多様体の基礎を読み終わったら次は微分機だ、という事で、定番の入門書らしい本書をやる事にする。

モチベーション

そもそも今回幾何学の学習を開始したのは、最適輸送問題の定番(Old and Newって奴)の教科書がリッチ曲率で定式化していたのがきっかけ。

それ自体はWGANとかその関連論文のappendixとかで出てくる証明などを理解するのに必要、程度で、知らなくても乗り切れるとは思うのだけど、 この辺の話を幾何学側からとらえる、というのはもう少し重要度が高そうだな、という気がした。

で、最適輸送問題の本では一章くらいを割いてリッチ曲率についてその後に使う性質などをいろいろ説明しているのだが、これが全く理解出来ない。 内容よりも手前の、何を言ってるのか理解出来ない。

そこで、リッチ曲率の前に、それらの話に出てくる道具くらいは理解しておこうかな、と思ったのが今回幾何学を勉強し始めたきっかけ。 具体的な話題が出てきた時に、それがどの辺の数学なのかくらいまでは理解出来るようになろう、と。

そういう全体の位置づけくらいを理解しておけば、各研究の立ち位置とか方向性をもうひとつ大きなコンテキストに置けるかな、というのを期待している。

そこまでやってみて、そんな重要じゃなさそう、と思えば、あとは必要最低限で乗り切れば良いし、これはちゃんとやる価値がありそう、と思えばもっと本格的な勉強をやっていこう、と思う。

一応若い頃に一般相対論の基礎はそれなりに真面目にやったので、微分幾何も基礎的な所だけやればその辺の知識と繋がってくれるんじゃないか、と期待している。

一章 平面上の曲線、空間内の曲線

一章は曲線の話で、最初の方を読んだ範囲では初歩的なベクトルと微分さえ分かれば追えるような内容となってる。

比較的簡単なので、さらっと読み流していけるかな。

曲線の曲率は回転と平行移動で不変

p8の計算をちょっと自分でもやってみる。

大して難しくは無いが、結構行間はあるね。

楕円の曲率の計算(例2.2)

p11の楕円の曲率の計算で、、2.47と2.48の間が見てるだけでは追えなかったので計算してみる。

という事で2.48にはなりそう。 計算は難しくは無いが結構めんどいね。

曲率の定義(p6)

あとまで進んだら忘れてきたので、ちょっと戻って曲率の定義を書き出しておく。

以下のカッパが曲率の定義。

p20の単純閉曲線になる証明が分からない

まずs0を考えてみる。で、aもs0もbも同じ点。 すると感じとしては8の字みたいになるよな。

aでの接線が水平じゃないので、必ず上か下にちょっとは行く。 で、戻ってくる時も水平じゃないので、どっちかにはみ出しているのはいい。

例えばどちらも上にむいてるとしよう。 するとmax yがy(a)より大きいのはいいんだが、minが小さい理由が分からない。

この図は条件をすべて満たしていながら、aとs0の間にy(a)より下の点は無いし、法線が上か下を見てる点も二点しか無く見える。

横に倒せば法線が上下どちらかの点が4つあるが、倒さないといけない条件はどこにあるのか?

よく分からないので分からなかった、という事をここに示し先に進む。

捩率を求める(例4.1)

勉強の為、具体的な計算をしてみよう。 p26 例4.1の、常螺旋の計算。 なお本とまったく同じ事をするので資料としての意味は無い。

特に問題無いが、この手のは自分で計算しないと覚えないからね。

2章 曲面の小域的理論

2章は曲面の話。 第一基本形式とか第2基本形式の話が出てくるが、読みやすくてあまりメモを取る必要性が無い。

だが読んでるだけだといまいち頭に残ってない気もするなぁ。 練習問題解く方がいいのか?

とりあえず進めていって、詰まったら考えよう。

第一基本形式(p48)

進んでいったらこの辺見直す事が増えたので、メモしておく。

曲面がパラメータu, vを使って、ベクトルpで表されているとする。

この時、第一基本形式Iを、以下のように定義する。

第ニ基本形式(p50)

以下のようなIIを、第二基本形式と言う。

ここで、L、M、Nについては、以下のような性質がある。

ベクトルeとpxxとの内積になってる。 xxの所はそれぞれ、uu, uv, vv。

ガウスの曲率と平均曲率(p56)

ちょくちょく出てくるので、定義を書いておく。

以下のようなKをガウスの曲率、Hを平均曲率と呼ぶ。

正規直行標構

外微分の先くらいまで進んだらこの辺が出てきてメモが必要になったので戻ってメモ。p69のあたり。

まず曲面がpで与えられた時に、接ベクトルとしてe1とe2という直行単位ベクトルを取る。

で、puやpvをこのe1とe2の線形結合で表して、その係数をaなんちゃらと置く。

で、全微分をこの基底で計算してみると、以下のようになる。

このシータ1とシータ2は一次微分形式になっているのが見て分かる。

ついでにオメガの定義もメモしておく。 e1, e2, e3の全微分をe1, e2, e3の線形結合として表した時の係数をオメガと置く。

オメガもduとdvの何らかの一次結合、つまり一次微分形式。

2章読み終わり

マイナルディ-コダッチの式あたりはついていけてないが、他はだいたい追えた気がする。 途中「多様体の基礎」の定義との対応関係が気になって見直したりしたが、だいたい消化出来たかな。

