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投資の勉強

Contents:
  1. このページのモチベーション
  2. 大前提:投資に使う時間や投資の勉強に使う時間は無駄である
  3. 投資の勉強に関する3つのスタンス
    1. 騙されないための基本的な事
    2. 本業の結果を主体に、それを守り強化するような保守的なスタンス
    3. 投資で一発逆転を狙うスタンス
  4. 詐欺の基本的な構造
  5. 超過利益をどこに求めるかを理解する
  6. リスク許容度について知る

ここは自分が勉強する、という話では無くて、知らない人が勉強する時の話を書く。

このページのモチベーション

投資関連ってある程度資産を作った人は何も語らず、あまり資産が無い人がいろいろ声高に語る傾向が強い。 それは当然なのだけれど、結果として、大多数の人向けでは無いバランスの悪い情報が出回っていると思うので、 ある程度資産も出来て関心を失った自分みたいなのもたまには考えを書いた方がバランスは良いだろう、という事で、 普通の人が投資の勉強というものにどう付き合うべきか、みたいな事を書いていきたい。

大前提:投資に使う時間や投資の勉強に使う時間は無駄である

好きでやっている場合には無駄とも言い切れないのだけれど、議論を簡単にする為にここでは投資に関する勉強、 及び投資にかける時間というのは避けるべき「無駄」である、という前提に立ちたい。

ようするになるべく勉強をせずに時間も掛けないのが望ましい。 これと他の項目のバランスの結果、スタンスが決まる。

以下この大前提のもとに話をしていきたい。

投資の勉強に関する3つのスタンス

投資の勉強には、3つの論点があると思う。

  1. 騙されない為の基本的な事
  2. 本業の結果を主体に、それを守り強化するような保守的なスタンス
  3. 投資で一発逆転を狙うスタンス

この3つのどれを目的とするかで、必要な勉強量とか学ぶべきことが大きく違うので、 それぞれの基本的な所を説明して、その後どのようなスタンスがありえるのかを考えたい。

騙されないための基本的な事

騙されないために学ぶべき事は結構多い。 だが、騙されないために学ぶべき事は必要とも限らない。

騙されないために学ぶのをサボるには、

  1. 自分がある種の投資が正しいか詐欺かを判定出来ない事を受け入れる
  2. それらの投資には近づかない
  3. SNSなどでも議論に近づかない

を守れば良い。これを受け入れれば騙されないための基本的な事を学ぶのはかなり省略する事が出来る。

どういう物が「ある種の投資」になるのかは次の保守的なスタンスで説明する。

さて、騙されない為の基本的な事は、人によっては学ばなくても良い訳だけど、学ぶ必要がある場合もある。

まず身近な人にアドバイスする必要がある場合。 個人的には投資に関して他人にアドバイスするのはあまりオススメしないが、 親などがあまりこうした判断がよろしく無いがなんとかしてやりたい、みたいなケースは人によってはあると思う。 こういう場合は親が騙されている時にどうしてそれが騙されているのかを知っておくのは有益となる。

また、周りに意図的、意図的でないに関わらず騙してくる人が多い環境の場合。 底辺シェアハウスなどに居ると良くある。 こういう場に居ると近づかないというのはそれなりにコストが掛かるので基本的な事を知っておく価値はある。

SNSなどで語りたいという場合もこの勉強は避けられない。 正直そんな事の為に時間を使うのは馬鹿げていると思うけれど。

でも騙されやすい多くの性質を備えた投資の話というのはたくさんあるので、 やる気は無いが話には参加する、みたいな姿勢は良くない。騙されてしまう事があるので。 近づかないかちゃんと勉強するかどちらかを選ぶのが良い。

本業の結果を主体に、それを守り強化するような保守的なスタンス

これはプログラマなら大多数にとって一番適切なスタンスといえる。 幾つかの割り切りをしてしまえば学ぶべき事も非常に少ない。

投資に興味が無い、という人は自分が無知な事を受け入れて幾つかの規律を守り、単にこのスタンスを取るのが一番良いと思う。

このスタンスで良いなら、事実では無いが近似としてはだいたい正しい幾つかの前提を受け入れて、 投資の勉強を大幅にサボる事が出来る。

  1. 市場はだいたいは効率的である
  2. 超過利益は基本的には自分には得られない
  3. 株式などのリスクフリーレートは基本的にはそれなりのプラス

これで基本的にはETFやインデックスを分散してドルコスト平均法で買う、というもっとも基本的なスタンスを理解するだけで、 投資の勉強を終える事が出来る。

本業で大きな成果が出せる人はそもそも投資に時間を掛けるより本業に時間を掛ける方が良い。 そしてそちらの方が基本的には望ましい。 だから投資に関してはこのスタンスで勉強もなるべくサボる、というのが一番省エネで良いとは思う。

投資で一発逆転を狙うスタンス

一番勉強が必要になるのは投資で一発逆転を狙いたい、という立場になる。 詐欺なのか正しいのか判定が難しい問題に踏み込む必要が出てくるので、 近づかなければ避ける事が出来る数々の難問を理解する必要がある。

一方でそうした問題の多くは現実の複雑さや投資の面白さを含むものであり、 投資というものが好きな人にとっては重要な部分でもある。

このスタンスを認めるために詐欺みたいなのを全部簡単には切り捨てられなくなっているので、 それほど勉強にコストを掛ける気が無い人は近づかないのが一番とは思う。

一方でSNSなどで一番話題が盛り上がるのもこのスタンスなので、自分も語りたいと思うと必要な勉強量は一気に跳ね上がる。

詐欺の基本的な構造

  • ボラリティティのコストをタダと見せかけて安く売りつける(ワンルームマンション、携帯2年で実質無料など)
  • 過去の正しい予想を用意する事で未来の予想が出来ると見せかける事

超過利益をどこに求めるかを理解する

アノマリーを当てにする場合は何のアノマリーから超過利益を得ているかを理解する必要がある。

  • 取引相手が自分より馬鹿である事を期待しているケース(FX, スイングやデイトレ、スキャなど)
  • 構造的な非効率が起こる場所で、その構造が維持される理由がある場合(小型株プレミアム、バリュー株プレミアム、さや抜き等)
  • 長期の予想は市場よりも正しく出来るという前提のプレミアム(ペギングの崩壊の予想、長期の需給の予想、グロース株など)
  • 単純なプレミアム

リスク許容度について知る

投資を実際にする時に重要な事の1つに、自分のリスク許容度というものを知って、それをある程度増やす事と思う。 理屈を勉強した後も、実際に自分が1000万くらいの金を動かして200万くらい損すると、結構動揺する。

過去のデータを元に出した結論はいつも未来には成り立つとは限らないので、 平均としてどうであっても自分の時にはこれまでと違う事が起きて大損するかもしれない。 これは決して極論では無く、過去のデータからいろいろ考えるのは、 機械学習の用語で言えばテストセットを何度も使ってしまうのと同じ問題を含むので、原理的に避けられない。

だからリスクというのは一時的に上下するがやがては元に戻るような一時的な上下では無く、 本当にそのまま大損してしまう少しの可能性である事を理解して、それに耐えられるようにする必要がある。 これにはトレーニングというか経験が必要な所だ。 だから例えば30歳から3000万くらいSPDR買おう、と思っているなら、 その前の段階である程度資産を買ってその値動きに対して自分の感情がどう反応するかを観察して、 それに備えられるようにする必要がある。