【書籍】自由の命運
【書籍】自由の命運
読み始めた動機
【書籍】国家はなぜ衰退するのかを上だけ聞き終わった所、なかなか良い内容だったが気に食わない所も多く、下はちょっと読む気が起こらないなぁ、 と思っていた所、この本のレビューを読むとこの本が一番いいというのを見かけて、さらにaudibleで無料だったので最初のを方を聞いたところ結構良かったので本も購入。
社会の政治参加の重要性と義務教育 2025/12/26 12:55:51
奄美に向けた機内読書、ソロンのあたりから読んだ。
社会の政治参加の重要性、というのは説得力を感じる一方、今の日本の弱い所でもあるよなぁ。
なにも分かってない状態でポピュリストみたいな話にすぐに飛びついてしまってはろくな事にならない訳だが、まともな範囲でものを考えるのは、結構な学識を要求される気がする。 そしてそれは義務教育の範囲では不足しているように思う。
恐らく義務教育は政治参加に必要な最低ラインを提供するのが望ましいと思うが、それはなかなか難しいよな。
政治参加の最低ラインを義務教育で教える難しさに、ある種の既によくされてる主張を否定する必要があって、それを指示する人は大きく反発する、というのがある。洗脳と批判する事になるだろう。
イデオロギー的な事を置いておいて、必要な最低ラインの事とはどういった事があるだろうか?
自由の命運の内容は必要なものの一つにして良いと思う。 他にも社会契約論は詳しく学んだ方がいいよな。言葉と要旨だけでは無くて、もっと時間をかけてちゃんと。 社会契約論は異なる意見の人とどう協調するか、という問題を扱うので、自身の考えを強く主張する前に皆が学ぶべき事に思う。 あとはいろいろな社会形態についてまとめた歴史の1分野のようなものを学ぶ必要があるよな。
自分としてはここに経済学と公共経済学の基本を入れたいけれど、これはイデオロギーの偏りがある程度含まれるので、全員に課すべきかは悩ましい部分もあるな。大多数が知っているべきとは思うが。
これらを義務教育に含めるのは、学問分野として確立してないものを多く含むので難しいよな。 本来は政治参加学みたいな何かとして体系化されているべきな気もするが。 トランプ政権やシリコンバレーのIT長者の過度な権力などはこうした学問を体系化する良い契機に思うので、今まさに構築中かもしれないな。 本書が今まさに出版されてるのもそうした文脈の一つなのだろう。
学校教育というのはこういう過渡期のものを扱うのに向いてないよなぁ。義務教育にはそうしたものを含めるシステムが必要と思うが。
2025/12/26 13:23:42 メモ: トクヴィルのアメリカのデモクラシー
下巻の終盤でaudible解約、感想など 2026-02-25 (水)
下巻の終盤くらいまで聞いた。なかなか良かったし最後まで聞きたかったが、audible割引の三ヶ月が終わったので解約した結果、途中で終わった。 でもだいたい主要な所は聞いたかな、という気もする。
国家の力を縦軸に、市民社会の力を横軸にとって、両者のバランスする斜め上に回廊と呼ばれる領域があり、この領域の国家は自由で発展する、というのが本書の主な主張。 この縦軸と横軸のそれぞれに位置した国家がそれぞれどういう性質を持つのかを、過去のいろいろな地域の歴史のエピソードを元に語る。
歴史のエピソード集的なものとして面白く聞けた。 自分の詳しい地域の話はところどころ同意出来ない所もあるにせよ、前著よりは妥当な内容に思うし、 知らない地域の話も多く、こちらは普通に面白かった。 本としての出来は【書籍】国家はなぜ衰退するのかよりもだいぶ良いと思うし、 こちらだけで良いと思う。
いろいろな違いを無視してレッテルを貼ってしまう部分は強く、専横的な国家と回廊内の国家が本当にどちらか長期間繁栄する可能性が高いのか? というのは疑わしい部分も多い。 回廊の国家の方が国家能力を伸ばすと言っているが、今の中国よりも国家能力を伸ばせていない回廊内の国家は多くあるだろう。 全体的に、専横の国家をいっしょくたにしすぎという気はした。 データ的な事や根拠をあまり話さないで結果だけ話すので、説得力はあまり無い。 主張は信じるしか無い。 その辺は前著同様に好きになれない所。
だが、専横よりも回廊が優れているという主張の本では無く、我々日本が目指すのが回廊内の国家であり、 それをより強固にする為にはどういう事に気をつけたらいいか、という本だと思うと良い本だと思った。 この本はすべての原因を制度設計に帰するとしがちで、それはどうなんだろう?とは思うが、 少なくとも制度も重要な要因の一つであるのは間違い無いので、その制度について学ぶ分には良い本だと思う。
国家と市民社会の綱引きで国家の専横に歯止めをかけつつより強固な力を国家に持たせる事で多くのサービスを提供させる事が出来る、 というのは、それはそうなんだろうな、と思うし、 それが我々にとって望ましいというのもそうだろうと思う。 本書では赤の女王効果、と言っているが、競争的なそういう仕組がたぶん良いのは、経済学好きの感覚的には納得出来る所だよな。 ただそれが長期的に安定するのか、というあたりは良く分からない所でもあるが。
我々の目指すべき姿についての本だ、という前提に立つとして、では日本はどうだろう?と考えてみる。 日本は市民社会の政治参加が弱い国家だと思うし、それはもう少し強めたほうがいいんだろうな、という気はした。 また、昨今のIT業界では勝者が新規の参入を妨害する事で力を拡大している部分はある気がするので、もう少しベンチャーに味方して大手の妨害を減らすように頑張る必要がある気はした(これは日本よりはアメリカの方がより強いと思ったが)。
女性の権利についても結構扱っているが、個人的にはこの話題はいまいちあるべき姿が分かっていないのであまり主張にも同意出来ていない。 自分は女性は男性と平等であるべきかが良く分かって無くて、とりあえず女性の間でどうなってほしいのか話し合ってコンセンサスに至ってからいろいろやるべきなんじゃないか、という気がしていて、その結果男女平等が良い、と女性の多数派が思っているなら進めたらいいと思うんだが。 なんかあんまり多数派がそう思っているようにも見えないんだよなぁ。
細々とした所で気に食わない所はあるにせよ、全体としては良い本だし読むべき本だとも思った。 そしてアセモグルの本はこれだけでいいな、と思わせる本でもある。みんなも読もう。
余談だが、なろうの現代の知識で産業革命する系の話は、 この本の内容を信じるなら全部上手く行かなさそうだよな。市民社会が育っていないと上手く行かない。 でも市民社会が育っていると中世っぽさがなくなるので、主人公の特別さが無くなってしまう。 まぁそりゃそうだよな、産業革命が起きそうな社会じゃないと産業革命は起きないが、 産業革命が起きそうな社会なら主人公の影響は弱い。身も蓋もない話である。
ただなろうでその手の話をしているのが無いのはちょっと不思議な気もするな。中世とかについてうんちくを述べてる奴はこんなに多いのに。 本書は割と話題になった本だと思うんだが、読んでるなろう作家いないのか?