個々の計算は、難しい所がある訳じゃないんだが、結構長いので全部追うのは大変。なかなかの肺活量を要求される。

第一基本形式と第二基本形式は理解したのと、外微分の計算も大分慣れたので、微分幾何っぽくなってきた気はする。

次の三章がリーマン計量とかなので、自分的にはこの三章がこの本でやりたかった本体となる。あと一歩まで来た。良く頑張った。

なお、4章のGauss-Bonnetの定理と5章の極小曲面は必要性が良く分かってない。 一応最後まで読む気で居るが、まぁ途中分からなかったら適当に飛ばそう、くらいに思ってる。

という事で次の三章がんばるぜ!

3章 曲面上の幾何

ようやくReimann計量が出てきた! この辺知ってるとなんか幾何学やった、って感じするよね。

曲面の構造方程式

リーマン計量の元での構造方程式周りで置いていかれたのでメモをしていく。

全体的なあらすじ

まずリーマン計量をシータで置く。

その次に第一構造式を満たすようにオメガを決める。これを接続形式と呼ぶらしい。

このオメガとシータから第ニ構造式のKが定義出来て、これをGaussの曲率と呼ぶ。

あらすじを数式で書く

参照用に数式も書いておく。

まずRiemann計量をシータで置く。

次に第一構造式を満たすようにオメガを決める。

このシータとオメガを使って第ニ構造式でKを定義する。 オメガを全微分して、

問2.1 (p96)

ちょっと消化出来てる気がしないので、練習問題を解いておく。

単なる計算なので貼らなくてもいいが、一応貼っとこう。

2.38の式を追う

少し前後するが、p95の式を追ったメモを書いておく。 最初は書かなくてもいいかと思ったけど、練習問題やってて出てこなかったので。

残すつもりでなく確認のつもりで書いたので雑。

3章読み終わり!

ちょこちょこ計算は追ったが、あまりここにメモすることも無く読み終わってしまった。

ところどころ曲面が空間内にあるという仮定をどこで使ってるのか分からない程度に理解度が低い所があるが、空間内では一通りの議論は追えてると思う。

昔、学生の頃に共変微分と測地線ってやった記憶があるが、当時は全然わかんねーなぁ、と思ってた。 今思うと分かるはず無いよな、と思う。 接ベクトル空間の知識がなかったからねぇ。

最近、20年前に分からなかった事が「あぁ、あれはこういう事だったのか」と思う事が多いが、だいたい当時は何かの要素が欠けててわかるはずなかった、という事を発見している気がする。

きっとドクターコースに進んでたらそういう事を理解する機会があっていろいろ学び直し、いろいろと深く理解していたのであろうなぁ。 そもそもにマスターまでの6年間じゃ絶対的な時間が全然足りてないので、いろいろ理解出来ないのは不可避に思う。

当時の自分にそういった話を教えてあげたい気もするが、いろいろやって分からない、という体験をしたあとなので今こうやってやる気になってる、という側面もあるから、まぁ分からないという事を理解する時期も必要なのかもしれない。

微分幾何としてはリーマン計量と測地線の話を一通り見たので、この本でやろうと思ってた事は一通り見た。

今Optimal Transportの本をパラパラ眺めた所、いろいろな用語が分かるようになってるが、そのおかげでさらに足りない分野がかなり広い事も分かってしまった…

まぁその辺まで分かるようにするのが今回の目標だったので、この本に期待してた所までは来た気がする。

4章と5章はまったく知らない話題なので必要かどうかすら判断出来てないから見ていくつもりだが、とりあえず3章まで理解出来たのは嬉しい。今年は数学頑張ってるなぁ。

4章読み終わり

あまり手を動かさず読んだだけで終わってしまった。 ちゃんと理解出来た気もしないが、この辺は使う時になったら見れば良いかな、という位は分かったと思う。

実際本の記述もそういう感じに書かれているように見えるので、そんなに不真面目という訳でも無かろう。

5章は飛ばし読みで終わらせる事に

Wierstrass-Enneperの表現の手前までは手は動かして無いのと証明はいくつか飛ばしたが、まぁまぁ追えたと思う。

Wiarstrass-Enneperの表現は証明は眺めたが、いまいち最終的な式の有り難みが分からないので気合入れて読む気が起こらない。 そうするとそのあともいまいちモチベーションが分からない。

