新宿の本屋を歩いていて、自分の欲しいイラスト本はどんなものか?という事を考えた。

イラストの描き方の棚には、手の描き方、顔の描き方、ポーズの描き方、背景の描き方など、 およそ全要素の描き方、という本はある。 これらは描く対象が決まっている時にどう正しく描くか、という本に思う。 それは自分が今求めるものじゃないなぁ、と思った。 では何を求めているのだろうか?

自分が今本屋でイラストの描き方の棚を見ているのは、 イラストの描き方をしりたいと思っているからだと思う。 ただそれは、描く対象が決まっていてそれをどう上手く描くか、 という話ではなく、 どうやってイラストを「描いていくか」みたいな事が知りたい。 ここは具体的な何かがある訳ではないので、その答えは複数ありうるとは思っている。

ソフトウェア開発というのは、作りたいものを探求するプロセスという側面がとても強い、 というのが、ここ20年くらいで結論づけられた事に思う。 お絵描きもそういう側面があるはずではないか。 絵を描いていく過程で何が描きたいのかが分かっていくような、 そういうプロセスを重視するものもあってよさそうに思う。

例えば画家などは着想を得るためにスケッチを行う。これはそういう話しに思う。 そういうスケッチのように、どういうイラストを描くかの着想をどう得るか、みたいな話を見たい気もする。 出来たらそれがイラストを描くという事と一体になっているような何かがあるといいのになぁ、と思う。 プロトタイプではなくインクリメンタルな開発のように。

それとは違う話として、自分は地球の歩き方などの旅行ガイドブックにたまにあるような、 イラストと解説が混ざったようなのが好きだ。 元祖水玉本舗なども好きで、 ああいう感じのを落書きから発展ささていって作る方法とかあったら知りたい。

たぶんそこまで具体的な何かじゃなくて、そこに至るような、 どこかに続いていけるような落書きの初め方、発展のさせていきかた、みたいなのが知りたいように思う。 ゴールじゃなくて、はじまりとそこから次のステップに進める、その二箇所だけを知りたい気がする。 そこから先は自分の思うようにやっていきたい気がするので。

本屋を探していると、「満たされる絵の描き方」とか「ゆるーく描こう!らくらくイラスト入門」などはかなり近い路線に思った。 ただこの著者のスタイルは凄く個性が出ていて、 しかもそれが自分の憧れるものじゃないなぁ、と思った。

やはり理想としては、自分が好きなそういうイラスト集みたいなのとつながっているのがいいよな。 見ていて楽しく、自分もやってみたいという気もしてくるような。

画集の方の棚にいくと、もっと本格的な絵ばかりで、そういうのがやりたい訳じゃないんだよなぁ、と思う。 アニメーターのスケッチブックとかの方が近いが、これもアニメーターなので違うよなぁ。 イラストレーターのイラスト集、もっとあってもいい気もするし、たぶんあるんだろうけれど、 本棚には生き残れないんだろうなぁ。 自分はエッセイイラストみたいなのが好きなんだなぁ、と思う。

エッセイイラスト、たぶんある所にはあるんだろうけれど、どこの棚なのかわからない。 これがイラストの描きかたと別の場所に行ってしまうのは、何かの問題を表わしているようにも思う。 イラストの出口が本屋に無いというか。

らくがきから発展させていく、という点では、 高校の頃の漫研のノートとかが、なんか適当に落書きをしていって、そこに文章書く、という感じで、 ああいう風に進めていきたいとも思うのだが、それに必要な事を知りたいなぁ、とも思う。

楽器の演奏に例えると、自分はアドリブの方が好きな気がする。 スコアの演奏方法にはそんなに興味無い。 ギターならマイナーペンタとか覚えて、とか、少しの音からはじめて、とか、 アドリブをしていくハウツーはいろいろある。 ブルースとかはそもそもそういうジャンルとすら言える。 イラストのアドリブをしていくハウツーが欲しい気がする。 なんか弾いてよ、と言われて適当に弾くように、なんか描いてよ、と言われた時に適当に描いていくような。

何かを描く方法ではなく、何かを描いて「いく」方法を知りたい気もする。 描くネタが欲しいのではなく、描きはじめて、それを発展させていくような、 そういう歩き方のようなものを知りたい。

それにしてもイラストの描き方みたいな本がこんなに大量にあるのも不思議な気はするな。 本ごとに内容に違いがあるようにも見えないし、正しい描き方がわからない、って事は無いと思うのだが。 単に正しく描けないだけで。