二ヶ月ちょっとのフランス旅行を終えたので感想などを。

歴史が面白かった

フランスは歴史が勉強し甲斐があり、名所旧跡を回って理解を深める、というのがとても楽しい国だった。 自分の歴史の勉強は百年戦争が終わったあたりで止まってるので宗教戦争絡みの話は分からなかったが。

特にノルマンディーやブルターニュのあたりを実際に回れたのは、百年戦争的にはなかなか良かった。 カペー朝とヴァロワ朝は大分詳しくなったなぁ。たぶん平均的なフランス人よりは詳しいんじゃないか。

市民革命的な事からも考えるぺき事は多く、思ったよりも自分への影響の多い旅となった。

食についての楽しみを考えさせられた

ボルドーのワイン博物館で無駄にワインの知識を身につけたり、結講高いが大変美味しい食事などを食べる機会が多く、食事を楽しむという事について考えを改めるというか、もう少しこれからの人生、お金を食事に使っていってもいいかもな、と思った。

高い物を食べる時は日本でもあるが、フランスでは日常のランチが16ユーロくらいで、デザートつけると20ユーロくらいが多い。 自分は日本で2000円超える食事は普段は食べてないが、もうちょっと増やしてもいいかもなぁ、と思った。 幸いライフステージ的にはそこそこ経済的に余裕も出てきたし。 食費なんてもはや誤差だよなぁ。

フランスでも7ユーロくらいで済ます手段はあるのだが、フランスはちゃんと20ユーロ以上の価値があると納得させる物が出てくるので、安く済ませよう、という気分があまり起きない。たいしたものだ。

また、フランス料理は全然知らなかったのだが、二ヶ月いるといろいろ食べたので結講なれた。 フランスでフランス料理を楽しむ為には、慣れた後の方が断然良い。 料理自体の知識もそうだが、値段と出てくる物の期待値とか、レストランの探し方とか、終わったあとのデザートやカフェを一日の時間の過ごし方の中に組み込むというスタイル的な話なども。

食事を楽しむ、という事については、フランスはなかなか本気の国なので姿勢的な面で学ぶべき事はあった。

生活の利便性は東京の方が良い

フランスは便利さの点ではいまいちだな、と思った。 店が日曜は閉まってたりするし、レジの列は長い。まいばすけっとでほとんど並ばない毎日になれた東京人には辛い。

地下鉄も悪くは無いがメトロの方が快適だ。 自転車や電動キックボードの無秩序さやラウンドアバウトに突っ込んでくる車が居るとかでの渡りにくさなど、歩行者的には歩きにくい所が多かった。

田舎は日本も不便さという点では似たような物かもしれないが、都会は日本の方が暮らしやすいな。 やはり東京は住むにはレベル高い街だよなぁ。

雑貨がパリ以外高い

例えばギターを運ぶのがおもいので、コロコロのキャリア的なのを買おうとしたが、パリ以外では30ユーロ以上するのしか見つからなかった。 パリだと8ユーロくらいのがあったが。

スマホの充電用にマイクロUSBのケーブルがほしかったが、これも8ユーロとかする。高い。

パリは安い店があって、そこでの相場は多少物価の高さはあっても似たようなものだが、パリ以外で何か買おうとすると、消耗品以外が高い気がする。

物価自体は、宿の値段は似たようなものか、少し安いくらいな気がする。 食事は同じ物なら少し高いくらい。 カフェは少し安い。 水とかミニッツメイドとかは安い。 果物も安い。

全体的には日本より2割くらい高い感じかなぁ。 ただ100均的な物が無い。

街が多い

フランスは凄い田舎で、ほとんどの場所が見渡す限り草原とか荒野なんだが、いろいろな場所にそこそこ大きな街がある。 といっても日本基準では小さい。 その代わり数が多い気がする。

地方の街が結講良い。聞いた事も無いような街も凄い美味しいレストランとかがある。 日本は田舎に行くと、レストラン自体が消滅しちゃうのだよなぁ。 みんな家でご飯食べるようで、飲み屋くらいしかなくなっちゃう。