という事で極小曲面はまぁ必要になるまでやらんでいいか、という気になったので、5章はここで終わりとする。

全体を通しての感想

読み終わったので感想でも。

まず、自分は1章から3章までは割と真面目に読んで、4章はあらすじを追った程度、5章も半分くらいはあらすじ追って、残り半分はあらすじすら追ってない、という感じ。

なので3章までしか真面目にやってないという事を踏まえて以下を読んでいただけたら幸い。

まず、外微分、共変微分、リーマン計量、測地線、第一基本形式あたりは、かなりしっかり理解出来た。 この辺を理解出来たら自分的にはこの本でやるべき事は全部消化出来たかな、と思う。 という事でやって良かったし、満足度も高かった。

物理学科だった頃にこの辺は結構出てきていて理解度が低かったものも結構あったので、あの頃これ真面目にやってたらなぁ、と思う反面、真面目にやらないとどうなるかを体験したからこそ今頑張れているという側面もあるので、一概に当時いろいろ苦労したのか悪かったとも言えない。

始めたのが8月5日で現在8月16日なので、11日位で読んだ事になる。忘れる前に一通り読めたので、結構良い読み方が出来たと思っている。 短期決戦で必要な物を一通り理解する、というのが今の自分に理想的な読み方だったと思うので。

本としての感想。 まずいかにも多様体の話なのに割と正規直交基底の中で話をする。 多様体での話を読みたいな、という気もする。

ただ、多様体にしないからこそ具体的な計算が簡単に出来て、大学受験の幾何学や微積の知識が援用出来るから難度が低い、という側面は確実にあるので、この位が今の自分の気力にはちょうど良かった気もする。 この本を多様体で注釈する、みたいな同人誌くらいが読みたいな。

多様体の基礎よりは具体的で、必要な前提知識も少ない。 位相の知識は確かに無くても読めるようになっているし、多様体もいらない。

割と微積と線形の、しかもややおちこぼれ位の習得度で読めるだろう。陰関数定理だけ「知らんがなー」ってなるだろうけど、それくらいか。

ただ、前提知識が少ないからと言って、簡単という訳では無い。 むしろ結構難しく、自分は後半は消化出来てない。 前半も楽では無い。 だから前提知識として必須で無くても、関連する所は先にやっておく方が良いかもしれない。

ベクトル解析の入門は別の所でやっておく方が良い気もした。必須では無いが知っておく方が理解しやすい。

変分法はどこかでちゃんとやっておく方が読みやすいと思う。 普通に微積の教科書でちらっとやりました、くらいでは足りない。

また、多様体の基礎は先に読む方が良いと思う。 必要な事は無いのだけど、座標系の変換とか接ベクトル空間とか、一般的な定式化を知ってから読む方が分かりやすい。

むしろ抽象的な理論を理解した上で、その具体例くらいに思って読む方が良いと思う。

また、結局使えるようになる項目としては多様体の基礎よりもむしろ上級の話題な気がする。 多様体の基礎、が抽象的に凄く簡単な所までしかやらないのと反対に、本書は凄く具体的な例しかやらないがいろいろな事をやる。 この二冊をやるとバランスが取れて良いと思った。

証明をちゃんと踏み込む所と踏みこまない所の選択が絶妙で、著者はむちゃくちゃ深くこの分野を理解しているのだろうなぁ、と感動した。 人はこんな風に数学を語る事が出来るのか。

証明をさぼり過ぎると、結局何をやったのかも良く分からない、という事になりがちだが、この本にはそれが無い。 ちゃんとやってる計算だけで何かを理解出来る。

さらに演習問題に解答がついているのもいい。 いくつか答えを見て「なるほど」と理解した事もある。

具体的な計算が出来る例が多いのも良い。 具体例を一つじゃなくて4つくらい挙げる事で、自主的にやれる練習問題にもなっているし、具体的な計算を見る事で定理の使いみちなども分かる。 とにかく計算しまくる、このスタイルは素晴らしい。

行間は結構あるが、だいたいは単純計算なので頑張れば問題無く出来る。だけど結構計算量ある場合がある。 あと、埋めるのが難しい行間がある場合は、練習問題の解答がヒントに使える場合もあるので、詰まった時は練習問題と解答もチェックしておくと良いかも。

という事で記述は詳細と言えると思うし、飛ばす行間も良く考えられてるな、と思った。数学の本にしては簡単な本だろうけれど、読むだけで分かる感じでは無いし、計算量多いので楽でも無い。

幾何学としてはまだまだ入門という感じで、Optimal Transport本を読んだらまだまだ理解出来なかった。 ただ、何が理解出来てないのかは大分分かるようになってたので、この本と多様体の基礎をやった意義は結構あると思う。

もともと自分は幾何学よりは解析側を武器にしたい気はしているので、幾何学に関しては、論文を読んでて幾何学の話題が出た時に

  1. 分かってない範囲はどのくらいか
  2. どのくらい難しそうか

の感覚が得られたら当面は十分かな、と思っている。 その位の目標は達成出来たかなぁ。

まとめ。なかなか素晴らしい本だった。 感動した。 前提知識は少ないが結構難しいと思った。 ただ頑張れば理解出来るように作られていると思う。