RandomThoughts

RandomThoughts

【書籍】集合・位相入門

Contents:
  1. 読んでいる時のメモ
    1. 集合系の和集合、集合に対する論理記号(p19)
    2. 始集合、終集合、対応の相等(等しい)(p24)
    3. 集合の累乗(写像の集合)(p38)
    4. 元の列、元の族(p44)
    5. 集合系と集合族
    6. 部分集合族(p44)
    7. 集合族の和集合、共通部分(p45)
    8. 直積と選出公理 (p46)
    9. 関係とグラフ(p53)
  2. 同値関係(p53)
    1. fに付随する同値関係(p55)
    2. 同値類と商集合(p55)
    3. 標準的写像(p58)
  3. 濃度
    1. 対等(equipotent)
    2. ベルンシュタインの定理(p63)
    3. 濃度
    4. 無限の濃度、可算の濃度、連続の濃度(p66)
    5. 濃度の大小

amazon: 集合・位相入門 (松坂和夫 数学入門シリーズ 1)

集合論の教科書を一冊くらい手持ちで持っておきたいなぁ、と思い、確か菊田さんが勧めていてKindle版があったのでポチった。

読んでいる時のメモ

とりあえずメモを簡単に残す場所。

集合系の和集合、集合に対する論理記号(p19)

集合系の和集合は、記号から受ける印象と意味が違って、集合系の和では無く、集合系の要素である集合の要素の和になっている。

また、任意の、とある、の論理記号の集合に対する表記が馴染みの無いものなのでメモしておく。xの方に任意の、の記号がついて、X(p)と書く事で、 Xの全ての元についてpが成り立つ、という意味になる。 X(p)という書き方がわかりにくい事があるが、pは述語で、要素についての述語となっている。Xに対しての述語ではない事に注意。 Xの任意の要素xに対してpが成り立つ、という意味。

例としてはp20の2.18などで、Cは集合系の要素では無いがカッコの中に入っていて、Aに対する述語だと分かっていないと混乱しやすい。

始集合、終集合、対応の相等(等しい)(p24)

AとBの対応Fがある時に、AをFの始集合、BをFの終集合と呼ぶ。

対応の相等、は等しいとも言い、FとF’がいずれもA, Bへの対応(同じ集合への対応)であって、Aのいかなる元にもF(a) = F’(a)が成り立つ時、 FとF’を等しいと呼ぶ。

集合の累乗(写像の集合)(p38)

集合A, Bに対して、AからBへの写像の集合をB^Aで表す。

元の列、元の族(p44)

NからAへの写像aがあった時に、aという写像はa1, a2, …, an, … という数列と同じものとなる。 そこでこういう写像をAの「元の列」とも呼び、数列の表記としては(an)などのように普通のカッコを使う(中括弧は集合を表すので、それとの区別に注意)。

さらにNでは無く一般の集合MからAへの写像をMによって添数づけられたAの元の族、と呼ぶらしい。添数で「てんすう」と読むらしい。

集合系と集合族

要素が集合の集合を集合系と呼ぶ(p17)。 一方、元の族で元が集合のものを集合族と呼ぶ(p44)

ようするにMからAへの写像aがあった時にAの元が集合の場合。

部分集合族(p44)

集合族のどの要素(集合)もある集合Xに含まれる時、この集合族をXの部分集合族と言う。

集合族の和集合、共通部分(p45)

iをMの要素としてAiが要素xを含むようなiが少なくとも1つ存在するようなxの集まりを、この族の和集合と言う。 また全てのiについて要素xがAiに含まれるようなxの集まりをこの族の共通部分という。

直積と選出公理 (p46)

集合族があった時に、添数集合から各集合族の要素集合のなんらかの元への写像aの全体の集合を直積と呼ぶ。

選出公理:集合族の全添字集合に対して要素集合が空集合でなければ、その直積を表す写像が存在する、という公理。

空集合でないのだから各添字について見ていった時にその要素集合に属する要素があるのは自明。 問題はその対応をいっせいに決める事が出来るか、という事で、 添数集合がなんであれそれが必ず出来る、というのが選出公理、またの名を選択公理と言う。