街が多いと旅は楽しそうね。

スケートボーダーが多い

自分は小学生のころは結講ガチでスケーボーやってて、大学院くらいまでは移動に使ってたくらいにはスケートボーダーだったので、街でスケートボーダー見るのちょっと楽しかった。

自分の知らない技や出来そうもない技をやってる人も居るが、フリップの180がちゃんと乗れれば平均は越えてるかな、という気がする。 あの位なら、今からでも3ヶ月くらい特訓すれば混ざれそう。混ざらないけど。

技をやる前の少しかがんで集中が増すあの一瞬、なんかいいよね。 そして全然成功しなくて投げやりになったりするのも懐かしい。

歩きにくさの裏返しだが、助けーどボーダーとかが場所を選ばずスケーボーやってるのは、社会としてちょっと羨ましい所もあるね。 許可された場所でやりましょう、みたいなのはクソくらえだ、という人たちも生き生きしている社会の方が、きっと楽しい。 暴力が支配する感じになっちゃうと嫌だが。

フランスはこの辺のバランスがなかなか絶妙な気がする。 個人的にはこれをもうちょっと秩序だった側に倒せるとちょうど良いくらいなんだが。日本は最近ちょっと秩序立ち過ぎてると思うんだよな。

フランス語を使うのは思ったより楽しかった

スペイン語と似たようなもんだろう、と甘く見てたら思ったほど喋れなかったが、それでもまぁまぁ上達したし、旅を楽しい物にもしたし、フランスという国の理解度も言葉のおかげで大分上がった。

また、英語とかでかっこつけてラテン語由来の単語使うのもフランス語では日常語、というパターンが結講あって、 論文とか読んでてその手の単語にあたふと「ぷぷっ」と上から目線でバカに出来て気分がいい(小者)。

またなんだかんだでそこそこは喋れるようになったので、満足度もある。 あとちょっとでいい所まで行く、という手応えはあったので、また何年後かにリベンジしたい、という気になった。 そういう物が一つ増える、というのは、ちょっと人生が豊かになった気がして良いね。

フランスは挨拶が良い

フランスはいつも挨拶する。お客の方も。 例えばパン屋でもレストランでも、bonjourと言わないと「お、なんだこの人?」という感じになって、買い物が始まらない。 帰る時にもさようなら、に相当する挨拶を皆がする。

日本って店に入る時にお客の側がするよい挨拶が無いよな。 出る時も。 なんか挨拶するとお互い人間って感じして良いと思うんだよね。 コンビニとかも客の側も挨拶したらいいのになぁ。

バスに乗る時も挨拶があるんだよね。 乗客は降りる時に運転手に「ありがとう」って言うんだよね。 運転手じゃなくて乗客がありかとうって言うの、なんかいいよな。

結講いろんな国を回ったが、客側の挨拶がここまで徹底してるのはフランスだけだった気がする。

物乞いとデモ

物乞いが多い。しかもけっこうアグレッシブに物乞いしてきたり、断るとちょっと罵倒されたりする事がある。不愉快。 マクドとかバーキンの中に入ってきたりもする。 店の中に入ってくるのは本読みたい時とかに迷惑度が高いなぁ、と思う。

日本はホームレスは居ても物乞いは少ない気がする。みんな払わないだろうし。 ホームレスは雑誌拾って売ったり労働してるよな。どちらが良いという事では無くてどちらも少ない方がいいんだろうが。

デモも最初はまぁそんな事もあるか、と思ってたが、あんまり何度も当たると結講嫌だよな。 なんかクラクション鳴らしまくるので、本とか読めないし。

自分はパリとかではデモに会った事は無いので、暴徒みたいになってるのには遭遇してないが、ナルボンヌとFrejusで二回くらい会ってる気がする。 最初はなんなのか分かってなかったが、後から思うとgilet jaunesの最初の奴だったんだな、あれ。

たくさん居る物乞いとgilet jaunesは、社会としてうまく行ってない部分が出てきてるという点で共通する物があると思う。 こういうのまで含めてフランスという国なのだろう。

この辺はいまいちだな、と思う。 たくさんいる失業者は労働者保護の裏返しであり、変化を拒む人たちのこれまでの生活を守る為に、新しく社会人になる人が路頭に迷っているという事だと思った。

