昨日一通り最後の問題まで終えてExit Surveyを書き、今日はノートを整理したりして、一通り終わった。感想など。

Biochemistry 7.05xのノートのサブWiki

かかった期間と時間

自分は10/4から始めて、12/6に終わったので2ヶ月ほどで終えた計算になる。 始めるのがIntroのBiologyが終わったあとだったので、少しコースの開始より遅れていたため、 最後はギリギリだった。(12/8に動画へのアクセスが出来なくなるとの事、ギリギリ間に合った…)

コースはめちゃくちゃ大変で、毎日3時間くらいで週5日くらいやっていたんじゃないかなぁ。 公式には3〜6 hours/weekで11週となっているが、3倍くらい掛かっている… 3時間じゃ絶対終わらないと思うんだけどな、これ。

自分はノートをつくるのに、一回動画を見てから見直しつつノートを書いたりしていたので、 各動画を1.5回くらい見ていたと思うからその分時間掛かってるというのはあるかもしれない。 でも見直しながらじゃないとノートつくるの大変だし仕方ない気もするんだが。

総評:素晴らしいコースだった

とても大変だったが、タンパク質とその酵素としてのメカニズムの理解はすごく深まった。 特に終盤の血液凝固とSignaling Pathwayでは、 それまで学んだ事がすべて統合されて生物のメカニズムが理解出来て、 このコースの以前に学んだ事が一段深く理解出来て感動する。

終盤のProblem Setもインターン先での具体的な設定がとても良く理解出来るようになっていて、 製薬という分野がどういうものかがすごく具体的に分かるようになった。

Biochemistryは分野としては多分つまらない分野で、 相当うまくやらないと単に化学反応式を羅列するだけの科目になってしまうと思う。 でもこのコースはとても良く構成されていて、 個々の話題をちゃんと解説していながら、個々の話題がとてもうまく関連していて、 先に進めば進むほど大きなストーリーの中にトピックが置かれていくようで、とても興味興味深く学べた。

とても理解が深まり、感動的な体験だった。

Biochemistryを学ぶ意義

始める前は、Biochemistryは生物の一分野として、手法などを学ぶ事にももちろん意義はあるのだろうし、化学的なレベルで理解する事も必要なんだろうけれど、 自分はそんなに関心は無いかな〜、とあまり乗り気では無かった。 単により発展的な、分子生物学や細胞生物学のprerequisiteになってたので受けてみるか、くらいのつもりだった。

だが最後まで終えた今では、生物の勉強の一部としてこの分野を学ぶのは必要な事だな、と説得された。

Biochemistryで選ばれるトピックというのは、生物のたくさんのトピックの中のごく一部に過ぎない。 それを狭く深くやる事になる。 だが、そのトピックはよく研究されているからこそ深堀り出来る訳で、 そのトピックがよく研究されているのは重要だからでもある。 この重要な少数のトピックを深堀りする、というのは、生物の理解を深めるのにとても良い。

しかもBiochemistryで選ばれるトピックというのは、Biochemistryの手法で都合よく深く理解出来た分野でもある。 Biochemistryの手法で理解出来る分野は、 実験にも向いているし実験の理解がしやすいという点で、理解しやすい分野といえる。 深く理解しやすくて重要な分野を深く理解する、というのは、 生物学の学習という点でもすごく良い、必要な事だと思った。

Biochemistryのレベルで理解出来ると、全部理解出来た!って感じの納得感がある。 それは具体的な実験の手順まで含めたところまでが接続された感じがある。 この実験との距離感がぐっと縮まるのも、実験が重要である生物という分野を深く理解する基礎として重要な事と思う。

そういう訳で、化学とかあんま興味無いんだけどな〜という人も、生物をちゃんと学ぶ気があるならBiochemistryを学ぶ必要はあると思う。

このコースを受ける前提知識(が割と大変)

このコースは、生物の入門では無いし、生物以外にも多くが要求される。結構たいへんで、前提を全部満たす人はいないんじゃないかなぁ。

大学レベルの有機化学

Biochemistryは名前からも明らかなように化学を要求される。 しかもこの化学、大学受験のレベルでは明らかに足りてない。 nucleophilicとか、レゾナンスとか、フィッシャー投影式とか、R体とS体の識別とか、そういうのが出てくる。 自分は一部かろうじて聞き覚えがあるような気がする程度のレベルでしかなく、 このコースの期待する水準には明らかに届いてなかった。