関係とグラフ(p53)

2個以上の変数を含む「条件」を関係と呼ぶ。また、xとyの関係RをxRyと書く事もある。条件の定義はp4で、変数に具体的なものを入れた時にそれが正しいか正しくないかがはっきりする文の事。

AxAの集合に対し、aRbを満たすa, bを集めたものは部分集合をなす。この部分集合を関係Rのグラフと言う。

p24のセクション3-Cで見た、対応のグラフ、でも同じようなものがあった。 FをAからBへの対応とする時、AxBの部分集合でaはAの要素、BはF(a)の要素を集めたものをFのグラフと呼ぶ、というものだった。 また、p25の定理1により、任意のAxBの部分集合を決めれば、それをグラフとする対応がただ一つ定まる。 つまりAxBの部分集合と対応は同等なものだった。

関係も定義から明らかに任意の部分集合に対して定義出来るので、「Aにおける関係」と「AからAへの対応」は実質的には同じものを指している。

同値関係(p53)

反射律(aRa)、対象律、推移律が成り立つ関係。

fに付随する同値関係(p55)

x,yがあった時に、fによる像が一致するとき、xRyと定めるような関係は同値関係となる。このRをfに付随する同値関係と呼ぶ。

同値類と商集合(p55)

直和分解が与えられると、その分解された方の同一の部分集合に属しているかどうか、という関係を定義すれば、これは同値関係になる。 これを直和分解に付随する同値関係と言う。

これは逆も成立していて、同値関係Rがあれば、それはある直和分解に付随する同値関係になっている。(p56、p57の定理8)

Rの対象となる集合Aの要素aがある時に、このaと同値な要素の集合(つまりRによる直和分解された部分集合の一つ)をaの同値類と呼ぶ。

Aを同値関係Rで同値類に分類して出来る直和分解をAのRによる商集合と呼ぶ。

標準的写像(p58)

Aと同値関係R、A/Rがあったとする。 この時、Aの元からA/Rの元への写像としてその同値類への写像を考えるとこれはAからA/Rへの全射となる。 これをAからA/Rへの標準的写像(または自然な写像)と呼ぶ。

濃度

対等(equipotent)

AとBの間に全単射が存在する時、AとBを対等と呼び、波線で表す。 これは同値関係になっている。

ベルンシュタインの定理(p63)

AからBへの単射が存在し、BからAへの単射が存在すれば、AとBは対等である。

濃度

集合全体を対等という同値関係で同値類に分類した時、各同値類を濃度、あるいは基数(cardinal number)といい、集合Aの属する類を「Aの濃度」といい、card Aと表す。

Aが有限の個数(nとする)の集合の時は、その全単射が存在する集合は同じn個の要素の集合となるので、 card Aは個数がn個の集合全体となるので、nとしてこの類を表す事もある。 概念としてはcard Aは類の集合を表していて、nはその集合を指し示すIDという事か。

無限の濃度、可算の濃度、連続の濃度(p66)

有限集合の濃度を有限の濃度といい、無限集合の濃度を無限の濃度という。

自然数全体の集合Nの濃度は可算の濃度といい、アレフゼロであらわす。これは無限の濃度の一種である。

実数の濃度は連続の濃度といい、アレフで表す。

濃度の大小

  1. 部分集合は濃度の小なりイコールの大小関係
  2. A, BがあってAがBの部分集合と対等なら card A 小なりイコール card B

この関係で集合の類の間の大小関係を決めていける。 2の系として、AからBへの単射が存在すればcard A 小なりイコール card Bとなる。

また、ベルンシュタインの定理から、 (card A 小なりイコール card B)かつ(card B 小なりイコール card A)ならば、card A = card Bとなるので、通常の大小関係と同じ性質を持つ。 また、この事から 「小なりイコール かつ 等しくない」なら、「小なり」の関係を定義出来る。