 (金)

最近の読書は人文系の古典が続いていたので、以前買って読まずにいたこの本を読む事にする。 読み始めると思ったよりも読み物ではあった。 もうちょっと学術書的なものだと思っていたのだけれど。 ただそれなりに生物的な本ではある。

21世紀病とか肥満の話が酷い…

花粉症とか肥満とか自閉症とか過敏性腸症候群とか、そのほかいくつかの病を21世紀病と呼んで、原因は腸内環境とか免疫系にあるとこじつけようとひたすら頑張り始めてげんなりする。

肥満がカロリーと運動の問題じゃない、と言いつつ、根拠が「医師が患者に注意しても効果が無い」「数々の大規模研究で分かってる(ソースは示さず)」「ニワムシクイ(渡り鳥)の体重の増え方の考察」みたいなので、 普通に二重盲検法ではどうなの?というような基本的な話が無い。 出てくる話も全く因果関係が不明そうなエピソードがただ連なるだけ(しかも長い)。 せめて細菌の話してよ…と思ってしまう。

生物の勉強を真面目にしていれば、この手のそれっぽいものを元に因果関係を推定して間違ったたくさんの例を学ぶ事になるはずなのだが、 あまりにも酷い話の進め方に、まともな専門教育を受けているのか?と著者略歴を見てみたら、進化生物学のドクターを持っているサイエンスライター!専門家じゃないじゃん! しかも生物や医学でも無いじゃん! いやぁ、これは酷い本を引いてしまった気がするなぁ。 褒めてたこすふぃーを問い詰める必要があるな。

こういういろんな病気について単純にまとめるのは良くないよなぁ。それぞれの病気や症状の複雑さを無視してしまって、 薄っぺらい嘘ばかりの話になってしまう。 むしろそちらをメインにせずに、細菌の方の話をもっとクローズアップして、それらの影響はもっと周辺的な話にとどめておけばよかったのに。

肥満に関しては、【書籍】科学者たちが語る食欲の方がずっと説得力はある。この本も突然途中から文明批判みたくなるが、すくなくともバッタの研究までは割とちゃんとしている。

第二章の肥満の話がほとんど細菌の話が出てこなかった…

一章の終盤で肥満の扱いが酷いなぁ、と思っていたが、第二章ではその肥満が主なトピックになり、ようやく微生物の話が出てくるのかと思ったが、 ほとんどが因果関係が不明な相関の話ばかりで、しかも最後の胃の手術では因果関係では無く単なる相関である事を意図せず示してしまっているような内容になってしまっている。 XXという細菌がいた、という話はあるのだけれど、それしか無い。

細菌のメカニズムの話とか生物的な特徴みたいな話を期待していたのだが、 細菌自体の話はほとんど無い。 しかも居た、とかばかりで、実際にどう違ったのかの元データも無ければ元論文への参照も無い。 うーん、これはあまりにも酷いのでは無いか。

腸内細菌が消化吸収の効率に多少は影響を与えている、というだけの話で、延々とカロリーと運動を否定している。しかも内容を見ると、かえってカロリーと運動で大筋良いのでは?と思うような例ばかり。もっとその消化吸収についての影響の話を詳しくしてくれよ、というかそういう本じゃないのか?と思ってしまう。

同じ食事から吸収出来るカロリーがネズミによって2%違う、という事実が、肥満の説明をカロリーと運動に求めることを根本から否定する事実ってさすがに無理があるんじゃないか。 2%の個人差があるのはむしろ当たり前だろうし、実際はもっとあるだろう。 その個人差の一部が腸内の微生物によるものかもしれない、 という主張なら誰も文句は言わないだろうに、なんでこんな書き方をしてしまうのか。

問題のある、生物、生理学的な文章の見本になってしまっている

この太った人にはXXが見つかり、痩せている人にはYYが見つかりました、的な話からいろいろ因果関係を断定してしまって、しかも他の要因を全否定してしまうような書き方は、 かえってこういう生物学的、生理学的な話をする問題のある態度の見本のようになってしまっているように思う。