一方で、そうした有機化学を一通りおさえている人はかなり珍しいんじゃないか。 自分は化学科では無かったが、大学一年のレベルではその辺は区別の無い大学だったので、一応学んでいるはずである。 それでこんなに全然届かない感じなのだから、大学二年くらいでこの科目を取ろうとすれば、大多数が必要な知識は足りていないのでは無いか。

という事で、有機化学が必要、とか言うと、なんとなく自分はその条件を満たしている気がしてしまうが、実態はぜんぜん満たしていなかった。

一方で、それらが分からなくても、一部の話題についていけないだけで、全体像は追える。

全体像を追うのに必要なのは、pH計算とか化学平衡とかの計算だろう。この辺が分からないと全然ついていけない。 そういう点で、大学受験の化学はめっちゃ使う。

大学レベルの化学実験

大学で化学実験もかなりやっている前提に思う。 よく使うバッファとかの話についていく為には、よくバッファ溶液を使っていないといけない。 よく使うバッファ溶液といって思い浮かぶのがあるレベルというのは、 ほとんどの大学生では太刀打ち出来ないんじゃないか。少なくとも自分は無理だった。

ただ、そういうのは話のネタについていけない程度で、コースを理解するのには必要では無い。

熱力学的な側面からの化学

ある程度は大学の熱力学的な事も知っている必要がある。 例えばEyringの方程式、

6.4.1: Eyring equation - Chemistry LibreTexts

のような物はよく出てくるのだが、こういうのを感覚的にある程度納得出来ないと、だいぶ浅い理解になってしまうだろう。

自分はこの辺の理解は浅かったが、全然無い訳でも無いのでなんとかなった、くらい。十分では無いが必要最低限はなんとか越えてたくらいか。

生物学

このコースは大学レベルの生物の入門では無いので、それを別にやっておく必要がある。 当然、同じMITxの7.00xと相性が良いのでこれをやっておくのが良い。7.00xの感想は以下。

MITx 7.00x Introduction to Biology - The Secret of Lifeの受講記録 - なーんだ、ただの水たまりじゃないか

例えば、遺伝学と生化学の手法の違いとかは理解している必要があるし、 RasとかTIMとかに聞き覚えがある必要はある。 講義ではRasとかTIMの細かい話を始めてしまうが、 その前にそもそもこれらが何なのかは一度別の場所で学んでおく必要がある(ただし忘れているくらいの理解で大丈夫)。

この辺の選択は入門のコースでもいろいろあると思うので、 7.00xだとちょうど揃っていて都合が良いという部分はある。

個人的にはこの他にアメリカ版 新・大学生物学の教科書 - なーんだ、ただの水たまりじゃないかを読んでいたのも役に立ったと感じている。

生物の入門と聞いてイメージする物よりはだいぶいろいろ分かっている事を前提とすると思う。 この条件を満たすのは結構たいへんで、専門の人じゃないと普通は無理だろうなぁ、と思う。

英語の読解力

問題文の分量が多くて設問も多いので、英語をたくさん読む必要があって、しかもこれがかなり疲れる。 自分は結構英語読むの平気な方だと思うのだが、その自分でも相当辛かったので、 英語を読むのは相当楽に読める人じゃないと辛いだろうなぁ、と思った。 むしろ日本語でも辛い分量なんじゃないかなぁ、これ。

ノートとりがうまくいった

冒頭にも書いたように、サブWikiでノートをとり、 手書きの方が向いている事はPngNoteで手書きノートを並行してとっていて、 サブWikiからリンクを貼った。 これはかなりうまく行ったと思う。

Biochemistry 7.05xのノートのサブWiki

このノートは前述の700xの時の1ページのブログ記事によるノートよりずっと内容的にも優れていて、 見直しもしやすい。

しかもノートをつくる為にそんなに時間をかけて整理しなくても済んだのが、 この大変なコースを最後まで進めつつノートがとれた秘訣と思う。

ノート作りはそのうちまとめたいが、とりあえず講義ノート - RandomThoughtsに考えている事のメモは以前書いた。