読み終わったので感想とか。読んでる途中の感想は3月の日記的な事の中で書いている。

購入前後の話

安かったので英語版を買った。

以前コロナが流行った時に室内での時間を潰す選択肢を増やそうと買ったのだが、 開幕のクイズが1問ミスでほとんど正解だったので読む気をなくして放置していた。

そのあと年末年始とか花粉症とかで引きこもりが続き生活が不摂生になっていたので、 立て直すべく軽く読める本という事で最近読んでいた。一日一章ずつくらい。で、昨日読み終わった。

事前の期待とはちがう物だった

まず、自分の期待していたものとは違った。

自分は、いろいろなデータを元に意外な事実とかがいっぱい出てくるのを期待していた。 で、自分が知っているのもそれなりにはあるだろうが、幾つかは知らないようなデータや事実が知れたらいいな、と思って買った。

でもこの本は、少数の重要なデータを深堀りするというか繰り返し言及する、 というスタイルで、その少数の重要なデータは、 いわゆるSustainable Developmentに関心がある人だと基本になるような物なので、 あまり知らない事は無かった。

開幕のクイズのそれぞれが、なんで皆誤解しがちなのか、という事で本が構成されているので、 開幕のクイズに正解してしまうような人はいまいち対象外として蚊帳の外に置かれてしまって盛り上がらない。 そしてそういうのに正解してしまうような人なら気をつけているような本能的なバイアスがなんとなく語られていて、対策も自分が思いついているような事と大差無いレベルではあり、 あまり学びがある感じの本では無かった。

エピソードが面白いので読み物として良い

ただ、発展途上国での著者のエピソードがなかなか面白く、旅行記みたいなノリで楽しめた。 これは読む前に全く期待してなかった事だけど、この本は著者の経験の面白さが売りの一つになっていると思う。 軽い読み物として楽しく読める。 という事で生活の立て直しのリハビリとしてはちょうど良かった。

ケラーラとか良く出てくるので、自分も行ったわー、とか思って当時の景色を思い浮かべながら読むと懐かしい気分になった。 電気が無い所の生活とかトイレが無い所の生活とかも自分の経験をいろいろ思い出して、 あーそういえば楽しかったなぁ〜、みたいな気分になった。

旅行記じゃなくて仕事であった事なので体験が深く、そこがまた読んでいて面白い。

気軽な読み物でSustainable Developmentの基本を伝える良書

Sustainable Developmentって結構人を選ぶというか、 興味の無い人を引きつけるのが難しい分野だと思うので、 こういう読み物として面白さを保ちつつ基本となる重要な事実を伝える、 というのは素晴らしい仕事をしていると思う。

自分的に新しい内容があまり無いとは言え、 主張のコアになる部分に関しては何の異論も無い所だ。

だから、あまり興味が無いような人にもこの基本を知らせるような本が出て、 それがそれなりに売れたというのは良いニュースだなぁ、と思った。 皆がこのくらいを前提知識として物を話すようになれば大分良くなるよな。

こういうのが流行るって、なかなかいいじゃん、って明るい気分になる。

という事で社会の事に関心とかあるなら、twitterでネガティブなニュースをRTして憂鬱な気持ちを表明してないで、この本を読む方が良いな、と思った。

自分の考えと違う所

自分は、自分でデータを集めて見てみるのが大切、と思っている。 この本はそれをしろ、とは言わなくて、もうちょっと普通の人でも出来そうな範囲で事実を知る方法の提言みたいなのが行われている。

この本が提唱している事程度の労力しか一般人は労力を払わない、 と思っているからこそこういう提言に留めているのだろうし、それは正しいとは思う。 でもやっぱりそれでは効果は限定的で、不十分と思う。

自分でデータを集めて可視化するって凄く大切で、それをやると多くの問題は是正されるのだよなぁ。 凄く面倒なのでなかなかやる気が起こらないのだけれど。 でも自分としては、その面倒さを超える気が無いなら、その分野は分からない、 という態度でいるべきと思うのだよな。

本書にかかれている事に気をつけつつSNSとかで流れてくるニュースとかを見る、では、 やはりすぐに元の世界認識に戻ってしまう気がするので。

ただ、そうはいっても一時的にでも現在の基本的な事実を知っておくのは良い事と思うので、 この本読むだけでもやらないよりはずっと良いとは思うので、 この本自体はオススメではある。