典型的な問題のある健康食品の宣伝などの見本のような内容になっている。 「XXだとは考えられないだろうか?」ってMMRかよ…

実際これまで健康に関しては、多くの似たような話があって、しかもその多くが実際に因果関係的に応用してうまく行かなかった、という過去がある。 例えばリコピンとかβカロチンなどでそういう話があったはず。

健康食品的な一般的なものでなくても、生物の作用機序で解明されたものを使って投与してみたら予想した効果が得られなかった、という例は良く見られる。 実際にLDLコレステロール周辺では心臓病が減るかと思ったが減らなかった、みたいな話は生物の授業でも出てきた。 生物的なメカニズムが正しくても意図した効果が得られない事はあるというのに、 ましてや生物的なメカニズムの正しさすら怪しい相関だけを見て何かをいうのはほとんど意味が無い。

生物や病気というのがそうした複雑なものであるからこそ、二重盲検法にこだわる訳で、また多くの要因が関わっているからこそ様々な研究のソースを明示するのが大切でもある。 そうした基本的な態度を無視して自説と同じ事を言っている人を並べるだけというのは、ほとんど説得力も無いし、情報としての価値も無い。

こういうのは一般の読者が、大学の教養レベルの生物学をちゃんと学ぶ意義、というものを、浮き彫りにしてしまっている気がする。

第三章の自閉症の話は多少読める

自閉症自体が自身の関心から遠いからか、これは酷いという主張があってもそれほど気にならない、というのもあるが、 それでも否定する「普通の考え」みたいなのが弱い対象なので、第二章よりは読める。

ただやはり細菌自身の話は少なく、メカニズムも良く分からないということで、結局あまり細菌の話という感じはしない。

自閉症の子供を持っている親とかはそう穏やかな気持で読めるものでは無いだろうが、無関係な自分としては単なる読み物ではあるな。 ただ、やっぱり自閉症についてをちゃんと扱う本の方が得るものは多いように思う。

腸への抗生物質で治るという話が、けれど一時的だった、とこそっと書いてあるのは、なんかそこまでの自説を自分で否定していないか?という気がする。 細菌が原因なら細菌を殺せば再感染するまで治るんじゃないの?

後半のロボガットの話は割とまっとうな研究の話で、普通に読める。 こういう研究が進んでいけばいろいろと理解が進みそうで期待が持てるね。

こういう話でいいと思うんだが、 なんで妙な自説を強調してしまうんだろう?

第四章、アレルギーの話はまだ酷い

相変わらず相関を並べて因果関係であるかのように話を組みててて既存の話を否定して、健康詐欺本みたいになってきたな〜と思ったら、 代替医療の話が出てきた。本人は違うと言いたいらしいが完全に同種のものになってしまっている…

  • 相関関係を因果関係のように説明する
  • 単一の簡単な理由があると言い張る
  • 量的な説明をしない(何%が改善した、何%は説明出来なかった、など)
  • 出典を明記しない

こういう態度で健康を説明しては駄目だよなぁ。

聴き放題だからと雑に聞いている【書籍】本当に役立つ栄養学が、これと好対照でとても良い本に思えてくる(良い本なのかもしれない)。

因果関係の示し方が根本から間違ってる!

なんか相関と因果関係は違うとか言ったあとに変なフィルタリングして相関がある、とか言っていて、全然因果関係じゃないじゃんとか思って読み進めていたら、 因果関係のためにはメカニズムとデータが大切だ、とか言い出した。全然違うよ!二重盲検法で確かめろよ!

いやぁ、なんで因果関係じゃないものを並べて因果関係のように説明しているのかと思っていたが、著者が本当にこれで因果関係を示せていたと勘違いしていたんだな…

生物は複雑なのでメカニズムの理解から想像されることをやっても意外とその通りにならない、ということが非常に多いので、 こういうのは駄目だ、というのを入門生物学で学ぶんだけどなぁ。

ヨーロッパやアメリカの抗生物質利用こんなあるの?