先進国の旅行は落ち着く

基本的に観光客をぼったくってやろう、みたいな姿勢が無く、店の人などを信頼出来て良い。 なんか知らないが金を取られる時も、自分が外国人だから取られる、という場合はたぶん一度も無かった。 納得行かない事は、現地の人も納得行かないまま払っている。

この社会のシステムみたいなのを信頼出来る、というのは、良くわからない事が多い外国人にはありがたい。 気分良く旅出来て良いな。

もう値切ったりするのも飽きたし、ホスピタリティというか、穏やかな気持ちで過ごせる方がいいな。 そういう点ではフランスはちゃんと先進国ではあった。 日本以外の先進国をそれなりの期間旅したのは久しぶりだが、結講いいな、と思った。やはり発展途上国とかは若い頃遊ぶ場所だよな。おっさんはハイソに行きたい。

食べ過ぎるので長く居すぎ無い方が良い

予想以上に食べ過ぎだった。 しかし、食べる事を控えてしまうとフランスの楽しみも大分減ってしまい、居る意味無い気がしてくる。

という事で食べすぎを自覚した後も、結局食べすぎな日常を送る事にした。

その結果として、自分にしては珍しい事だが、たった二ヶ月でも「長すぎた」と感じている。というか体重計乗るの怖い…

フランスはたぶん、一ヶ月くらい美味しい物食べて帰るのがいいね。 長く居るよりは何度も来る方が良さそう。日本からだと遠いけど。 食事を控えるよりは食べるだけ食べて帰るのが良かろう。

思ったより寒かった

気候的な事としては、思ったより寒かった。 東京くらいを想定してたが、東京の方が大分あったかい、というくらい寒い地域の方が多いような?

ただこの季節なら旅出来ないほどでは無い。 結局手袋も帽子も買わなかったので、その程度の寒さである。 もう一度この季節に来てもいいかな、と思う。ただ宿が閉まる所が多かったが。

あと南は雨が多かった。しかも傘が意外と売ってない。 みんな割と傘さしてないが。 コンビニでとりあえず傘買える生活に順応しすぎていて、フランスの雨には全然対応出来なかったなぁ。

人は割と友好的だった

フランス人は外人に冷たい、とフランス語の教材の課文でも書かれてしまう程で、結講ビクビクしてたが、自分の印象はなかなか良かった。 皆が皆友好的という訳じゃないが、平均的にはかなり友好的な人たちだった。

ただフランス語は必須だね。 閉鎖的というよりは、コミュニケーションのスタイルがフランス語に依存しすぎてて、慣れてない人たちは英語だと緊張し過ぎてしまう、という感じに思う。

下手なフランス語でも正しく聞き取れたり喋ると褒めてくれたりする。 例えばお釣りとか、聞き取れなくて聞き返して、「こう?」と出した時に、合ってると「良く出来ました〜」的な事を言ってくる。 その他、レストランで正しく注文出来るとたまに褒めてくれたりする。 これまでいろいろな国の言葉を話したが、こんなに褒めてくる国は初めてだと思う。 上手くなった後に友人的な関係になったら褒められる事はあるが、店とかで普通に褒めてくるのが珍しい。

ただ外人相手に話すのはめっさ慣れてないね。 ゆっくり話してくれないし、なかなか繰り返してもくれない。 「もう一度言ってくれますか?」と片言でいってるのに、「なんで?」とか聞いてくるのが最初は辛い。 それを説明出来る程度の語学力がつくと「あぁ、なるほど」と笑ってもう一度言ってくるが、これもまた全然手加減が無い。 こんなに語学初心者と話すのが下手な人たちも初めてだ。

また行きたいと思う

もう一回行こう、と思えるくらいには気に入った。 なんかこう、一回観光地回って終わり、って感じの国とは違うね。 歳食ってある程度金持ちになった後に来る方が楽しいと思う。今は割と丁度よいタイミングだった。

日本とは通じる所もあれば凄く異なる所もあって、日本人にとっては興味深い国だと思う。 日本の方が良い事も多いが、見習うべき事も多いよな。

そして食事が美味しいのは良い事だ。