去年やれる事は一通りやった結果、トップカンファレンスに仕事の片手間のアイデアで通すのは難しい、という結論にはなった。 それを踏まえて、では論文を通す事に集中するか?という事を考えたい。

まず機械学習の専門家としてやっていくなら、トップカンファレンスに論文を通すのは自分の感覚では必要と思う。 学会でそれなりにちゃんと活動していない機械学習屋の言う事は信用出来ないので、自分も信用されないだろう。 ちゃんと査読や学会での質疑応答とかを乗り越えてないと言ってはいけない事も多くあるだろう、と自分は思うので、経験としてそうした事をちゃんとこなした、というのは必要な事と思っている。

また、実サービスに応用する、というのは、もうやれば出来るという自信がある。 同じ事をやっても仕方ない気がする(ただしNLPの実サービスをちゃんと作ってみるのはやってみる価値があるとは思っている)。

ただ、機械学習の専門家としてやっていくのか?という所は、自分の中でそんなに自明でも無い。 技術のポートフォリオの一部としては現時点でも十分な実力と言える。 今後しばらくの進展も、すごく予想外の事でも起きない限りは今の立ち位置くらいからで十分フォロー出来る。

仕事でサービス開発などをやった上で論文を通したい、という事にはまぁまぁ強く頷けるのだが、開発をやめて研究に専念して論文を通したいか、という事には微妙に自信が持てずに居る。 これはドクターコースに進むのに躊躇うのに似ていて、どうせやるならちょっと長い期間を掛けてやらなきゃいけない気がしているが、それだけの価値を自分が感じているかに自信が持てていない。

まずこれまでの仕事の延長では難しいので、フルタイムで働く必要がある気がしている。 それで出来るかはわからないが、まずそこをどうするか決めかねているのでその先を考えても仕方ない。

理想的にはトップカンファレンスに通すのでは無くて、通してる人達と同じ所で働くあたりから始めたい気もする。 その辺で今のようなフリーランスとして何かの仕事をして成果を出しつつ、トップカンファレンスに通す為に必要な事を学んだり出来るのが理想に思う。そんな感じの職場無いかなぁ。その辺を探してみる、というのはいいかもしれない。

自分はやっぱり実際の応用はやりたいんですよね。 プログラマなので、理論だけじゃなくて出口は実際に使われる何かでないと。 自分が応用しなくてもいいし、論文を書く時点で応用出来てなくても良いのだけど、 最後には応用までやりたい。 これとちゃんと論文通すのが両立しなさそうな時、では自分はどうするべきなのだろう?

能力の制約は加味した上で、環境は制約が無いとして考えてみよう。

理想的には、まず労働期間は三ヶ月〜1年くらいの短期労働がいい。

で、それなりに凄い応用が出来たら、論文は書かなくても良い気はする。 例えばお絵かきアプリに新しい標準機能になりうるような、良く使われる何かを導入出来たら、それはそれで有意義な一年な気はする。 ジャンルとしては自然言語処理か画像処理になりそう。

ただ自然言語処理で実際に何かやってみた、くらいだとアウトプットはしょぼいなぁ、と思う。 経験としては今年やりたい事ではあるけれど。 その場合は論文を通すという長い目標の一部になる何かもやりたい。

論文を書くか開発をするかのどちらか一択だ、となった、場合、どちらが望ましいと思っているだろうか? いまいち良くわからない。

これはどのくらい機械学習の時代が続くのか、という事に紐付いている気がする。 自分が今後10年間機械学習をやり続けるなら、論文書くのに専念すべき、と思う。

一方で3年くらいで終わるなら、この一年を論文を書く事に専念するよりは、何か応用を作っていたい。

時代が続くか、という問題と、自分がやり続けるのか、という問題がある。 10年後は50代とかだ。時代が続いていても、自分はさすがにやらん気もする。

3年と10年なら割と簡単に結論は出るが、5年だとどっちだろう? データ分析を仕事にしてから、違う事もやりつつだが今年で7年目か? そう考えると2012年の時点と同じくらいの将来性を感じるなら、論文を書く方に集中すべきな気がする。

だが自分は結構ここに確信を持ってない気がしてきた。 そもそもに2012年の段階でもこんな長く続けるとは思ってなかった。 この業界、そんな長い予想に基づいて行動するのは無理だよなぁ。 そういう点では長く続くから今年一年は下積みじゃないがそういう方向に行く、というのは、ちょっと良くない気がする。

もっと一年単位で意味がある事を積み重ねて何かをやりたいよな。

一方でもう出来ると思っている開発を続ける事に意味があるのか?というと無い気はする。 だから開発をするにせよ、何か同じ事じゃない事をやる必要はある。 それが何なのかはわからないが、応用にもいろいろあるので、これまでよりはもうちょっとチャレンジングな事も出来る気はする。

なんかこの方向の方が良い気はするな。健全というか。

応用を個人でやる、という方向性はある気もする。 だいたい機械学習を使って何か作るやり方はわかった。 そして結構誰もやってないような使い方でいろいろ作れるなぁ、という気はしている。

やってる企業でやるよりは、個人で何か作ったり、割と自由になる準個人的な環境(小さい知り合いのベンチャーとか)で何か作る、というのはアリな気もする。 これなら「まぁ出来るな、と思う応用をただ続ける」よりはやる価値を感じる。 この辺は自分のプログラマとしてのアイデンティティとちょうど合う気がする。

プログラマでありながらしばらく分析屋として仕事をしてきたのは、 出来る事の可能性みたいなのに惹かれたから、という事なんじゃないか。 実際に何か面白い物を作る、という時に、機械学習は非常に有用だと思っている。

これまでも実務ではちゃんと応用出来ていて意義のある事をやってきたと思っているが、自分一人で作りたい物を作ってみた、というのはやった事が無い。 何かを作る時にはそっちの方がいろいろ面白い物は作れる気もしている。 この辺やってる人は最近はほとんど見ないので、やってみるというのはいいかもしれない。 これは論文を書かない路線という事(結果として何か書くかもしれないが)。

こっちの方が自分らしい気もするなぁ。