自分は割と「流行り」というのを重視している気がするが「それは意外だ」と、この前友人に言われたりしたのでその話とか。 なお、流行りというのはテクノロジー的な流行りです。

自分はプログラマにおいては、タイミングというのは凄く大切だと思っている。 一番ホットなタイミングで優位な立場に居る、というのが、何かをなすのに必要な9割くらいと思っていて、残り1割がそこで戦い抜いて勝つというプログラマとしての能力、という程度の重みと思っている。 ただ9割の方は運の要素とかも大きいし、次に持ち越せないので1割の方に時間を使う、というのが自分の認識。 9とか1という数字に大した意味は無いが。

流行ってる物をただ動かすだけにはほとんど意味が無い、というのは同意する所だし、出来たら流行る少し前からやっておいて「そのタイミング」ではすでに準備が終わっているのが理想だけれど、後追いがいつも駄目とも思っていない。 意外と流行ってから決定的な何かが出てくるまでには時間がかかる事はあるし、 そうした場合は後から始めても間に合う。 だから、流行ってる物に手を出すのもそう悪い事とは限らない、とは思っている。 もちろん「今から手を出しても間に合いそうに無いな」と思えば見送るのが正しい。 この辺はどうせ結論は後にならないと分からないし人生は一回なので、 自分の経験とか勘とかその他の何かとか、とにかくそういうのでえいっと判断するのだろう。 だが、そんな風に思っているので、いつも流行ってから手を出す人が居たとしても、それはそれで戦略としてアリで、どちらが良いかは後から振り返って結果で評価すべき類の事だと思っていて、自分はそういう評価をした事は無いので個人の嗜好の違い程度の認識で居る。

流行る物を前に予言するのも別に偉い事とは思ってない。 いつか来る、という事が分かってもあまり意味が無い。 流行るより先にはじめても意味が無い。 早すぎてもどうせポシャる。 「自分はXXが来るとずっと前から言っていた」とかいう人がたまにいるが、 だからなんだ、といつも思っている。 早くても遅くても意味は無くて、ちょうど良いタイミングでちょうど良い場所に居るのが大切だ。

今年何やろうか悩んでいる、という話は、去年の年末あたりが、この辺のトレンドの大きな転換点だったからという気がしている。 例えば今年は画像認識関連の事をやろう、とは思えない。 やるなら生成モデルだろうなぁ、と思う。 LSTMで何かやろうとも思えない。やるならtransformer系だろう。

この画像系の認識はもういいか、というあたりが、今年やる事がこれまでの延長じゃなくなって、そのせいで何やるかがもやもやとして決まらなくなっている理由な気がする。

別に自分がトレンドでない、と思っている事だって、今年相変わらず仕事はあるだろうし、それが重要な人は居るだろう。 だからこのトレンドの認識には「自分が」今年はどういう年と思っているか、 という、主観的な判断が入る。 だが完全に主観だけで決まる物でも無い。

例えば8年前に自分はASP.NETの仕事をやめた。で、今ではスマホと機械学習の仕事をやってる(今は仕事してないがそういう話じゃない)。 別に今でもASP.NETの仕事はあるけれど、一方で分野の選択としては自分の方が正しかったと思うし、それは完全に主観だけの話でも無いと思う。 他人と自分のどっちが良いか、というのは人によるが、自分がやっててどっちが良いか、は主観だけの問題でも無い。(給料とかの待遇とか転職のしやすさとか)

という事で、今年何はやる気はしない、と思えるかは、 主観の部分もあるが、時代の流行というか、大きな流れのような物の部分もある。 この区別は多分誰にもつけられないのであまりつける意味は無いとも思っている。 ただ自分 は今年何をやるのが時代の要請にあっているか、と考えているのみだ。

どうせそんなの当たらないんだから考えるだけ無駄だ、という向きもあるだろう。 その辺は個人が何を重視するか、という話に思う。 そして自分はそこを重視する、という話に思う。 もっと言えばそうした「時代を今なら作れる!」という強い確信とかは、 人生を掛けて何かに本気になるには必要な事にも思える。

とにかく、「いまさらそんな事やる気が起きないな」という事はやらない。 そうした感覚は大切にしていきたい。

そういう点では今年は単なる画像の認識はやる気はしない。 画像の認識系でも何か今年やる意義を感じる事ならやるが。 単なるRNNもやる気はしない。もうちょっと何か加えたRNNならアリだが。

画像の生成は何かやれるならやっても良い。動画もなにかやれるならやっても良い。 自然言語処理も良さそうに思うが、これは自分の戦場の設定としてどうか?という別の問題がある。戦場の設定の話は別ポストでそのうち。 ただ戦場の設定として自然言語処理はまだ自信が持てずにいる。

チップとかライブラリとかフレームワークを作る側に回る時でも、こうした感覚は大事にしていきたい。

そんな訳で、自分は「今」出来そうかどうか、というのは結構重視する。 別に本当に今年に限った話じゃなくて「今からやれば3年後には出来る」くらいでもいいのだけど。

ただ、重視する、というだけで、それだけですべてを決めるという訳でも無い。 何年かかってもやりたい事ならやれば良いとも思うし、 それだけの何かがあるのはむしろ強みとも思う。 でも今は自分にそれは無いかなぁ。 しかも場合によっては足かせになることもある。 この辺は自分の持ってる物で、強みを活かして弱みをカバーして戦っていくしか無い、という話だと思っている。

何かの分野をずっと続ける強みもあるけれど、自分のこれまで見てきた物と合わせると、それは個性の範囲であって一方的に優れている物でも望ましい物でも無いなぁ、と思っている。 これはtwitterなどでよく流れてくる研究者とは違う意見に思うが、 今思えば理論物理をやってた頃は指導教官などは似たような感覚の話をしていたような気もする。

という訳で、自分は流行重視系プログラマです。