抗生物質の弊害を煽るだけの健康本になり下がってしまってはいるが読んでいたところ、 ヨーロッパでは過去12ヶ月で平均40%の人が抗生物質による治療を受けていた、とかいう数字が出てくる(出典は不明…)。 こんな多いの? 細菌による感染症くらいしか普通は出番が無くて、庶民だとウィルス性胃腸炎とか食中毒とかの類しか無さそうだが。 こういう時出典を明記しないので、真偽を調べられなんだよなぁ。

ニキビの治療に抗生物質を継続的に飲むのが一般的、とか言っているが、ニキビ治療で抗生物質飲み続けるとか自分は知らないのだけれど。

アメリカでは風邪やインフルエンザで抗生物質を飲むとか言っているが、ほんまかいな。 普通はロキソニンとかじゃないの?

どちらかといえば必要以上に忌避されているもの、という印象があるんだがなぁ。

こんなに抗生物質を頻繁に投与するならそりゃ良く無いとは思うよな。

残留抗生物質と肥満の話は完全に健康本になってしまった

5章でも2章の肥満の話が繰り返されてしまって、2章の酷かった内容の上にいろいろ積み重ねようとするので抗生物質の危険を煽る健康本みたいになってしまった。 家畜とその有機肥料(!)経由の野菜の影響とか、 さすがにこれはまともな証拠無く議論する価値も無いだろう、と思うのだが、 「まったく無関係とは思えない」とか言って延々とこれが悪いと言い出す。 さすがにこれは酷いよなぁ。

せめて抗生物質を投与した家畜の糞で育てた野菜とそれ以外の野菜でマウスで実験して判断してくれよ、と思うのだが。

追記:そのあとの抗菌剤の危険を煽るのも、一切の証拠が無くて酷い。なんだこの章?

そもそもになんでこんなにゲノム解析をしないのだろう?

序盤では便からゲノム解析で大腸菌の環境がだいぶ分かるようになった、という話だったと思うのだけれど、抗生物質の影響ではゲノム解析の結果の定量的な比較がほとんど出てこない。 なんでだろう?

自閉症の子供の話でもそれが原因と言いたいならもっとゲノム解析の結果をいろいろ見せれば良いと思うのだが。

6章の食生活

なぜか流行りのダイエット法とかを比べ始めるが、もっと普通にハーバードが勧めている食生活とかでいいんじゃないの?と思ってしまう。 なんか健康的な食事に関してのリテラシーが低いのにこんな章を書くのはどうなんだ、という気はする。 ただ内容的にには抗生物質の怖さを煽るだけの前章よりはだいぶ普通の(良く分かってない人の)エッセイみたいな雰囲気になっている。

食物繊維が良いという話は普通

なんと、現代人は食物繊維の摂取が減っていたのだ!って言われても、そんなのみんな知ってるから全粒粉のものを食べたりしてるんだろう…とは思うが、食物繊維の話は具体的な実験の話も増えてだいぶ読める。

事実の提示の仕方にはだいぶ問題もあり、Aが影響がある、という証拠をもってAだけが原因であると言い切るを繰り返して変な主張になってしまっているが、食物繊維と細菌の相互作用の話をいろいろ読むのは有意義さは感じる。

栄養学的には食物繊維は炭水化物に含めないと思うのだが、この本は含めているな。なんでだろう?食事の話をしているのだから栄養学に沿うべきと思うのだが。

7章は帝王切開批判

相変わらず相関を並べて、帝王切開が悪いのは明らかだ、という論法で恐怖を煽る、典型的な疑わしい健康本の内容だ。

途中からまともになるのかと思ったが、最後までこれはダメな本だったなぁ、という印象。

何故健康にまつわる話題は科学的でないとまずいのか?

