無職転生が素晴らしかった
回りから読め、読め、と言われていた、無職転生を最後まで読んだ。
小説を読む以外にはほとんど生存するのに最低限の事しかせずにひたすら読んで、6日くらいかかった。 思ったより大作だった。
タイトルから想像するよりも壮大かつ深い話だった。 ひょっとしたらこれまでの人生で出会った物の中でベストかもしれないし、そう思う物はだいたい5年に一度くらいのペースで出会うので、少なくともここ5年くらいでのベストとは言えそうだ。
ラノベ、という分類では間違いなくベストだし、ノベルゲーとかアニメとか漫画とかを入れてもトップクラスなのは間違いない。
自分はたぶんここ10年くらいはノベルゲーもやってなければラノベもSAOくらいしか読んでない。 もう自分の歳では昔のように楽しめる事は無いと思っていたので、そうした物を越えて衝撃を与えた、という事にはかなり驚いている。
あまりにも凄い物を個人が一人で書いた、という事で、いろいろと影響を受けている。
内容が非常に人生的で、いろいろと自分の人生について考えさせられている。 例えば三回ほど老後の話が出て来るのを見て、自分はどういう老後を生きる事になるのだろうか、とか。 それについてはおいおい。
一人で物を創る、という事の限界について、大きく考えを改めた。 やはり限界なんて無い。 一人で作れない物はあるかもしれないが、それよりも一人の人間が人生を込めて創る物の方がずっと素晴らしい。
なんかそういう事を、久しぶりに心の底から確信した気がする。 やはり人を集めては駄目だ。いろいろ鈍る。
キャラとしてはエリスが好きだ。
特に道場で修行してる時のエリスがいい。
再開のシーンも惚れてしまう。
なんか自分もああいう風に純度高い生き方をしたいなぁ、と思った。
主人公もいいなぁ、と思う。
なんかこう、引きこもりに対する心の底からの後悔と、恐れのような物が伝わってくるようで。
それでいてロキシーに対する信仰の心とか、なんというか、凄くいい。
なろう系特有の最強感もあるけれど、最強になりきれないというか、良く負ける所もちょっと自分の持つ「なろう系」の偏見を改めなくてはなぁ、と思わせられる所あった。
ストーリーの構成も良い。社長に雇われた後はだいたいどう進むかも分かっていて 、一人ずつのストーリーをやっていくのだろうな、と思う訳だが、個々のストーリーが毎回大きく違う進み方で、意外な要素も多く、最後までハラハラしながら読めた。
全体的な進み方がある程度分かるので長くてもそんなに中だるみしないし、それでいて個々のエピソードが軽くない。良くこんな小説を書けたものだ、と感嘆するものがある。
序盤の話も後から考えると良い。 家庭教師や魔大陸の旅の話は、最後まで読んでから振り返るとキャラの深みに凄く貢献している。
世界のメタ的な構造も変に複雑過ぎず簡単過ぎず、サイレントの仮説はちょっとあれだが、それ位しかチャチさを感じない。凄い良く出来た話だなぁ、と思う。
あまりネタバレになるような事は言いたくないのでキャラの話はこの位にしておくけれど、ヒロインは皆好きだ。 良くこれだけ可愛く書けたものだ。
なんか久しぶりに人生で読まなくてはいけない物を読んだ気がする。
これだよな、これ。