語学の入門における語彙力とAnkiDroidについて
AnkiDroid、素晴らしいな、と思っているのだが、良い使い方の定石みたいなのが自分の中で固まってないので、ここに雑感などを書いてみる。
AnkiDroid以外にも、語学の入門には単語アプリ、というのが結構ある。有名なのではduolingoとかだが、似たような単語遊びみたいなアプリは言語ごとにたくさんある。 似たような、というが自分で単語入れるわけじゃなくて、入門者向けの単語がばーっと入っているやつ。 そういうのを以前いくつかやってみたのだが、どうもいまいち。この違いはどのへんから来るのか? なんでAnkiDroidは素晴らしいのに似たような形式の、最初から単語が入っているやつはいまいちなのかということを考えてみたい。
語学の初期というのは、全部が知らない単語なので、単語学習だけをやってるとキリが無い感じがしてしまって、 覚えなくてはいけない量に圧倒されてやる気を失ってしまう。 大学受験で一番最初に単語帳をやって最初の200語くらいで挫折してしまうのと同じに思う。 小さい単位で達成感を得るのが難しい。
語学学習の初期においては覚えなくてはいけない単語は膨大なのは当たり前なので、それが膨大に見えるのは正しいといえば正しいのだが、 モチベーションが続かない。一方で一回の単位を小さくしたりしてちょっとずつやれるようにしても、 その小さい単位を膨大にやらなくてはいけない、というのが明らかになるとやる気を失う。 そして膨大ということをわからなくすると無限に続くように感じてしまってそれはそれでますますやる気がなくなる。
語学学習の初期の頃は、文法とか対話とかを勉強する中で基礎となる単語を覚えていく方がモチベーションが続く気がする。 そういう点で初期の出てくる分からない単語を全部AnkiDroidに入れるのはあんまりよくない気がしていて、 ある程度は文とか読んで覚えていって、覚えきれない部分をAnkiDroidに入れて覚える、補助的な進め方がいい気がしている。 初期のころには、単語以外にも読解の慣れとかリスニングの慣れとかの為に、ある程度量をこなす必要はある。 限られた学習時間を文書を繰り返し読んだり聞いたりするのに時間を使った方が、単語を覚えるのに使うよりも効率が良い気がする。 どっちにしろ読んだり聞いたりをたくさんする必要はあるし、それをやってるとある程度は単語を覚えるのだから。
現時点では、教材を三周くらい回して、それでも残ったやつをAnkiDroidに入れている。 ただし一周目とか二周目で覚えたいと思った単語は入れていくので、その辺はゆるい運用で。 三周は、一周一周は結構軽いバーにしている。例えば一周目はテキストを、一回でも最初から最後まで単語リストや訳を見ずに読めたらクリア、 という感じにしている。これだと短期記憶に訳とか単語が入っているだけでクリア出来てしまうので、割とすぐ一周目は終わる。 こういう感じで軽く三周回すと、よく出てくる単語とかすぐに覚えられた単語は結構ある。
AnkiDroidが最初から単語入っているのに比べてやる気が出るのは、教材と関連付けられた物だからに思う。 そこにある単語を一通りやると、例えばニューエクスプレスイタリア語の課文に出てくる単語が一通り覚えられて、 それが寝る前にmp3聞いた時により理解が容易になってたり、復習でテキスト見たらスラスラ読めたりして、 やった量に対する到達点というか進歩が体感しやすいのが良いと思う。 もちろん実際はその教材に出てくる単語だけわかっても仕方がないわけだが、 とりあえずこの教材に出てくる単語は分かる、というのは、とりあえずその教材は読めるようになって、とりあえずその教材は聞けるようになるので、 何かこう、達成感はある。そしてそれらを読んだり聞いたりするのは、練習という意味で意義もある。 学習の意味のある単位の作り方として「この教材に出てくる単語」というのは納得しやすい。 それに比べると、意味もなく1000ある形容詞の前半20を切り出した単位は納得しづらい。 これが単語アプリ系で一回の単位を小さくしてもあまり解決にならないポイントなんじゃないか。
やっぱり出てこない単語を延々と覚えるのはモチベーション的に辛い。 覚えた物がすぐ出てくる方が良い。 Duolingoとかが辛いのは、覚えた単語がすぐに出てくる何かが無いからだよなぁ。 そういう点では教材をやって分からない単語を入れるというのは良いことになる。 最初から教材と単語をセットで売れば良い気もするが。
ただ、最初から全部単語が入っていると、分かるのをフィルタリングするのがかったるいというのはある。 まぁ分かるのは自然と出てこなくなるので実際にやってみたらそんな大変じゃないかもしれないが。 でもいっぱいありすぎると、AnkiDroidもやる気が続かないんじゃないか。 リスニングや読解や文法がうろ覚えの段階では、単語もうろ覚えの方がいい気がする。 AnkiDroidに入っていると、単語の完成度だけ完璧になってしまってバランスが悪い。 最初から出てくる分からない単語を全部入れるのはあんまりよくない気がしているのはその辺が理由かもしれない。 読解やリスニングがある程度の習得度になった段階で残ってるのを入れる方が、時間の使い方という点でバランスが取れている気もする。 入力がかったるい、という問題もあるが。
一方である程度分かる単語が増えてきて、何かテキストを読んでいても分からない単語がそんなには出てこなくなったら、 出会った分からない単語を全部入力していく、というのも悪くないかもしれない。 ということは語学の達成段階に応じて使い方を変えた方がいいかもしれない。 入門時は読解やリスニング、文法学習の方にある程度意識的に時間を割り振って、 AnkiDroidの入力やそれを使って覚える時間を少なめにおさえてバランスをとる。 分からない単語が減ってきたらAnkiDroidに全部入れていく。
考えてみると辞書の引く頻度に似ているな。 入門時は分からない単語を全部辞書を引くのは時間の無駄なので、語注や単語リストが充実した教材を使って辞書を引かずに勉強できる教材を選ぶ。 ある程度語彙が増えて来て辞書を引く頻度が減ってきたら、単語リストの無い教材を辞書を引いて読んでいけるようになる。 辞書を引いて読む時でも、難しい単語が多すぎて辞書を引く時間が長いと続かないので、辞書を引く量が多くなりすぎないように読む題材の難易度は調節しているよな。
AnkiDroidも辞書を引く量を調節するのに似ているのかもしれない。 入力があんまり多くなりすぎるのは良くなくて、ある程度の量になるように教材とか単語リストとか訓練する内容(リスニング、読解、文法など)を調整するのが良いのかもしれない。 入力だけじゃなくて、やっていて覚えきれない!と思うほど多くなったらたぶん単語に偏り過ぎていて、 そうならない範囲に収まるように入力する単語は厳選していくのが良いのかもしれない。
ただ、勝手に頻度は調節されるので、迷ったら入れておく、というのでも悪くないかもしれない。 この辺、AnkiDroid歴の長い人の考えとかも聞いてみたいな。片っ端から入れてもけっこう平気なもの? やっぱりある程度少なくなるように勉強する題材などを調整した方がいい?