この本を読んでて思うのは、著者の手続きが以下のような基本的な科学的態度を欠いている、ということだ。

  • 二重盲目検法で分かってることと単なる相関しか分かってない事をちゃんと区別し、後者を強く言い過ぎない
  • 量的な情報を省かない
  • 出展を明記する
  • 数値を出す時には、それを出した実験の前提をちゃんと示す
  • 疑わしい根拠で単一の簡単な理由を強く主張しすぎない

著者はそれでも科学的な態度のつもりでは居るらしく、そういう言及は何回かあるけれど、抗生物質批判でも帝王切開批判でも、科学的な話からは遠く離れてしまい、 良くある健康詐欺本になってしまっている。

なぜ科学的な態度を軽視するとそうなってしまうのか、というのをこの本は示しているんじゃないか。

特に人体の健康というのはとても複雑な要素で出来ているため、いろいろな相関を見出すことは容易に出来てしまう。 だから自分に都合の良い相関を探すのが、他の分野より簡単だと思う。

また、健康というのは深刻で重要な問題であるので、関心が高くて、しかも切実に解決を望む人が多いという特徴がある。 けれど生物は複雑なので、切実に解決をしたい問題の原因が良く分からないということが良く起こる。 この、なんとかしたいけれど原因が良く分からない、というのは凄く心理的にストレスな現実なので、 簡単なメカニズムで説明したいという強い心理的欲求が生まれる。

良くあるのが昔の人間との差分を考えることで、原因が理解出来ると思い込む、というようなもの。 昔と違うところを探して、それが悪いのではないか?と疑う。 そしてその証拠を探してみるといくらでも相関は見つかる。 簡単に説明出来て欲しいという強い心理的圧力が働いているもとでこういうものを見ると、 ますますそれが正しいと思ってしまう。

この悪循環を断ち切るためには、誤って分かると思い込んでしまうところにブレーキを掛けるメカニズムが必要で、 二重盲検法で分かっていないことはちゃんと分かってはいない、というところを絶対に死守するという態度が、 もっとも汎用的に使えて、多くの人が納得しやすいブレーキのメカニズムなんじゃないか。

そこを妥協してしまうと、誤った思い込みのブレーキのメカニズムが無くなって、どんどん変な思い込みが強くなってしまう。

恐怖を煽りがちになってしまう

誤った思い込みをどんどん積み重ねていくのは問題ではあるけれど、間違いが無害であるならまぁそんなこともあると思っておけば良いかもしれないが、 健康系では、誤った思い込みが、なんか複雑そうな物の恐怖を煽る方向に行きがちで、これが有害に思う。

この本では帝王切開や抗生物質、抗菌薬、母乳以外による子育てなどがそのターゲットになっているが、 反ワクチンであれ環境ホルモンであれ農薬であれ精製した砂糖であれカフェインであれ、 何か自然っぽいものでないものは全てそうした対象になりえる。 健康というのは深刻ゆえに、「なんか怖い」みたいな気持ちは増幅されがちに思う。 そして増幅された気持ちを本当か調べてみると大量の相関がいつも簡単に見つかって、ますますその怖さを煽ってしまう。

分からないものの恐怖を煽るのは、有害であることが多い。 素人に分からないけれど使われているものの多くは、有用であるから使われているのであって、 さらにその中には十分に二重盲検法で確認が出来ているものも多い。

示されていないものは分からない、という状態に留めておき、示すためには二重盲検法を死守する、 という姿勢は、やはりこのなんだから分からないけれど怖い、というのが増幅されてしまって、 恐怖からますます変な思い込みに走ってしまう問題のブレーキとして、汎用的につかえて皆が納得出来るものなんじゃないか。

8章、糞便移植やプロバイオティクスなどの話は突然まともに

8章は突然内容も書き方もまともになる。これまでは変な相関だけで「粉ミルクが肥満を生んでいるのは明らかだ!」とか言い切ってたのに、 この章だけ因果関係が示せてないのでは?と思う所は因果関係は不明と書かれていることが多い。 実際に行っている医療従事者などからまともな話を聞く機会が増えるからだろうか。 最初からこういう話を書けばいいのにねぇ。

