最初からだよ、とか言われそうな話であるが。

昨今はネットは、リアルの技能などを増幅するには便利に使えるが、居場所としての仮想空間としての価値は、随分低下した気がする。

例えば何かコードとか記事とか書いて、技術的なフィードバックが欲しい、という時。リアルな友人に直接聞く方が良いフィードバックを得られる。 これは自分に限らず、結構有名なアカウントがちょっと理論的な、でも少し分かってる人なら簡単に答えられそうな質問をしてもいつも誰も答えてないので、結構一般的な現象じゃないか。

プログラマがプレゼンスを上げていく時には、カンファレンスとかで発表する方が、ネットで何か公開してるより良い気がする。 わざわざ行かないといけない、とか、技術者的には敗北な気もするけれど、 近年オフラインでのコミュニティ活動の重要度は上がった気がする。

一旦ブログから皆がtwitterに移った後に、これは違うと思った人たちがいろいろな所に散って行った、というのが昨今の状況に思う。 プログラマだとpodcastとかがそうな気がするし、ギターとか将棋はyoutubeと相性が良い。

多様化が進んだ結果、皆に届く仮想的な場、みたいな凄いポテンシャルを持った何かでは無くなった気がする。 皆に広まる物はろくでもないスキャンダルみたいなのばかりなので、自分は積極的に距離を置くようになった。

かつてはテキストと絵だけだったので、例えば喋るの苦手、とか、画面に自分が映るなんて嫌だ、という人の居場所だったネットだが、最近はそうしたリアルな自分の属性が重要になった。

しかも、ずっとネットに居る人は、最近はただ他人よりモラルが低いとかを強みに、大して儲かりもしない小遣い稼ぎに時間をつぎ込む人ばかりになった気がする。 その結果、まともな人は近づかない感じになってしまった。

昔はもうちょっとインターネットには自身のアイデンティティが存在していて、そこでの名声とかに価値を感じてた気がするが、昨今はリアルの社会的立場の方が本体で、ネットはそれを増幅してるだけな気がする。

ネットはリアルからの逃避先みたいな部分があった気がするが、最近は逃避先としてはあんまり何も出来ないよなぁ。 リアルの方にいろいろ無いと。

ただネットだけをやってる人の活動の場としては、発信側はtwitterが受け皿だと思うのだが、twitterは本当に何にも至らない。ただたくさんRTされるだけで、しかもそれは時間を掛けて何かをやるよりも、ちょっと話題になりそうな事をたくさん言う方がずっと当たりやすい。 日々の活動を、当たっても何にもならない方向に誘導していくので、ネットだけをやってる人が何も出来ない人になっていく気がする。

お絵かきの立場も低下した気がする。 相変わらず自分は憧れを持って見ているけれど、彼らはyoutubeには活動の場は無い。 twitterは、頑張って描いた絵とバズりやすいどうでも良い一言を同じ速度で流すので、バズりが攻略されてくるに従い彼らのプレゼンスは低下してきた気がする。

パソコン通信の時代から一貫して仮想世界のヒエラルキーの頂点に位置していてお絵かきが、最近はtwitterに閉じ込められて、素敵なyoutubeから隔離されている気もする。

ネット以外の所の活動を強化して、ネットは補助的に使うのが今の時代に即したライフスタイルに思う。 自分はまぁまぁそれでも構わない。

ただ逃避先としてはネットは夢が無くなったなぁ。 昔はもうちょっと何かになりそうな夢を感じたのだが。

リアルから弾き出された人には気の毒だが、そうでない大多数の人にはネットのアイデンティティが重くなりすぎないのは良い事かもしれない。 ネットやってるよりはギター弾いてる方が楽しい、は悪い事じゃない気もする。 そしてそのギターの楽しさはネットで教えてもらったものだ。

ネットはリアルの補助くらいでちょうどよかったのかもね。