ただやはり難病とかの治療について書くなら、こういう基礎的な科学的な態度に欠ける著者にやらせるのは良くないよなぁ、と思う。 自分はここで述べられている病気とはあまり関連が無い(花粉症くらいか)ので被害は無いけれど、 本当に困っている人はこういうの見たらあまり良い影響では無い気がする。 この章は他の章よりはずっとまともな書き方ではあるけれど、それでもやはり医療に関わる文章を書くには問題のある書き方ではあるので。

話を戻して。多様な微生物を多量に持ってこないといけない、となると、効果が良く分からないので難しさがあるよな。 分かっている菌をいくつかに絞ってそれをミックスしたものとかで直せるなら良さそうだが、 いっぱい混ざっているものだと、自分の中にある細菌たちと相互作用した時に何か問題が起こらないのかが良く分からない。 まぁそこは今後に期待か。

終章とエピローグは良くある代替医療ものっぽい終わり方ではあるが、少しいい話風

終章では、7章までの酷い話は、だいぶ薄められた感じに語られる結果、いい話っぽくなっている。 良い本では無かったと思うが、読んでいて不愉快さはそれほど無い終わり方だな。

著者が自然礼賛の考えに染まっているのはエピローグからは明らかで、 これはそういう本だった、ということだな。

読み終わった感想、酷い本だったので読まない方が良い

腸内細菌が健康に与える影響はいろいろと聞き及んでいて、食物繊維はかなり摂っている方の自分としては、 腸内細菌の働きについて分かっていることや分かっていないことがいろいろ知れるのでは無いか、と期待して読み始めたが、完全に期待はずれだった。 この著者は分かっていることと分かっていないことを記述する能力が無い。 だから読んでも何が分かっていることで何が分かっていないことなのか判定出来ない。

主に以下のことについて述べていて、

  • 肥満に対する影響
  • 抗生物質の影響
  • 自閉症への影響
  • 腸の透過性と免疫への影響
  • 経膣出産や母乳育児の影響

何か根拠があるのだろう、とは思うが、本書からそれを知るのは難しい。 相関しか無いもので「原因なのは明らかだ」とか言って、その上にさらにいろんな論を同じ調子でつみたてていくので、 どこが著者の思い込みでどこが分かっていることなのかを、後半に行くほど判定ができなくなる。 だから読者としては全部疑うしかなくて、情報として得るものが無い。

【書籍】本当に役立つ栄養学などでは腸内細菌の話がもっとまともに扱われていて、もうちょっと詳しく知りたいな、と思っていたのだけれど、 この本では駄目だった。同じテーマのもっとまともな本が読みたい。

この本は、著者は否定しているが、典型的な代替医療の本になっていて、 既存の治療を薄弱な根拠で否定し続ける。 例えば抗生物質の使用を否定している訳では無い、 といいつつ、その弊害では根拠がほとんど無いようなものを延々と恐怖を煽る調子で書き続ける。 抗生物質以外でも、昔の人類に無かったものはみんな似たようなものだ。 これは著者が本当に「明らかだ」と思いこんでしまっているのだろう。

分かっていることをいろいろ教えてくれるだけで良くて、「こうに違いない!」とかいう良くわからない思い込みを並べないで欲しいんだがなぁ。

個人的には証拠が無くても自然派でいるという選択をするのは別に良いと思う。 科学的に分かることは限られているので、信仰として分かっていないものに対しての態度を決めるという話だと思う。 ただそれを正当化する為に科学のフリをするのはよろしく無いと思うし、 ましてやそうした話を自分は読みたいとも思わない。 これを読んで帝王切開や粉ミルクの育児や自閉症の子供の子育てについて間違った思い込みをしてしまうのは凄く有害だと思うので、 この本は読まない方が良いと思う。